集団的自衛権・中国六場戦争のキーワードを検索すると、3ペ
ージ目に「集団的自衛権を考える(21)「国際情勢は変わったの
に」軍事評論家・・・とあり、軍事評論家の名前が表示されていない
ので気になってクリックすると、軍事評論家・田岡俊次氏の名前が
出ていた。田岡俊次氏が、どういう評論家か知らないので、ネット
を検索すると映像があったので見てみると、テレビで観たことが
ある顔だった。さらにウィキペディアを調べてみると、大変な
出自の持ち主だ。冒頭の「来歴・人物」に
「祖父は明治期の漢学者で民権運動家の田岡嶺雲、大叔父(嶺雲の兄)
は三菱総理事の木村久寿弥太、父親が国際法学者で、元京都大学
法学部長だった田岡良一」とある。そして来歴は
「米国ジョージタウン大学戦略国際問題研究所(CSIS)主任研究員
兼同大学外交学部講師、朝日新聞編集委員(防衛担当)、ストッ
クホルム国際平和研究所(SIPRI)客員研究員、「AERA」副編集長
兼シニアスタッフライターを歴任。湾岸戦争時に再び朝日新聞編
集委員も兼ねる。1999年筑波大学客員教授。 現在はフリーの軍事
ジャーナリスト、CS放送 朝日ニュースター解説委員、パックイン
ジャーナルのレギュラー・コメンテーター。
戦史や国際条約に詳しく、東京本社社会部の防衛庁担当記者とし
て防衛庁・自衛隊に対し相当な影響力を持っていたため、新聞業
界・防衛庁関係者の間で「田岡元帥」の異名を取った。
1982年には「建設談合問題」で日本新聞協会賞を受賞している」
と出色である反面、権威主義者の一面も持つ。
「 日本航空123便墜落事故において自衛隊の救難活動を非難する
朝日ジャーナルなどの報道に抗議を行った空幕広報室長(1佐)に
「お前はバカだよ。飛ばしてやろうか」と発言したことが文藝春
秋昭和61年新年特別号で暴露されたり(空幕広報室事件、防衛庁
内で酒に酔って毎日新聞の記者に暴力を振るうという事件も起
こした」この言辞が本当なら、まさに権威主義者だ。素晴らしい
出自と来歴を笠にきて恫喝しているとしか思えず、およそ評論家の
風上にも置けない。
通常、これほど著名な評論家ともなれば、自信に裏付けられた包容力
と謙虚さを発揮するものだが、田岡氏は自己顕示欲が強いのか、言葉
の暴力へと突き進む。
この権威主義者の記事は、下記のようにインタビューしたものを取材
形式で記述している。
「安倍政権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。軍事評論家
の田岡俊次さんは安倍晋三首相の空虚な国際感覚にこそ危機を感じ
る。第1次安倍政権から7年を経て、米国は「テロとの戦い」から
財政再建・輸出倍増路線へと変わった。それを踏まえずに、集団的
自衛権を「手土産」に訪米しようとする安倍首相の振る舞いを「情
勢を読めない間抜け」と言ってはばからない。一方で、今後戦争へ
の道を歩むという危機感もまた「感情的で具体性がない」。双方に
抜け落ちているのは「相手国の立場に立つ」という視点。懸念はす
なわち、国際情勢の変化を踏まえない行動による「日本の孤立」だ」
から始まる。
当方は安倍首相を庇うつもりはないが、田岡氏の言説もまた「空
虚な国際感覚」から発せられてはいないか。つまり田岡氏は安倍政
権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定したのは「情勢を読めない
間抜け」な「安倍晋三首相の空虚な国際感覚」がなさしめたものだ
と嘲笑して憚らないが、田岡氏も安倍首相に劣らず「情勢を読めな
い間抜け」ではないのか?
田岡氏は「米国は『テロとの戦い』から財政再建・輸出倍増路線へ
と変わった」という認識を示しているが、この言辞は氏が後に述べる
「■米中戦争の空論」で、米国の貿易相手国で第三位に位置し
米国債最大保有国の中国との関係を意識したものと思われるが、こ
れは明らかに「周辺事態」という概念を喪失した文言だ。核弾頭の
小型化に成功したといわれる独裁国家・北朝鮮に対する認識が田岡
氏の頭の中にはないという硬直した「空虚な国際感覚」を図らずも
自ら露呈したことになった。
先ず「テロとの戦い」は言葉こそオバマ大統領が使用を禁止し、イ
ラクから撤退しても「テロとの戦い」は依然として続いていること
と、「テロとの戦い」と「財政再建・輸出倍増路線」とは問題の本
質が異なる。従って「米国は『テロとの戦い』から財政再建・輸出
倍増路線へと変わった」のではなく「テロとの戦い」と「財政再建
・輸出倍増路線」は依然として継続中いうことだ。確かにオバマ政
権一期目の4年間はブッシュが残した「テロとの戦い」・減税・景
気低迷による巨額の財政赤字と大統領選終盤に勃発した「リーマン
・ショック」による恐慌によって失業者が街に溢れ、米国の財政赤
字は大幅に膨らんだ。米国内の経済活動だけで雇用を創出するには限
度があるという調査結果から輸出による雇用創出を目指しオバマ政
権が策定したのが「輸出倍増計画」といわれている。従って米国に
とって日本を抜いて第三位の輸出国となった中国と「共存共栄」の
関係を更に発展させたいのが米国の本音であることは言を待たない。
これは米国に限らず中国を主要な貿易相手国にしている日本を始め
とした他の国々も同様だ。これを承知で逆に米国の忍耐の限度を確
かめながら米国に挑戦しているのが中国なのだ。こういうことにも
言及できない「軍事評論家」などは、もはや「軍事評論家」を名乗る
資格はない。
しかも述べていることはど素人の当方でさえも知っている常識の範
囲で、なにも「軍事評論家」しか知らないわけではない。それをし
たり顔で「財政再建・輸出倍増路線へと変わった」という言い方が
あまりにも傲岸で一面的過ぎる。
軍事評論家を標榜するのであれば、別の角度からも米国の有様を
捉えるべきであろう。
キャノングローバル戦略研究所の主任研究員・辰己由紀さんの記事が
あったので、一部を転記した。
「三正面」に対応しなければならない米国
「・・・・・ 第二次世界大戦後、米国の国防政策は基本的に
二正面作戦に対応することを前提に策定されてきており、米軍の態
勢もその前提で整えられてきた。この態勢が、近年、国家財政状況
の悪化で国防予算削減が余儀なくされる状況になってきたために維
持できなくなり、1.5正面、つまり大規模な軍事行動を一つの地域で
展開しつつ、ほかの地域での小規模な武力衝突に対応できる態勢を
目指す流れに移行してきていた。今回、イラクに米軍を再び関与さ
せなければならなくなったことで、米国は外交的には「中東・欧州
・アジア太平洋」の三正面に対応しなければならなくなり、国防面
でもこの3つの地域にそれなりに説得力のある軍事力を展開しなけれ
ばならなくなった。予算に制約が課されたままの状態でこのような
事態に陥ったため、結果、どの地域においても満足の行く対応がで
きない結果になるリスクが生じているのである」
従って産経ニュース「オバマ氏は、イラクとアフガニスタンから
“足抜け”する動きと相まって、中東への関与を低下させてきた。
米国という“重し”が軽くなったことは、多国間外交を動かす一方、
中東などのタガを外した。そのことはイスラム国や、ひいては中国、
ウクライナ情勢にみられるロシアの台頭を助長した遠因だともいえる」
という状況なのだ。
にもかかわらず田岡氏は硬直した空論をのたまう。
「今後戦争への道を歩むという危機感もまた『感情的で具体性がない』
双方に抜け落ちているのは『相手国の立場に立つ』という視点。懸
念はすなわち、国際情勢の変化を踏まえない行動による『日本の孤立』
だ」まるで学生の議論のレベルで、我が国の領土に「防空識別圏」を
設け、領空・領海侵犯を常態化させ、自衛隊機に異常接近したり
海上自衛隊の艦船にミサイル照射を行って威嚇してくる中国に対し、
更にいつ暴発してもおかしくない独裁国家・北朝鮮に対して、「相
手の立場に立つ」という視点とは、どういうことを言うのか?
説明してみろ!このことこそまさに田岡氏自身が「空虚な国際感覚」の
持ち主で、空論を弄んでいるのだ。更に「国際情勢の変化を踏まえない
行動」である「安倍内閣の集団的自衛権行使の閣議決定」によって
日本が孤立するなどと間抜けな発言だ。権威主義者よ、よく世界情勢
を見よ!
米国のアジア・リバランス政策は、今年4月、オバマ大統領が日本
をはじめ韓国、マレーシア、フィリピンを歴訪した。特に日本での
共同声明は「日米同盟は地域(アジア太平洋地域)の平和と安全の
礎であり、グローバルな協力の基盤。日本の積極的平和主義と米国
のリバランス政策は、平和で繁栄したアジア太平洋を確かなものに
するため同盟が主導的な役割を果たすことに寄与する・・・・米国は
日米安保条約のもとでのコミットメントを果たすため必要な全ての
能力を提供する。コミットメントは、尖閣諸島を含め日本の施政下
にある全ての領域に及ぶ、尖閣諸島に対する日本の施政を損なおう
とするいかなる一方的な行動にも反対する」と中国を牽制した。
さらに日本の集団的自衛権行使容認の閣議決定後、ヘーゲル米国
防長官は7月1日、「自衛隊のより幅広い作戦を可能にし、日米同
盟をより効果的にするものとして歓迎する」との声明を発表した。
「地域や世界の平和や安全に貢献しようとしている日本にとり重要
な一歩だ」と評価。年末までに予定する日米防衛協力の指針(ガイドラ
イン)改定に向け、「同盟を最新のものとする努力を補完する」と
期待を示した。
また、ローズ米大統領副補佐官は同日の記者会見で、「新政策に
ついて明確にする外交努力を果たし、誤解を防ぐために透明性を確
保した」とし、日本政府による近隣諸国に対する説明努力を評価。
国務省のハーフ副報道官も中国や韓国の反発について、「日本が近隣
諸国に十分な説明をしてきたとして、退けた」(産経ニュース)と米
国政府の声明が相次ぎ、小野寺国防相が訪米した際にもヘーゲル国
防長官から同様の歓迎の挨拶を受けている。
これは日本にとって大きな成果だったと云われているが、田岡氏の
の云うとおりであれば、なぜ米国は日本との共同声明で、このよう
な発表をしたのか。日本の顔を立てるためか?
そして次の言辞だ。
「中国は米国債を1兆3千億ドル保有して米財政を支え、外貨準備
高3兆7千億ドルのうち大部分を米・ウォール街で運用する米金融・
証券の最大顧客だ。中国が米政府財政と金融を支えている。さらに
大きいのは軍需産業だ。・・・・・・
一方、中国にとっても米国は最大の輸出先、投資先だ。中国は米
国との関係について、不衝突、不対抗、相互尊重、合作共栄という
「新型大国関係」を目指すと表明し、オバマ大統領も賛成している。
米中間には強固な相互依存関係が構築され、片方が倒れれば他方
も崩壊する構図になっている。だから両国は戦争を避けようとする」
先述したように、「軍事評論家」が、ど素人でも知っているような
ことをしたり顔で言って恥ずかしくないのか?中国はそのことを十分
に承知の上で、サイバー攻撃なども平気で行い、米国を激怒させる
手前のところで、いろいろ画策しているのに、何を寝ぼけたことを
仰る。「中国にとっても米国は最大の輸出先、投資先だ。中国は米
国との関係について、不衝突、不対抗、相互尊重、合作共栄という
『新型大国関係』を目指すと表明し、オバマ大統領も賛成している?」
田岡氏の「空虚な国際感覚」では、この程度の理解が限度
なのだろう。オバマ大統領と習近平主席の共同記者会見の模様は
テレビで見たが、習近平主席が米国との「新しい大国関係を」と云
ったときのオバマ大統領の表情は習近平主席の提案に「大賛成」と
いう表情ではなかった。苦笑しているようにしか見えなかったし、
世界は唖然としたはずだ。
なぜか。OECDの加盟国でもなくIMF等の世界銀行に対する出資は日本
を下回る。大国を自認するのであれば、まず米国同様の無償の国際
援助を日本以上に行うべきで、これを抜きにした中国の「新しい大
国関係」などは一笑に付される戯言に過ぎないのだ。「オバマ大統領も
賛成している」などと発言等の裏も読めないし、洞察力もない「軍事
評論家」なんて看板倒れもいいところだ。
しかも「閣議決定の内容について『個別的自衛権という中身に、集団
的自衛権というラベルを貼ったようなもの』と一蹴する。事例を挙
げての議論についても『ほとんど無意味。戦争は千変万化。互いに
想像し得ないような悪知恵を意図的に考え出して作戦を練るのが戦
争だからだ』と述べ、『専守防衛という戦後貫いてきた自衛隊の位置付
けから一歩踏み出す転換点』と重くみる一方で、『安倍首相の独り
善がりによる中身のない宙に浮いた結論』と、結構手厳しいが、ご
自身の言説は「戦争は千変万化」と言いながら一面的な見方しかして
いないではないか。これは朝日的な中国寄りの論調そのものだ。
そして次はなんだ?
「理由は閣議決定の文言だ。「行使の条件が『日本の存立、国民の生
命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合』
とすれば、それは個別的自衛権の問題。従来の憲法解釈でも自衛権
を行使できるケースになる」と分析する」
アホか!閣議決定の文言の一部を捉えて「個別的自衛権の問題」など
と何を頓珍漢なことを仰る。先の当ブログでも「1000人委員会」の
東京新聞の編集委員兼論説委員の半田氏の講演で閣議決定の一部を捉
えて集団的自衛権行使の文言を歪曲していることを指摘したが、この
権威主義者の軍事評論家も「行使の条件が『日本の存立、国民の生命、
自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合』と
すれば、それは個別的自衛権の問題」と一連の文脈である前述の文言
を省いて同様の歪曲を平然と行なっている。
「 我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福求の権利が
根底から覆される明白な危険がある場合」の前の文言「我が国に対
する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にあ
る他国に対する武力攻撃が発生し、これにより」を除いて閣議決定
を批判するという狡猾で悪意のある論説は、歪曲そのものであり、
およそ軍事評論家とは名ばかりの権威主義者の戯言に過ぎない。
「軍事評論家」と称する人物の言説を批判するのは、初めて
だが、こんな滑稽な言説を弄する人物を批判するのは曾野綾子氏
以来だ。疲れるけど面白い。大いに語ってもらいたいものだ。
以下についてはこの辺で次回に割愛したい。
よろしくお願いします。
権威主義者で
「軍事評論家」の
田岡俊次氏よ
論評が、あまりにも一面的で平板だ
軍事評論家には
一方目(もく)ではなく
兵法・八方目(はっぽうもく)の
構えが必要だ
少林寺拳法をやって
鍛え直せ
ージ目に「集団的自衛権を考える(21)「国際情勢は変わったの
に」軍事評論家・・・とあり、軍事評論家の名前が表示されていない
ので気になってクリックすると、軍事評論家・田岡俊次氏の名前が
出ていた。田岡俊次氏が、どういう評論家か知らないので、ネット
を検索すると映像があったので見てみると、テレビで観たことが
ある顔だった。さらにウィキペディアを調べてみると、大変な
出自の持ち主だ。冒頭の「来歴・人物」に
「祖父は明治期の漢学者で民権運動家の田岡嶺雲、大叔父(嶺雲の兄)
は三菱総理事の木村久寿弥太、父親が国際法学者で、元京都大学
法学部長だった田岡良一」とある。そして来歴は
「米国ジョージタウン大学戦略国際問題研究所(CSIS)主任研究員
兼同大学外交学部講師、朝日新聞編集委員(防衛担当)、ストッ
クホルム国際平和研究所(SIPRI)客員研究員、「AERA」副編集長
兼シニアスタッフライターを歴任。湾岸戦争時に再び朝日新聞編
集委員も兼ねる。1999年筑波大学客員教授。 現在はフリーの軍事
ジャーナリスト、CS放送 朝日ニュースター解説委員、パックイン
ジャーナルのレギュラー・コメンテーター。
戦史や国際条約に詳しく、東京本社社会部の防衛庁担当記者とし
て防衛庁・自衛隊に対し相当な影響力を持っていたため、新聞業
界・防衛庁関係者の間で「田岡元帥」の異名を取った。
1982年には「建設談合問題」で日本新聞協会賞を受賞している」
と出色である反面、権威主義者の一面も持つ。
「 日本航空123便墜落事故において自衛隊の救難活動を非難する
朝日ジャーナルなどの報道に抗議を行った空幕広報室長(1佐)に
「お前はバカだよ。飛ばしてやろうか」と発言したことが文藝春
秋昭和61年新年特別号で暴露されたり(空幕広報室事件、防衛庁
内で酒に酔って毎日新聞の記者に暴力を振るうという事件も起
こした」この言辞が本当なら、まさに権威主義者だ。素晴らしい
出自と来歴を笠にきて恫喝しているとしか思えず、およそ評論家の
風上にも置けない。
通常、これほど著名な評論家ともなれば、自信に裏付けられた包容力
と謙虚さを発揮するものだが、田岡氏は自己顕示欲が強いのか、言葉
の暴力へと突き進む。
この権威主義者の記事は、下記のようにインタビューしたものを取材
形式で記述している。
「安倍政権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。軍事評論家
の田岡俊次さんは安倍晋三首相の空虚な国際感覚にこそ危機を感じ
る。第1次安倍政権から7年を経て、米国は「テロとの戦い」から
財政再建・輸出倍増路線へと変わった。それを踏まえずに、集団的
自衛権を「手土産」に訪米しようとする安倍首相の振る舞いを「情
勢を読めない間抜け」と言ってはばからない。一方で、今後戦争へ
の道を歩むという危機感もまた「感情的で具体性がない」。双方に
抜け落ちているのは「相手国の立場に立つ」という視点。懸念はす
なわち、国際情勢の変化を踏まえない行動による「日本の孤立」だ」
から始まる。
当方は安倍首相を庇うつもりはないが、田岡氏の言説もまた「空
虚な国際感覚」から発せられてはいないか。つまり田岡氏は安倍政
権が集団的自衛権の行使容認を閣議決定したのは「情勢を読めない
間抜け」な「安倍晋三首相の空虚な国際感覚」がなさしめたものだ
と嘲笑して憚らないが、田岡氏も安倍首相に劣らず「情勢を読めな
い間抜け」ではないのか?
田岡氏は「米国は『テロとの戦い』から財政再建・輸出倍増路線へ
と変わった」という認識を示しているが、この言辞は氏が後に述べる
「■米中戦争の空論」で、米国の貿易相手国で第三位に位置し
米国債最大保有国の中国との関係を意識したものと思われるが、こ
れは明らかに「周辺事態」という概念を喪失した文言だ。核弾頭の
小型化に成功したといわれる独裁国家・北朝鮮に対する認識が田岡
氏の頭の中にはないという硬直した「空虚な国際感覚」を図らずも
自ら露呈したことになった。
先ず「テロとの戦い」は言葉こそオバマ大統領が使用を禁止し、イ
ラクから撤退しても「テロとの戦い」は依然として続いていること
と、「テロとの戦い」と「財政再建・輸出倍増路線」とは問題の本
質が異なる。従って「米国は『テロとの戦い』から財政再建・輸出
倍増路線へと変わった」のではなく「テロとの戦い」と「財政再建
・輸出倍増路線」は依然として継続中いうことだ。確かにオバマ政
権一期目の4年間はブッシュが残した「テロとの戦い」・減税・景
気低迷による巨額の財政赤字と大統領選終盤に勃発した「リーマン
・ショック」による恐慌によって失業者が街に溢れ、米国の財政赤
字は大幅に膨らんだ。米国内の経済活動だけで雇用を創出するには限
度があるという調査結果から輸出による雇用創出を目指しオバマ政
権が策定したのが「輸出倍増計画」といわれている。従って米国に
とって日本を抜いて第三位の輸出国となった中国と「共存共栄」の
関係を更に発展させたいのが米国の本音であることは言を待たない。
これは米国に限らず中国を主要な貿易相手国にしている日本を始め
とした他の国々も同様だ。これを承知で逆に米国の忍耐の限度を確
かめながら米国に挑戦しているのが中国なのだ。こういうことにも
言及できない「軍事評論家」などは、もはや「軍事評論家」を名乗る
資格はない。
しかも述べていることはど素人の当方でさえも知っている常識の範
囲で、なにも「軍事評論家」しか知らないわけではない。それをし
たり顔で「財政再建・輸出倍増路線へと変わった」という言い方が
あまりにも傲岸で一面的過ぎる。
軍事評論家を標榜するのであれば、別の角度からも米国の有様を
捉えるべきであろう。
キャノングローバル戦略研究所の主任研究員・辰己由紀さんの記事が
あったので、一部を転記した。
「三正面」に対応しなければならない米国
「・・・・・ 第二次世界大戦後、米国の国防政策は基本的に
二正面作戦に対応することを前提に策定されてきており、米軍の態
勢もその前提で整えられてきた。この態勢が、近年、国家財政状況
の悪化で国防予算削減が余儀なくされる状況になってきたために維
持できなくなり、1.5正面、つまり大規模な軍事行動を一つの地域で
展開しつつ、ほかの地域での小規模な武力衝突に対応できる態勢を
目指す流れに移行してきていた。今回、イラクに米軍を再び関与さ
せなければならなくなったことで、米国は外交的には「中東・欧州
・アジア太平洋」の三正面に対応しなければならなくなり、国防面
でもこの3つの地域にそれなりに説得力のある軍事力を展開しなけれ
ばならなくなった。予算に制約が課されたままの状態でこのような
事態に陥ったため、結果、どの地域においても満足の行く対応がで
きない結果になるリスクが生じているのである」
従って産経ニュース「オバマ氏は、イラクとアフガニスタンから
“足抜け”する動きと相まって、中東への関与を低下させてきた。
米国という“重し”が軽くなったことは、多国間外交を動かす一方、
中東などのタガを外した。そのことはイスラム国や、ひいては中国、
ウクライナ情勢にみられるロシアの台頭を助長した遠因だともいえる」
という状況なのだ。
にもかかわらず田岡氏は硬直した空論をのたまう。
「今後戦争への道を歩むという危機感もまた『感情的で具体性がない』
双方に抜け落ちているのは『相手国の立場に立つ』という視点。懸
念はすなわち、国際情勢の変化を踏まえない行動による『日本の孤立』
だ」まるで学生の議論のレベルで、我が国の領土に「防空識別圏」を
設け、領空・領海侵犯を常態化させ、自衛隊機に異常接近したり
海上自衛隊の艦船にミサイル照射を行って威嚇してくる中国に対し、
更にいつ暴発してもおかしくない独裁国家・北朝鮮に対して、「相
手の立場に立つ」という視点とは、どういうことを言うのか?
説明してみろ!このことこそまさに田岡氏自身が「空虚な国際感覚」の
持ち主で、空論を弄んでいるのだ。更に「国際情勢の変化を踏まえない
行動」である「安倍内閣の集団的自衛権行使の閣議決定」によって
日本が孤立するなどと間抜けな発言だ。権威主義者よ、よく世界情勢
を見よ!
米国のアジア・リバランス政策は、今年4月、オバマ大統領が日本
をはじめ韓国、マレーシア、フィリピンを歴訪した。特に日本での
共同声明は「日米同盟は地域(アジア太平洋地域)の平和と安全の
礎であり、グローバルな協力の基盤。日本の積極的平和主義と米国
のリバランス政策は、平和で繁栄したアジア太平洋を確かなものに
するため同盟が主導的な役割を果たすことに寄与する・・・・米国は
日米安保条約のもとでのコミットメントを果たすため必要な全ての
能力を提供する。コミットメントは、尖閣諸島を含め日本の施政下
にある全ての領域に及ぶ、尖閣諸島に対する日本の施政を損なおう
とするいかなる一方的な行動にも反対する」と中国を牽制した。
さらに日本の集団的自衛権行使容認の閣議決定後、ヘーゲル米国
防長官は7月1日、「自衛隊のより幅広い作戦を可能にし、日米同
盟をより効果的にするものとして歓迎する」との声明を発表した。
「地域や世界の平和や安全に貢献しようとしている日本にとり重要
な一歩だ」と評価。年末までに予定する日米防衛協力の指針(ガイドラ
イン)改定に向け、「同盟を最新のものとする努力を補完する」と
期待を示した。
また、ローズ米大統領副補佐官は同日の記者会見で、「新政策に
ついて明確にする外交努力を果たし、誤解を防ぐために透明性を確
保した」とし、日本政府による近隣諸国に対する説明努力を評価。
国務省のハーフ副報道官も中国や韓国の反発について、「日本が近隣
諸国に十分な説明をしてきたとして、退けた」(産経ニュース)と米
国政府の声明が相次ぎ、小野寺国防相が訪米した際にもヘーゲル国
防長官から同様の歓迎の挨拶を受けている。
これは日本にとって大きな成果だったと云われているが、田岡氏の
の云うとおりであれば、なぜ米国は日本との共同声明で、このよう
な発表をしたのか。日本の顔を立てるためか?
そして次の言辞だ。
「中国は米国債を1兆3千億ドル保有して米財政を支え、外貨準備
高3兆7千億ドルのうち大部分を米・ウォール街で運用する米金融・
証券の最大顧客だ。中国が米政府財政と金融を支えている。さらに
大きいのは軍需産業だ。・・・・・・
一方、中国にとっても米国は最大の輸出先、投資先だ。中国は米
国との関係について、不衝突、不対抗、相互尊重、合作共栄という
「新型大国関係」を目指すと表明し、オバマ大統領も賛成している。
米中間には強固な相互依存関係が構築され、片方が倒れれば他方
も崩壊する構図になっている。だから両国は戦争を避けようとする」
先述したように、「軍事評論家」が、ど素人でも知っているような
ことをしたり顔で言って恥ずかしくないのか?中国はそのことを十分
に承知の上で、サイバー攻撃なども平気で行い、米国を激怒させる
手前のところで、いろいろ画策しているのに、何を寝ぼけたことを
仰る。「中国にとっても米国は最大の輸出先、投資先だ。中国は米
国との関係について、不衝突、不対抗、相互尊重、合作共栄という
『新型大国関係』を目指すと表明し、オバマ大統領も賛成している?」
田岡氏の「空虚な国際感覚」では、この程度の理解が限度
なのだろう。オバマ大統領と習近平主席の共同記者会見の模様は
テレビで見たが、習近平主席が米国との「新しい大国関係を」と云
ったときのオバマ大統領の表情は習近平主席の提案に「大賛成」と
いう表情ではなかった。苦笑しているようにしか見えなかったし、
世界は唖然としたはずだ。
なぜか。OECDの加盟国でもなくIMF等の世界銀行に対する出資は日本
を下回る。大国を自認するのであれば、まず米国同様の無償の国際
援助を日本以上に行うべきで、これを抜きにした中国の「新しい大
国関係」などは一笑に付される戯言に過ぎないのだ。「オバマ大統領も
賛成している」などと発言等の裏も読めないし、洞察力もない「軍事
評論家」なんて看板倒れもいいところだ。
しかも「閣議決定の内容について『個別的自衛権という中身に、集団
的自衛権というラベルを貼ったようなもの』と一蹴する。事例を挙
げての議論についても『ほとんど無意味。戦争は千変万化。互いに
想像し得ないような悪知恵を意図的に考え出して作戦を練るのが戦
争だからだ』と述べ、『専守防衛という戦後貫いてきた自衛隊の位置付
けから一歩踏み出す転換点』と重くみる一方で、『安倍首相の独り
善がりによる中身のない宙に浮いた結論』と、結構手厳しいが、ご
自身の言説は「戦争は千変万化」と言いながら一面的な見方しかして
いないではないか。これは朝日的な中国寄りの論調そのものだ。
そして次はなんだ?
「理由は閣議決定の文言だ。「行使の条件が『日本の存立、国民の生
命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合』
とすれば、それは個別的自衛権の問題。従来の憲法解釈でも自衛権
を行使できるケースになる」と分析する」
アホか!閣議決定の文言の一部を捉えて「個別的自衛権の問題」など
と何を頓珍漢なことを仰る。先の当ブログでも「1000人委員会」の
東京新聞の編集委員兼論説委員の半田氏の講演で閣議決定の一部を捉
えて集団的自衛権行使の文言を歪曲していることを指摘したが、この
権威主義者の軍事評論家も「行使の条件が『日本の存立、国民の生命、
自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合』と
すれば、それは個別的自衛権の問題」と一連の文脈である前述の文言
を省いて同様の歪曲を平然と行なっている。
「 我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福求の権利が
根底から覆される明白な危険がある場合」の前の文言「我が国に対
する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にあ
る他国に対する武力攻撃が発生し、これにより」を除いて閣議決定
を批判するという狡猾で悪意のある論説は、歪曲そのものであり、
およそ軍事評論家とは名ばかりの権威主義者の戯言に過ぎない。
「軍事評論家」と称する人物の言説を批判するのは、初めて
だが、こんな滑稽な言説を弄する人物を批判するのは曾野綾子氏
以来だ。疲れるけど面白い。大いに語ってもらいたいものだ。
以下についてはこの辺で次回に割愛したい。
よろしくお願いします。
権威主義者で
「軍事評論家」の
田岡俊次氏よ
論評が、あまりにも一面的で平板だ
軍事評論家には
一方目(もく)ではなく
兵法・八方目(はっぽうもく)の
構えが必要だ
少林寺拳法をやって
鍛え直せ