「茅野市尖石縄文考古館」は、特別史跡指定の「尖石遺跡」や「与助尾根遺跡」など八ヶ岳山麓に広がる縄文遺跡群から出土した発掘考古資料を保管・展示する博物館だ。
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現在よりやや高い気温だった縄文時代の八ヶ岳山麓は、落葉広葉樹の森が広がった豊かな自然の中で、食料になる動植物にも恵まれて、台地それぞれが、それぞれに集落を営むのに適した地形で、人口急増への条件が揃っていたという。
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茅野市内では、約5,000~4,000年前の縄文時代中期を中心に、現在までに約240ヶ所の縄文遺跡が発掘されているといわれるが、「考古館」には完全な形の見事な縄文土器などが多数展示されていて圧巻だ。
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中でも必見は、全国唯一の国宝指定土偶の複数体展示になる縄文時代中期の「縄文のビーナス」と縄文時代後期の「仮面の女神」だ。ただ、国宝2体は企画展への貸し出しなどで、レプリカ展示になることがあるので、訪問前に実物が展示されているかを、電話などで確かめるのがよいだろう。
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同館見学に併せて、隣接の「与助尾根遺跡復元住居群」に臨んだ時間は、1万3,000年以上前に遡って旧石器時代に始まる八ヶ岳山麓に連綿と続いた人々の生きる営み気が、時空を切り裂いて突然現出するという錯覚に包まれる時間となった。何万年かを費やして現在にたどり着いている人類の存在のかけがえなさを、あらためて受けとめ、現在に生きる自らの生にも深く感じ入る機会となった。
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