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南信州で地域エネルギーに関わりながら思うこと

江戸時代に学ぶ

2008-10-16 | 
「大江戸エコロジー事情」「大江戸リサイクル事情」を読みました。ほかにもいくつか大江戸シリーズがあります。

著者の石川さんは、これまで封建的で前近代の暗い時代として教えられてきた江戸時代に光を当て、江戸時代こそ日本が自立して循環型の社会を達成していたモデルケースだとして、関連するたくさんの本を出しています。

当時の日本の人口は約3000万人。
うち80%が農民で、石油エネルギーを使わずに、炭、風力、水車、人力や水牛など、過去1~2年に降り注いだ太陽エネルギー(炭や人の食べる食料)もしくはその他の自然エネルギーを基盤とした社会を作っていました。それでいて、江戸は当時世界にいくつもなかった100万都市であり、ロンドンやパリよりも衛生的で教育水準も高く、飢饉も少なく、貧富の差も少なくて物価も安定した社会だったことを、様々な事例から紹介しています。

その代わり、手間をかけて体をたくさん動かす暮らしでした。
都市で生まれる人糞は、周辺(といっても原宿がすでに農村)の農村から買い付けに来て回収し堆肥にして畑に投入するため、資源が循環し、都市は衛生的で農村の畑の地力は保たれます。カマドの灰すら買われて、畑に入れます。稲刈り後の稲わらでわらじや米俵を作り、くたびれたら集めて堆肥にしたり、燃料にする・・といったように徹底的に手間をかけて使い切ります。

今の農業は、トラクターやコンバインなど、石油エネルギーなしに成り立ちませんが、江戸時代はすべて人力。人の食べ物のカロリーしかかかりません。

石油、石炭、ウランといった化石燃料はすべて有限です。
ウランですら60~70年後にはなくなります。

本当の循環型社会を作るには、太陽エネルギー1~2年分のエネルギー(人力が必要とする食料はお日様で育ち、行灯用の油もその年に太陽を浴びて育った菜種からできます)ですべてを賄っていた江戸時代を振り返り、これからの暮らしのスケールをイメージすることが役に立つと思いました。

実際に戻ったら大変でしょうが、江戸時代に暮らしを体験してみたいなと思わせる本です。

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5 コメント

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Unknown (ひさまつ)
2008-10-20 20:26:38
職人以外にも,廻船人,海運業者,など多彩な職業人が活躍していたようです。また,身分が百姓であっても実際には資本家として活動していたり,武士であっても実質農耕民であったなどのケースも多々あるようです。

全国的にみると,地方によって交換手段が異なっていたようですし,販売(交換)目的で農業を営んでいた人がどれだけいたか,それを養うマーケットがあったのか,は一概には言えないでしょう。

エネルギーについても,江戸で使われたいた薪がどこから供給されていたのかが完全に解明されていないという指摘もあります。どの時代においても,すべての都市で生物系資源がきれいに循環していたと考えるのはちょっと短絡的だと思います。

ただ江戸に関しては,同時代のヨーロッパなどどくらべて衛生的だったことは石川氏の指摘の通りなのでしょう。ただしそのご下水の普及率が大きく遅れた面も考えなければなりません。
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農民比率 (yomo)
2008-10-18 22:31:46
4割とは、よく聞く8割という説の半分になってしまいますね。
減った分は商人や職人になるんでしょうか?

江戸以外での都市は、○○城を中心とした城下町(たとえば水戸城)とその周辺の農村、というように各藩の城下町ごとに農村地帯がセットのものが全国にあったのでは・・と想像します。
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Unknown (ひさまつ)
2008-10-17 20:31:23
「農民が80%」というのは網野善彦以前の話で,これは「百姓」という身分の人を全部農民に入れるという誤った解釈によるものです。実際には農民の比率は4割程度だったことが分かっています。
下肥のリサイクルが上手くいっていたのは面白いですが,都市周辺で換金作物をつくるようになったのは江戸後期と言われており,それ以前の人口密集地域がどうだったのか,江戸以外の都市でどうだったのかに興味がありますね。
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Unknown (katoya halmits)
2008-10-17 12:37:19
やっぱ日本は最高の国だわ

歴史が

半端じゃなくかっこいい

奇跡 不可能を可能にする 持続

そういう文化だよね。

 今度は奥様方が来てくださるそうで

いつもありがとうございます。

 てらすや はる
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Unknown (たっちゃん)
2008-10-16 23:30:50
有名な本ですね。

環境の分野ではテレビとか展示などでも、よく取り上げられています。

石川さんのではありませんが、農文協から江戸時代の環境保全のあり方に学ぼうみたいな本も出ています。里山の管理に近いですが。

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