「香港リテラシー」で検索すると、論文以外にもかなり熱いページが出てきます。
ここでは上海閥と香港の連携が語られており、北京閥(党)はその力を削ぐために弾圧していると書かれています。
胡(フー)は上海閥の若手ホープだったので香港の財閥とも昵懇の仲で、彼等の苦境を自分のコトとして受け止めます。
一番の痛手は海外からの投資が香港を離れてしまったコトで、かつて「アジアの真珠」と讃えられた輝きはもう香港にありません。
ここで語られている様な「言論の自由」や「正統な法治」の無い社会からは、自由主義国の企業は撤退して行きます。
更に香港を代表する銀行のHSBC(上海香港銀行)はアメリカからの経済制裁を受けそうで、そうなればドルでの取引が出来なくなり破綻必至です。
こうした経済的な失墜だけでなく、文化面でも香港は大きな危機に瀕しています。
それはかつて世界屈指と讃えられた香港のジャーナリズムが死んでしまったコトに象徴され、「リンゴ日報」や「大紀元報」は閉鎖・逮捕の憂き目に会いました。(ネット記事は今でも読めます)
こうした香港ジャーナリズムは実に良く「中国のリアル」を捉えており、後世に残るリテレチア(文芸作品)も多く遺しています。
その中から私がまずお勧めしたいのは「毛主席的煉獄」で、これは世界史上最も多くの人を死に追いやった独裁者についての総括的な本です。
ここでは関連する毛沢東についての本が50冊以上も紹介されており、その要点が短い文章と写真や絵などでまとめられているので、中国文に不慣れな人でも読み易いです。
ここで一番多く引用されている文章は「墓碑」からで、この本は北京の有名新聞の主筆だった記者が香港で出したモノです。
それは著者の政治生命どころか命そのものまで賭けて書かれ、彼は末期ガンになったお陰で最期にジャーナリストとしての本懐を遂げられました。
この本は彼の親を含めた「大躍進政策」で犠牲になった4000万もの人々の「墓碑」として書かれ、闇に閉ざされた歴史に光を当てようとしています。
このテーマで世界的に最も評価の高い本は「餓鬼」で、香港生まれのイギリス人女性ジャーナリストによって書かれました。
私が初めて「香港リテラシー」を知ったのはこの本からで、人生で最も強く影響を受けた本に数えられます。
最後にもう一冊、北京で軟禁状態に置かれている王力雄の「天葬」を紹介します。
これは日本語訳されてなく古い本なので、香港の図書館でしか読めていませんが、チベット文明が如何に中国によって破壊され、それに抗ったチベット人たちが如何に散って行ったかを探り出そうとしています。
チベット人口の1/5が犠牲となった侵略を中国人が捉えようとした本は非常に稀で、彼はチベット女性(ツェリン-オーセル)と結婚もし、特別な作家として世界的な注目を浴びています。