ぼけぼけ

いつかこの景色を思い出して、君は泣いてしまうかもしれない

ブーリン家の姉妹

2010年05月15日 | 映画
月が変わったのでネットレンタルDVDが届いた。

「ブーリン家の姉妹」


監督:ジャスティン・チャドウィック
出演:ナタリー・ポートマン/スカーレット・ヨハンソン/エリック・バナ 他

いやー、好きですねお姫様
衣装や調度品、それに中世の城、
ちょっと全体的に暗い画像もいい感じでした。

ただ、本題の姉妹の確執や生き方の違いなどを描き切れていなかったのは
非常に残念です。


映画ではアンが姉でしたがメアリーのほうが
お姉さんだとうい説が有力だそうです。
どちらが姉なのかというのは
実は重要なのではないかと思うのです。

なぜアンがヘンリー8世をあれほどまでに巧みに誘惑したのか?
思うにアンのメアリーに対する“強烈な劣等感”が源にある気がします。


政略結婚のカードである子ども。
上の子どものほうが何かにつけて注目の対象となるはず。
まして美人のメアリーに対してやせぎすでさえないアン
(ナタリー・ポートマンは十分美人ですが)というのは定説です。
そんなメアリーが先に結婚する。アンからすればきっと
「メアリーより身分の高い相手と必ず結婚する」と心に誓ったはず。

それが、メアリーは時の王であるヘンリー8世の寵愛を受けるようになる。
アンはどれほど悔しがったでしょう。王を超える身分の相手は存在しないのであれば、
王を奪い取る方法にでるのは明らかです。

メアリーは身ごもっています。アンにとっては絶好のチャンスです。
もともと策略家のアンは自分の全能力をつかって王を誘惑したでしょう。

              

男の子を生んだメアリーを退けそして王妃の座まで奪い取ります。
アンは自分の立場を守るためとか、
自分の生んだ子どもの王位継承とかのためでなく、
メアリーに対する勝利にのみ邁進していたように思うのです。

姉に対して劣等感をもっていると描かれているメアリーですが
劣等感を持っていたのはむしろアンだとういほうが納得がいきます。

そして、自らの策略に滅ぼされるようにアンは断頭台へと送られます。
メアリーはアンに宮廷より追放されたお陰でブーリン家の没落から逃れ
自ら選んだ相手と再婚し、子孫を残します。
現在もメアリーの子孫は存続しているそうです。
一方、アンの娘エリザベスは女王となりイギリス黄金時代を築きますが
エリザベスに子どもがいなかったため子孫は残っていません。

どちらが女性として幸福なのかわかりません。
むしろ、観客に選択を任せてもかえって深みのある作品になったかもしれません