…文学の翻訳について大事な点は、語学的な正確さよりは新しい文体の創造であるということ、これはもっともなことである。しかし、言語学者として言いたいことは、語学上の正確さが無視されては、いい文体も何もないということである。
次のページでも、H氏とN氏とのこんなやりとりがある。
H イギリスは、ローレンスをみましても、こんなへたくそな文章があるのかと思うのですね。直してやりたくなるのです。
N 教養が低かったのでしょうか。
H 低いかもしれませんけれども、とにかくわれわれ日本人の感覚からみてへたですね、文章が。それから、グレアム・グリーンもへたくそですね。私、訳すときに文章を直して訳しています。それじゃ日本人が誤訳だというかもしれないと思いながらですね。
N そういうことだれもいわないな。グレアム・グリーンなんてずいぶん教養がある人ですが…・。
「誤訳」W.A.グロータース/柴田武 著 三省堂
富翁
次のページでも、H氏とN氏とのこんなやりとりがある。
H イギリスは、ローレンスをみましても、こんなへたくそな文章があるのかと思うのですね。直してやりたくなるのです。
N 教養が低かったのでしょうか。
H 低いかもしれませんけれども、とにかくわれわれ日本人の感覚からみてへたですね、文章が。それから、グレアム・グリーンもへたくそですね。私、訳すときに文章を直して訳しています。それじゃ日本人が誤訳だというかもしれないと思いながらですね。
N そういうことだれもいわないな。グレアム・グリーンなんてずいぶん教養がある人ですが…・。
「誤訳」W.A.グロータース/柴田武 著 三省堂
富翁