山南ノート4【劇団夢桟敷】

山南ノート4冊目(2008.10.3~)
劇団夢桟敷の活動や個人のことなどのメモとして公開中。

ルポ3

2010-02-07 23:50:09 | 演劇大学
「演劇大学in熊本」3日目~4日目

■2月6日(土)

am10:00より劇場入りする。
「夢十夜」の稽古に入る。4班に分かれているため、他のチームの進行状態が見えない。
わがチームは「一話・二話」のミックスバージョンで40才以上のシニア9名。
演出担当は幸太君だが、実質はドラマドクターである流山児さんがやっている。
歌あり!流山児演出である。
なんと、劇中で指揮者のような、劇を進行させる役どころとして幸太君は役付けされる。演出家養成としては新しい試み。

熊本学園大学のK先生62才が「大学入試」と日程が被っているにも関わらず、時間を工面してこのシニアチームに参加してくれている。明日の発表会の参加は無理だが、常連の受講生としては「演劇大学」の顔。

台詞が入らずいら立つ受講生たちだが、「こら!純平。もっとしっかり喋れ、何を言っているのかわからない。」の激に、みんなは大笑い。
私は頭があがらない。台詞を喋ろうとすると、他の妄想が湧きあがってくる悪い癖がある。・・・あ、カリガリ博士が見える。夏目漱石の文学に現れては困る。コマッタちゃん。

午後6時からのシンポジウムは「地域演劇」をテーマにドラマドクターの4名の講師と市民舞台の五島さん、劇団石の堀田さん。・・・それに瓜生先生が戦後の新劇の流れを語る。
職場演劇の台頭、プロレタリア演劇の流れなど、若い演劇人には耳慣れない話。逆に新鮮である。
古城さんが「芸術文化振興」の話になった時は、自民党から民主党に政権が変わってからの変化に考えさせられる部分もあった。

政府に声が届くだろうか。・・・地方からの文化発信とは何だろう?まだ具体像が見えないのである。
根っこに政府に対する不信感があるからに違いない。

講座が終わって、飲み会の席では古城さんとこの話で延長になった。
おっ、古城先生を追っかけて広島から高校1年生の演劇小僧が参加して来た。

明日は午後3時より「発表会」である。

■2月7日(日)

ドキドキである。1チーム15分程度の短編劇ではあるが、発表会となると緊張する。
受講生の各人が友人知人には「見てね!」と呼びかけたものの自信はない。
今まで通り、本番では感動する場面ができあがるのは分かっているのだが落ち着かない。

午後からのリハーサルではじめて他チームの劇を見ることができた。
感動するね。・・・短期間でよくもまぁ。
4日間、正味13時間の稽古である。これが「演劇大学」の成果なのだ。
内心、とんでもない講座だと思っていても、できちゃうから、あらあら不思議。そして夢の話。

発表会の15分前。午後3時からの開演だと言うのに、お客さんはパラパラ。
えッ?と思っていたが、直前になって席は埋まる。あ~、一安心。前列には一般のお客さん、入口近くに講座生。形になった。

一話(坂本咲希演出・ドラマドクターは和田さん)
これまでの講座で二年連続、講師を務めてくれた少年王者舘の夕枕ダンス(天野さん、夕枕さん)を取り入れていた。
ハル君を除けば、女性だけのチーム。ワカナちゃん(高校生)も楽しそうにやっている。・・・ラストに向かって胸が熱くなる。歌と踊りで客席から手拍子が!
口に花を加える咲希と肥後ちゃんを見て、このネタを次回公演で使えると思った。

一話二話(田中幸太演出・ドラマドクターは流山児さん)
大ちゃんの台詞で笑い。初体験のSさんの表情動作で笑い。常連のNさんの死で笑い。みんなの固い表情が笑いの対象になったのだろうか。そこまで計算していた流山児さんは流石だった。
「楽しく遊ぼう」とは、お客さんと劇を遊ぶことができたように思う。・・・ふっと、「もう一度、熊本で演劇大学を楽しみたいわ。」と苦労した女性陣から声が漏れた。

三話(真嶋隆志演出・ドラマドクターは古城さん)
初日は戯曲講座のようになったらしい。演出担当は台本を書き直す。
その成果は、とても丁寧な仕上がりになった。登場人物たちは経験者が集まっており、中でも鈴木メッソッドの歩行では流石、木内さんは身に染みていた。大迫君と二日しか参加していない大分からの受講生(女性)の方との息も合って、目が見えない役のゆかちゃんには惚れたね。工藤君もすっかりキャリア組に見える。落ち着いていた。

七話(田中瞳演出・ドラマドクターは坂口さん)
初心者コースであるが、初心者のギクシャクしているところはなく、特に小学6年生の女の子に目が奪われる。かわいい。口では「大スター」と言って冷やかしていたが、その要素は冗談ではなく、半分本気。
どうみても二人の女性は初心者には見えない。この講座では相当の集中力で臨んだのではないだろうか。若い男子君は女性陣に囲まれて楽しかったのではないだろうか。
この劇のラストの章として、初心者チームで大正解。純粋に「演劇大学」としての成果がここに現れていたように思う。

できるのである。

打ち上げでは、演劇大学のお客さんも含めて30人集まる。
流山児さんは、この夜、東京へ帰るつもりだったが、急遽変更。飛行機をキャンセルして参加して下さった。
7月には流山児事務所の公演が熊本にやって来る。

ドラマドクターの方々に感謝します。演出者協会のこれまでの熊本への温かいご支援ありがとうございました。期間中、事務に追われていた協会の斉藤さん、本当にお疲れさまでした。
音響や記録で協力してくれたスタッフさんたちにも支えられました。
受講生、お客さんには最後の「演劇大学in熊本」で関われたことを、心よりお礼申しあげます。

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