江戸末期時代に島で私塾を開いていた平安統惟雄というご先祖さまがいます。
この平安統は、Vol.108でも紹介したように薬園の与人をしており、漢方医でもあり、江戸後期に島で流行っていた私塾を開講していた一人でもあります。
この平安統が私塾で使用していたと見られる書籍の断片が残されています。全部で10枚ほど現存しているようです。
その断片は「消息往来:しょうそくおうらい」と呼ばれる現代で言う教科書のようなものです。
国立国会図書デジタルコレクションで検索するだけでも、数々の本があります。
国立国会図書デジタルコレクションより
消息文(書状に用いる文体)の慣例語句を集めた物のようで、寺子屋の教科書として使われていたようです。
島役人になるためには、読み書きは必ず必要であったでしょうから、沢山の門下生がこの教科書を使って文字や文の書き方の練習をしていたのでしょうね。平安統惟雄は1796年生まれで、いつ頃に私塾を開講していたかは詳しい時期は分かりませんが、おそらく40代以降の1840年以降のことだったのではないかと推測します。
消息往来は鎌倉・室町時代から使われていたようなので、私塾用として準備したのではなく、もしかしたら代々のご先祖様たちが自学用に使っていたのかもしれません。
いづれにしても、少なくとも200年ほど前のご先祖様が使用した学習用の教科書が残されていたとは面白い発見でした。