劇団夢桟敷 ☆2018.6〜山南ノート5

熊本アングラ万華鏡〜演劇と諸々

熊日連載19「わたしを語る」(29)アングラ肥後にわか

2020-05-17 19:26:41 | 2020-2022 日記

にわか芝居は全国各地にあったそうだが、九州では博多にわか、佐賀にわか、肥後にわかの3つが現存している。
それぞれの地域で特徴があり、熊本ではばってん荒川さん(故人)が全国でも知られていた。何度か芝居を見たが、荒川さんはお米(およね)ばあちゃんとして人気を得ていた。歌手、テレビタレントとしても活躍しており、その後継としても肥後にわかではテレビタレントを送り出している。肥後にわかは熊本に根付き県民からも大きな支持を得ている。

はっきり言おう。…夢桟敷のようなアングラ劇と郷土芸能肥後にわかには接点がない。表現が違い過ぎる。ジャンルが違うといっても過言ではない。
無謀にも「アングラ肥後にわか」の旗を揚げて「おてもやん」を題材に選んだ。その意図は熊本の明治大正時代を劇で挑戦するためには「おてもやん」を取り巻く人間たちが必要だった。
今回は肥後にわかの「初代おてもやん」が母である、キンキラ劇団の団長であるキンキラ陽子さんに特別トークショーをお願いして「肥後にわか」を語っていただいた。
昨年は劇団夢桟敷40周年でもあり、御祝儀のつもりか、あっさり受けてもらえた。
繋いでもらったのが「肥後にわか応援隊」の世話人だったから断り切れなかったのだろうか。人情に感謝。

キンキラ陽子さんの話しを聞くうちに大いに刺激を受けることとなった。段取り芝居、即興性、これは現代劇やアングラ劇にはない。同じネタでも場所によって芝居が変わると言う。
私たちにとっては信じられない芝居作りである。そう簡単に真似はできないだろう。
熊本弁にしても私たちはバーチャル熊本弁。その地域でしか伝わらない微妙なニュアンスがあり、バーチャルとして開き直るしかなかった。
これを機に「肥後にわか」を研究せねば!いやいや、楽しみたい。
まだまだ郷土芸能や伝統芸能から吸収できるところは大きい。
あれもこれもと手を広げて過ぎて消化不良になるのは良くないが、熊本を拠点に演劇をしている者にとっては必修だと思った。
万華鏡のようなアングラ世界に熊本でしかできない演劇を目指すチャンスになった。

いよいよ明日で熊日連載「わたしを語る」は終わる。反響などを明日は補足してこのシリーズに幕を閉じることになるだろう。…あと1回!