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先祖を探して

Vol.399 後蘭はなぜ和泊町なのか?

沖永良部出身の方やその関係者で構成されている沖洲会という団体が全国にあります。
地方から都会に出てきた方々で組織する〇〇県人会みたいなやつです。
私が住むエリアの会合が2月に開催され、お誘いがあり参加させていただきました。

私の先祖調査のことでお世話になっている方々に初めて直接お会いしたり、島の話ができたりと大変貴重な時間を過ごすことができました。
その中である方から、世之主の家臣の一人であった後蘭孫八の居城があった後蘭地区についての話題がありました。

この後蘭地区は、現在は島に2つある行政区のうちの和泊町になるのですが、町境を見てみると、直線ではなく曲線を描いて後蘭地区が和泊町になっているのだそうです。



確かに地図を見ると知名町の方にぐっと入り込んだ場所(後蘭孫八の城跡となっている個所)ですが、和泊町になっています。黄色の線のように直線的にスパンと切って町として分割しなかったのは何故だろうか?という話になりました。
この後蘭ですが、知名町で使われる言葉を話すことが多いのだそうです。
小さな島ではありますが、両町で使われている言葉に少し違いがあるのだそうです。そういった言葉の違いから見ても、後蘭は知名町に入るのでは?なぜ和泊町なんだろう?といった話で盛り上がっておりました。

そこで色々と調べてみたところ、琉球時代にあった間切制度が安政4(1857)年に方制度になり、さらには明治期に行政区画が変更されたときに現在のような区分けになったようです。

ここで少し間切制度から現在の行政区区画への移行について説明します。
琉球時代には、島は3つの行政区画に分けられ、喜美留間切・大城間切・徳時間切となっていたようです。それが安永元年(1772)には、徳時間切が消滅し久志検間切となっていたそうです。
普通は各行政区間は、隣接した地区をひとまとまりとして区切ると思うのですが、この3間切については、なぜか飛び地で1つの間切を形成していたようです。石高の調整によるものだったのか?そのあたりの理由ははっきりしないようですが、それが実際の統治には不便だったこともあり、薩摩世の時代になって間切制度が廃止され三方に改編されたときに、地理的な近接地を1つの行政区画としたようです。

和泊方
和泊・手々知名・喜美留・国頭・西原・出花・畦布・根折・内城・大城・皆川・古里・玉城・和

東方
余多・屋者・上平川・下平川・芦清良・黒貫・瀬利覚・知名・屋子母・大津勘・徳時

西方
瀬名・永嶺・上城・下城・田皆・馬鹿・島尻・田舎平・後蘭・久志検・赤嶺


明治6年には以下のように行政区画が変更になりました。

和泊方 14村
国頭(国頭・西原・出花)
和泊(和泊・和)
手々知名(手々知名・喜美留)
玉城(玉城・根折・畦布)
内城(内城・大城・皆川・古里)

東方 11村
余多(余多・上平川・下平川)
芦清良(芦清良・黒貫・屋者)
瀬利覚(瀬利覚・知名)
大津勘(大津勘・徳時・屋子母)

西方 11村
田皆(田皆・正名・島尻)
上城(上城・下城・瀬名・永嶺)
後蘭(後蘭・谷山・久志検・赤嶺)

このときの行政区の地図が和泊町誌にありました。この区画割では、島の中央で区切られ右側が和泊方、左はさらに上下2区画に分けられ東方と西方になっていました。





それが明治19(1886)年に行政区を3区分から2区分にし、各区分を17村ずつとしました。この時に後蘭・瀬名・永嶺が和泊に組み込まれたようです。この時は和泊村と知名村でした。この時の行政区間がそのまま現在の和泊町と知名町になっています。

後蘭は歴代ずっと知名町地区と一緒にあったようですので、言葉の文化圏が知名の方であるのは納得できました。
村の数を平等にするために調整が行われたようですが、後蘭・瀬名・永嶺は和泊町に隣接していますので、和泊町として組み込むのには地理的に都合が良かったのだと思います。そして後蘭孫八は世之主の側近だったこともあって、世之主の居城がある和泊町に組み込まれたのかもしれません。
正確な経緯は分かりませんが、こういったことが推測されました。

思わぬ場所で思わぬ話題になり、1つまた勉強になりました。
しかし琉球時代の間切制度のときに、なぜにして飛び地での3間切であったのか?
そこには謎が残ります。謎解きができれば、中世の時代の歴史が見えてくるのでしょうかね。


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