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先祖を探して

Vol.228 世之主の墓(5) いろいろ見ていくと

世之主の墓について、お爺さまの記録をもとに様々な情報を見ていくと、これまで点として存在していた情報が線となって繋がってきた気がしております。
私はこの様々な記録や伝承から、世之主のお墓に世之主として眠っているのは思鎌戸の可能性もあるなと思いました。もちろん可能性の一つです。


もう一度これまで書いてきたことを整理します。

①北山王の二男であった世之主も薩摩侵攻時の世之主も、どちらも伝承では自害した人であった。

②始めはウファチヂに埋葬されたが、付近の住民の水の使用の苦情から、島役人を通じて琉球王に請願し移転することになった。33回忌頃の話とも伝わる。
島から琉球王に請願できるくらいであるから、中山の時代の中山王に絡んだ人の墓ではないかと推測。

③お墓の候補地は現在のチュラドゥールの場所か、寺子屋(寺敷)のところだった。このことから、時期は薩摩侵攻以降と読み取れる。

④琉球軍記から薩摩侵攻時に、尚寧王の娘婿が当時の沖永良部の島主だったと分かった。
その時に王子もいたことが分かった。

⑤薩摩侵攻時の島主は思鎌戸だといわれている。この人が尚寧王の婿殿の可能性がある。娘婿とされている理由や当人についての詳細はまだ不詳。

⑥沖永良部郷土史資料からも与人西平の調書の世之主は、薩摩侵攻時の世之主について書かれた可能性がある。

⑦和泊町の調査では世之主の墓は17世紀中期以降に築墓された可能性がある。
しかし何度か石積の修復なども行われているようなので、初めて築墓されたのは17世紀よりもっと以前の可能性もある。

⑧お墓の3つの厨子には何体もの人骨が入っているので、北山王次男の真松千代からの代々の遺骨の可能性はある。



昨年、思鎌戸は先祖調査のキーパーソンだと思い、徳之島の方に問い合わせをした件はブログでも書きました。徳之島の研究家の方にもお会いしました。
この思鎌戸のお墓についてですが、教育委員会の方にも伺いましたが、所在は分からないとのことなのです。
徳之島にお墓が分からない(無いかもしれない)とすれば、沖永良部にある可能性があります。
那覇の国王の婿殿、かつ島主であるわけですから、お墓はそれなりの規模であってもおかしくないはずです。
もしこれまで書いてきた伝承が事実とすれば、思鎌戸が急に自害したのでお墓は準備できず、いったんはウファチジに埋蔵した。そして住民からの水の使用についての苦情もあがり琉球王へ請願して新たに墓を作った。それが現在のウファである。
薩摩侵攻時が1609年。そこで自害したとすれば33回忌は1641年頃。
その頃にお墓の移転を請願し、建造に入ったとすればちょうど1650年頃に該当してきます。
年代的に見ても辻褄があってしまうなあと思うのです。
家族を伴って自害したのであれば、島にいた奥方、王子、世之主の3人ということになり、お墓に弔われている3人の伝承ともマッチします。

しかし1つだけまだ確認したいことがあります。思鎌戸が歿したのが1612年のようだということです。
「奄美諸島編年史料・上」には、以下の文が書かれています。

〇沖永良部島ノ大屋子思鎌戸、歿スルコト、1612年9月15日ノ條ニ見ユ

これは1612年に没したという意味なのだろうとは思いますが、、、
そうなれば薩摩侵攻時に自害したのではないことになります。薩摩支配になってしまい、琉球から切り離され苦悩しての自害だった可能性もありますが、そこは分かりません。
1612年9月15日に書かれた記録に、歿していたことが書かれているという意味なら、1609年に自害したともとれそうですが、、、
このあたりが詳しく分かるとよいのですが。


これまで書いてきた世之主の墓に眠る人物。これはあくまでも当家のお爺さまが記録していたお墓の移転のいきさつや築墓の時期の情報から、私が知り得た情報をもとに考察しているにすぎません。
伝承や伝説は100%の作り事ではなく、そのストーリーの中には何か伝えたいいことや事実が隠れているのだと思っています。
当家に伝わっていたお墓のことについても、100%真実ではないかもしれませんが、どこかは真実であったはず。
今回は100%真実だったと仮定しての、あくまで私個人としての考察です。
もしかしたらまったくもって的外れな考察かもしれません。歴史を調査していく上で様々な角度から見れたら新しい事実が見えて来るかもしれないということで、考察したにすぎません。
研究家の方などが認めた歴史的史実ではございませんことは、ご認識ください。
今後のお墓の学術調査や研究家の方々の詳細な研究で、もっともっと詳しいことが分かっていくではないかと期待しております。

思鎌戸については、まだまだ気になることがありますの、また書きたいと思います。



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