うなずいたソラは、リンゴの誘惑から我に返ったウミの手を取り、図工室から駆け出して行った。
「邪魔するんじゃないよ、青い鳥を逃がしちまうじゃないか」と、足にしがみついて離そうとしないニンジンを引きずるように歩きながら、魔女が言った。「マーガレットや、その二人を逃がすんじゃないよ」
暗い廊下から、メイドの姿をした女の子が、何事もなかった顔で図工室に入ってきた。
「おばさま、どうして子供が足にしがみついてるんですの?」
「そんなことより、外に出て行った二人はどうしちまったんだい」と、魔女は不機嫌そうに言った。
「あら――」と、女の子は思い出したように言った。「あの二人なら、私に気がつきもしないで、走って行っちゃいましたけど……」
「捕まえろって言ったじゃないか。まったく、役立たずだねぇ」と、魔女は怒って言った。
女の子は、表情を変えないまま言った。
「仕方がありませんわ。捕まえる前に、走って行ってしまったんですもの」
魔女がため息をもらすと、ニンジンが言った。
「おばちゃん、どうして青い鳥を追いかけてるのか、くわしく教えてくれよ」
立ち止まった魔女は、
「はぁ……」
と、もう一度深いため息をついた。