分け入っても分け入っても本の森

本読む日々のよしなしごとをそこはかとなく♪

●ちいさなヨンダくん8

2006年02月16日 22時03分02秒 | ちいさなヨンダくん
森は、ふたたび春になろうとしていました。
ねむっているヨンダくんの耳もとを、なつかしい風の歌がとおりすぎてゆきます。

 さらさら さらさら 
 おいで ぼうや ちいさな ぼうや
 なつかしい このみちを とおっておいで
 さらさら さらさら

はっ、とめざめたヨンダくんは、いま、じぶんがどこにいるのか、わからなくなっていました。
たいへんだ!おかあさんと、はぐれてしまったのです。
いつもなら、こういうときは、みなみかぜのおねえさんがたすけてくれます。
おかあさんのにおいをはこんで、まいごにならないように、みちあんないをしてくれるのです。
でも、このひにかぎって、ヨンダくんはひどくうろたえてしまいました。

ぼく、どこからきたのかしら。
ぼく、どこにいこうとしているのかしら。
それは、きょうおかあさんときたみちのことでしょうか。
それとも、もっととおいむかし、あかんぼうだったヨンダくんがやってきたみちのことでしょうか。
ヨンダくんは、こんらんしていました。