「明けない夜は決して無い」という格言は、地球上では確実ですが、コト宇宙の旅では確言できません。
太陽系を離れて隣りの恒星へ行くには4光年強の道のりがあり、この「長い夜」を越えるコトは、物理的、生物的に不可能とすら思えます。
しかし、魂の次元ならばそれを乗り越えるコトは可能で、「Sunの物語」の地球を飛び立った銀河鉄道には朝が訪れます...
ここで話をいったん現実に引き戻しますと、わたしは19歳で初めて、中国にて夜行列車に乗りました。
日本にも昔は夜行列車が多くあったそうですが、国土が狭いので今では殆ど走っていません。
しかし中国は広いので、殆どの列車が夜を越えて走る感じです。
わたしは「テツ」ではありませんが、20年前頃の中国鉄道は非常に安くて、夜を越える距離を乗っても20元(300円弱)足らずでした。
当時は10元で泊まれるネットカフェを知らず、外国人は数100元もする高級ホテルにしか泊まれなかった時代なので、もっぱら夜行列車を宿代わりにして旅したモノです。
中国では街がやたらとケバケバしい光を放っていますが、田舎は反対に閑散としていて非常に暗く、広大な宇宙に星が点々と浮かんでいる様な印象を抱きました。
街と街との間の距離も非常に長く、まるで銀河と銀河の間を旅している様な気分が味わえました。
わたしはもっぱら1番安い「無座」の車輌に乗っていましたが、そこは荷棚の上まで人が陣取っているようなギュウギュウ詰め状態が常でした。
わたしはもっぱら座席の下に潜り込んで寝ていましたが、彼等はもっぱらヒマワリの種を齧って殻を投げ捨てるので、その殻に埋もれて眠る感じでした。
元気な時はよく、彼等と一緒に白酒(バイジュウ、50度)を飲み「闘地主」というトランプゲームに興じました。
これはもちろんお金が賭かっており、3人でやるゲームですが彼等はタッグを組んでいたのか、わたしは常に20元ほどやられてました。
この300円弱のお金は、彼等にとって半日肉体労働をして稼げる金額なので、決して安くはありません。
しかしわたしは高専生の頃から点5の雀荘(学生向け)でアルバイトをしており、これは二交代制で夜のシフト(夕方5時から朝5時まで)に入っていたので、一晩で一万円勝ったり負けたりしていました。
なので300円は半荘一回のゲーム代に過ぎず、高粱の香りが素晴らしい白酒(一瓶2元)を奢ってもらえ気持ち良く酔えたので、負けるのはまったく苦にしませんでした。
時には白熱して朝まで「闘地主」に興じたコトもあり、そんな時は雀荘でアルバイトしていた頃と同じく、あっという間に夜が過ぎ去る感を覚えました。
人間は楽しいコトに熱中していると時を忘れるので、「Sunの物語」でもそんな楽しい銀河鉄道にして、長い夜をあっという間に越えられる様にしたいと思います。