真の動物福祉牧場を目指して

大人漫画 5選

 子供と大人の違いについて、作品を通して語るシリーズに成りましたが、 漫画はその境界が単行本のサイズで区切られています。
 しかし優れた漫画は「子供」も「大人」も文庫版になっており、私もその境界を超える作品を描きたいと思っております。

 前置きは以上とし「大人漫画」に入りますと、まず思い当たるのは「沈黙の艦隊」です。
 これも斜里の民宿に全巻あり、私は2回通読しましたがどちらも熱くさせられました。 粗筋をザックリ書くと、日米共同出資の最新鋭原子力潜水艦を自衛隊員が乗っ取り、世界中の国の原潜と対決して撃ち破って行くストーリーです。
 こう書くと「子供のケンカ」の延長線に取れますが、原潜というのは小さな原子力発電所でほぼ無尽蔵の航行能力を持ち、核ミサイルもしばしば搭載されているのでその対決は「世界最強」を決めるモノと成ります。
 これは当然「子供のケンカ」の様に単純には行かず政治問題となり、世界の海を制覇した自衛隊は「全ての戦争の終結」を宣言します。 海江田艦長は国連総会に出席して地上の核兵器全廃も迫り、それらは全て海の底に沈められるコトと成ります。

 前者のヒーローは確かにカッコいいのですが、現実にはあり得ない話です。 一方世界の山を制覇したヒーローの物語「岳」は現実味があり、「大人漫画」と呼ぶにより相応しいと言えます。
 世界中の人物が描かれているのは前著と共通し、主人公の三歩はフリーランスの山岳救助隊員として世界中で活躍し、多くのかけがえの無い命を救います。

 こんなカッコいいヒーローとは対照的な、生活保護にぶら下がる情けない大人たちを描いた「文化的で最低限度の生活」を次に挙げます。
 主人公は新卒の朗らかな女の子で、役場に就職したらイキナリ一番大変な課に回されます。
 これは「ヘルプマン」で描かれている介護福祉課よりも大変で、私もホームレスの生活保護申請を手伝ったコトがあるので彼等の苦労がよく解ります。
 そんな職場で新卒の女の子は「癒し系オーラ」を発揮し、ダメな大人たちを立ち直らせて行きます。

 続いて「法廷モノ」を挙げようかと思い、「弁護士のくず」は前に「120の妙なる法」で紹介しましたので、今回は「家裁の人」を紹介させて貰います。
 この主人公ほど「大人」なキャラクターはまず居らず、趣味は植物栽培で実に細やかな気配りに富んでいます。 彼は裁判官の仕事も趣味の様に楽しみ、何が被疑者に対して利益になるかを植物に対するのと同じ様に追求します。
 日本の法廷システムもそんな「愛」に基づく様に成るコトを願います。

 最後に「農業漫画」の白眉「SEED」を紹介します。 農業漫画と言えば「銀の匙」や「もやしもん」が人気ですが、そんな子供ダマしの作品ではなくて、本物の「大人農業」がここでは描かれています。
 主人公は世界を股に駆ける農業コンサルタントで、様々な農業的問題と向き合い解決策を示して行きます。
 中でも特に感動的なのが、砂漠化の脅威に晒されている中国北部の黄土高原の農民を救う為に、かつてそこを侵略した日本の老人が木を植えるストーリーです。
 老人はもう10年以上もその取り組みに挑んで来ましたが、どうしても木は枯れてしまいます。 そこでコンサルタントを頼り、先ずは牧草の種を入れた土団子(微生物叢が豊か)を蒔いて土壌を作り、その上で木を植えて成功します。
 老人は死ぬ前に「罪滅ぼし」が出来たコトを喜び、中国の農民たちもその徳に深い感謝を捧げます。
 
 

 

 
 

 

 
 
 
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