【小さな発見だけれど、意外と大事かもしれない】
あるフランス人の読者と、この小説について議論していて気付いたことがある。彼女は、件の鋭い突っ込みで、小説のテーマの「珠」について、あらゆる角度から質問を浴びせてきた。腹の底までえぐられるような鋭さだったが、一方で艶と温もりを帯びた「珠」が生き生きと甦り、二人の間の空間に浮かび上がるのを見る思いがした。そこには、ある種達成感とか喜びの感覚も伴っていた。ーー従来、ものの本にはフランス人は議論好きだとあちこちに書かれているし、実際そうだから、そういうものだと信じてきた。だが、そこには、微妙なニュアンスのずれがあることに気付いた。
日本人が議論するとか質問するという場合、詮索するとか意見を戦わせるとか、何かと角が立ち易い傾向がある。まさに、智に働けば角が立つ文化背景がある。沈黙は金になったりする。
一方、フランス人の場合、それは「歌うこと」に近いのだ。かなり飛躍した発見だったが、例えば美味しい料理を論じ、つまり美しい言語で歌い上げ、さらに味わい尽くす。絵においても、音楽、文学においてもしかりだ。
長い間フランス語を勉強してきて、たったこれだけのことに、今頃になって気付いた。
https://www.facebook.com/koyama.yujin/posts/534094660082899
あるフランス人の読者と、この小説について議論していて気付いたことがある。彼女は、件の鋭い突っ込みで、小説のテーマの「珠」について、あらゆる角度から質問を浴びせてきた。腹の底までえぐられるような鋭さだったが、一方で艶と温もりを帯びた「珠」が生き生きと甦り、二人の間の空間に浮かび上がるのを見る思いがした。そこには、ある種達成感とか喜びの感覚も伴っていた。ーー従来、ものの本にはフランス人は議論好きだとあちこちに書かれているし、実際そうだから、そういうものだと信じてきた。だが、そこには、微妙なニュアンスのずれがあることに気付いた。
日本人が議論するとか質問するという場合、詮索するとか意見を戦わせるとか、何かと角が立ち易い傾向がある。まさに、智に働けば角が立つ文化背景がある。沈黙は金になったりする。
一方、フランス人の場合、それは「歌うこと」に近いのだ。かなり飛躍した発見だったが、例えば美味しい料理を論じ、つまり美しい言語で歌い上げ、さらに味わい尽くす。絵においても、音楽、文学においてもしかりだ。
長い間フランス語を勉強してきて、たったこれだけのことに、今頃になって気付いた。
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