「農本主義」という言葉はあまり一般的に用いられていないので、解説ページを載せて置きます。
ここでは対義語として「工本主義」が挙げられていますが、欧米や日本などの先進国は既に工業国ではなく、今では中国や東南アジア、インドや南米などが「工本主義」の国と成っております。
その中で一足先に「商本主義」へと脱皮したのが中国の上海や広州で、「商」は明らかに「工」と「農」を支配して搾取しています。
日本も明らかに「商本主義」の国ですが、それが他の主義よりも優れているとは決して言えず、故船井幸雄氏(経営コンサルタントの神と呼ばれた)はそれを「ムダ·ムリ·ムラ」と評しました。
「ムダ」は日本では食品廃棄物の多さが象徴的で、「ムリ」は過労死やそれと対極的な生活保護の増加が示しており、「ムラ」はパチンコや麻雀、競馬やFXなどのギャンブル依存社会として現れています。
果たしてこんな「商本主義」に未来があるのかは疑問で、それに見切りを付けて過去の主義に回帰しようとする人も増えて来ています。
そこでは「工本主義」に帰ろうとする人はまず居らず、前の朝ドラ(舞いあがれ)では町工場を応援していましたが、その仕事はもう発展途上国に委ねる流れになっています。
かくして先進国では「農本主義に回帰する」流れが生まれていますが、単純に昔の農村の様な暮らしをしようとするのは、日本ではまずムリでしょう。
それが可能なのは現代ではムスタンやシッキム、ブータンなどで、これらの国々では昔ながらの有機農業が発展した形で受け継がれています。
日本や欧米ではいったん有機農業の伝統が喪われてしまった為、その発展にも乗り遅れていますが、西ヨーロッパ(フランス、オランダ、スイスなど)では美食主義の伝統から有機農業の発展に敏感な反応を見せており、本当に価値のある作物の需要が高まっています。
それは「超微量ミネラル」を豊富に含む作物で、抗酸化力の高い作物としても評価されます。
人体に必須の「Ultra Trace Mineral」は作物の酵素や色素の核を成しており、それらを食べるコトで人体の酵素も核を得て増殖します。
生き物はみんな酵素の量が若々しさと直結しているので、「超ミネラル」こそ若さと健康の源と言え、そうした多様なミネラルを土と水から吸収する作物の根は、人間の腸と同じく無数の微生物から成る絨毛で覆われています。
そのため根と腸は同様の働きをし、菌根は酸で土を溶かして消化しています。
これを専門用語ではミネラリゼーションと呼び、強力な酸を作る乳酸菌や酪酸菌は微生物界では消費者と呼ばれています。
彼等は太陽の光から糖を作る生産者(光合成細菌)と、朽ちた有機物を料理する分解者(酵母)のお陰で生きられますが、酸の力は悪玉菌を抑える働きもし、それと酵母が与えてくれる栄養のお陰で、小さくて弱い光合成細菌は原始のパワー(放射線をも吸収する)を発揮できます。
この微生物界の三位一体の関係は、人間界では生産を担う農業、加工を行う工業、消費とサービスを生む商業の三位一体と喩えられます。
日本では「農本主義への回帰」を目指すと言っても、車やスマホは利用しなければやって行けないので、「農·工·商」の三位一体こそが真に求められる道と言えるでしょう。