夢伝い /  宇佐美まこと

2022年08月09日 | あ行の作家

夢伝い
水族
エアープランツ
沈下橋渡ろ
愛と見分けがつかない
卵胎生
湖族
送り遍路
果てしなき世界の果て
満月の街
母の自画像

11編のホラー短編集

じわじわ~っと怖くなってくる物語集です。
登場してくる人たちがみんなかなしくて、怖さよりもかなしさの方が大きいかもしれません。

タイトルがみんな良いです。惹かれます。
「夢伝い」なんて、特に。
哀しい物語なのですが、逆に明るいギャグっぽい物語にしてもおもしろだろうなと思いました。
自分がもし動けなくて、自分がしたいことを誰かが代わりにしてくれて、しかもそれを見ること感じることが出来たらこんなに楽しいことはありません。
自分が行動しているのと同じですからね。
でも、代わりに行動する人は自分の人生を生きていないということになってしまうので、明るい楽しい物語にしたとしてもかなしくはあります。

誰かを自分の身代わりにするって、ある意味いじめです。

この物語集はいじめやDVの果ての物語のように思います。
友人、同僚、恋人、そういう身近な人たちからの仕打ちの結果が恐ろしい。
そして、その仕打ちに対する復讐や仕返しもまた恐ろしい。

エアープランツ、わが家のトイレにありますが、どうしましょう…。
浄化のためなんですけど。
観葉植物を置くと良いらしいので。

時々、水だけじゃなく、日光も浴びさせようと思います。
何より、風通しをよくすることが大事ですね。
自分の心のためにも。



本文より(「愛と見分けがつかない」より)

「憎しみと愛とは見分けがつかないのよ」

暗い思いは伝播するのだ。死んだ者から生きている者へと。そしてまた人から人へ。波長の合う者の心を侵食していく。





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