大事なこと

昔、初めて社会人として「仕事」をした時、

お金を稼ぐということは大変なんだなと思った。

時間を守るとか、目上の人への態度、お世話になっているということへの感謝。

何かをする時に、すでに用意されているものや環境。人。

父に「俺の金だ」と言われた時、（中学の時、銭湯に行くお金をくださいと言った時に週に１回か４日に１回でいいと言われて、養ってやってる、という言葉とともに、とても悔しいと思ったが）実に、実にその通りで、時間はお金に換算され、いろいろな人がいろんな役割を担ってくれているからこその社内で、何も分からない、周囲の助けなしに何もできない役立たずではダメなんだなと学んだ。

…そのはずだが、じゃあ社会人何十年とやってきて、

いったい何ができるのか、

と問われたら。

会社でやってるごく一部の細切れの作業は、

外では「できます」とも言えないようなことだ。

もしパン屋に勤めて、パンを焼く工程をひととおり知り、何度も経験したとしても、材料を調達して、整った設備で、パンを焼く作業はできるが、

自分でそのすべてを用意するとしたら、それなりに時間のかかることだ。

そうだ、独立、独り立ちできなければ、正味、「できる」ではない。

経営者は、商売として「できませんかね？」と言われても、多分すぐできるとは言わないだろう。後先（あとさき）を考えるのだ。

会社勤務であれば、組織のたくさんの人にまぎれて、そんな責任を考えなくてもやれてしまうところがあるんだと思う。

正当なふりをして後の人に依頼していまえばいい。

だけど私にとっては、妥協してはいけないことのように思う、

「できる」と言えるように、または損しないように、

準備しておかなくてはいけない、大事なことだ。

人の時間を平気で奪って、「ただ」で得るようなことは、

商売をするならば、かるがるとしてはいけない。と、思う。

ほかの会社員がそうしていても。