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先祖を探して

Vol.146 すりかわった伝承


伝承や伝説といったたぐいの話は、ご先祖調査をするにあたっては、記録の少ない過去のことを知る上では重要な情報の1つではあります。
私も出来るだけ多くの伝承や伝説が書いてある本に目を通し、人物や出来事、時代背景などの考察の参考にさせてもらっているのですが、少し前に知り合いの方に見せてもらった伝承の本に、当家のことに関係することが書かれていました。

Vol.5の記事で書いた兜岩の話です。



この兜岩について、以下のことがその本に書かれていました。


この本によると、神石は花城家の屋敷にあったというのです。
いえいえ、ちょっと待ってください。神石があったのは、上花城という屋号であった当家の庭です。花城さんは当家の下の方に住んでいたお宅です。
この神石は兜の形をしていて、当家の庭に作っていた築山に置いてあったそうです。1698年生まれの当家のご先祖様が、薩摩時代に与人をしており、その功績を称えられ、二重石垣の屋敷を構えていたそうです。
ある日、上国で鹿児島に行時に、船の安全祈願にこの岩に龍神様を祭っていたので、錦の旗や鎧などを岩の下に奉納して安全祈願をしたのだそうです。
そんな伝承がある岩なのですが、それがすぐ下のお宅であった花城家の家にあったものだと話が変わっている。しかもこの話は、花城の豊山家の方と、宗家の方が語ったものです。ただし宗家の方は、上花城ではない別の分家の方です。

もしかしたら、後世に花城のお宅にこの岩がお引越ししたのかもしれませんが、私はずっと当家の屋敷にあったと認識していたので、驚いているのです。

実は少し前にこんなことがありました。
私は自分の義母の実家の先祖調査をしています。そのことをご存じな方が、ある時に会話したら、私の実家だと思いこまれていたのです。まあ状況的に、普通は自分の実家の先祖調査だと思っちゃいますよね。それで、その方は勝手にそう思い込んでしまっていたようですが、そこが伝承の落とし穴だと気が付きました。
もし私がこの方と話をしなければ、この方が誰かにこの話をするときには、私の調査している内容は全て私の実家の話ってことになって伝わってしまうわけですね。

先に書いた神石の話もそうですが、口碑伝承というのは、やはり年月が経ってくれば話もちょっと変わってくる、全部は違わないけどどこかが違ってると思った方がいいなと改めて実感した次第です。何百年も語り継がれている話など、もう原文も留めていなかもしれませんしね。
年月が経つどころか、最近の話であっても違ってることがありますから、歴史調査という位置づけにおいては、口碑伝承や伝説についての取り扱いは慎重にってことですね。

この本の発行は1990(平成2)年。神石の話は訂正してほしいな、、、って思っちゃいますよね。

ちなみに、この本に書かれていた神石の所有者以外の話は、私の方に伝わっている伝承と同じ内容です。この部分はおそらく事実なのでしょうね。


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