雨の月に ときのしずくが生まれた
潮の満ち干のように
『とき』は少しづつ成長し
みちて ひいて
満たされて ひいていく
やがて 『とき』は至り
満たされてこぼれたひとしずくは
水面に落ちて
『とき』のしずくが生まれた
生まれたばかりの『とき』のしずく
波紋を広げて ひびき続ける
雨となり
山を下り 海に落ち
街の空で消えたり 揺らいだり
街路樹に止まり ビルの窓をつたう
あの『とき』は 雨の月
『とき』の余韻に呼ばれたように
知らず 空を見上げた
雨上がりの空に
初夏の陽射しが注いだら
過ぎ去った『とき』は
消え残り かすかに手を振る
…水無月に また戻れるさ・・・
(by www.cha16 =2006.06.01=)