京都西陣なごみ植物店 / 仲町六絵

2018年09月05日 | な行の作家


第一話 逆さまのチューリップ
第二話 信長公のスイーツ
第三話 さそり座の星
第四話 紫式部の白いバラ
第五話 蛍の集まる草
第六話 桜に秘める

6編の連作短編集。

主人公は、姉の植物店で働く実菜さんと植物園で働く神苗さん。
実菜さんは、植物の探偵でもあります。
つまり、植物にまつわることの謎解きです。だから、それぞれの物語に花が登場してきます。

「信長公のスイーツ」ではローズマリーが登場します。
信長とローズマリー、はてさてどんな関係があるのか…。

「さそり座の星」は、酔芙蓉。星と花ってどんな関係?

紫式部と白いバラの関係は?

「蛍の集まる草」はツワブキが登場です。どうしてツワブキに蛍が集まるのか?

「桜に秘める」では、桜に何を秘めたか?

とてもテンポよく、謎解きは進んでいきます。読みやすくてわかりやすいです。
一話一話、とても短い話ですが、奥は深いです。
それは、植物の奥深さであり、人の奥深さ。

いろいろな人間関係の中に登場する植物がとても存在感があり、思いがけない方向へ読者を運んでくれます。
まるで種になって飛んでいくような。着地点はここなの???って感じです。

実菜さんと神苗さんの恋も登場しますが、この1作目では進展はありません。
二人の恋は、2作目に期待です。


本文より

「…花が咲く直前の樹皮に桜色がぎゅっと詰まっているっていう話も面白かったです」



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