果たしてこの宇宙には、われわれよりも進んだ文明が存在するのでしょうか?
この問いに真剣に答えているコラムが在りましたので、まずはそれを参考にしてみます。
ここでは、天の川銀河だけで400億もの命の星が存在するとし、宇宙全体の銀河の数は2兆としています。
こうした理論物理学の数字はわれわれの想像力を凌駕しており、そのためマジメに宇宙文明を研究する人は少ないようです。
そもそも、人類はまだ30光年先までにしか電波を届かせられず、天の川の直径が10万光年なのを考えると、途方もない無力感を抱かさせられます。
この科学的にはどうしようもないスケール-ギャップ(広大な隔たり)を、埋める方法は果たして存在するのか?
この問いは、物語において学聖アゼルに抱き続けて貰います。
「Sun物語」では天界の文明と精神的に経(つな)がる方法として、「真空の川」を想定しました。
これは純粋にスピリチュアル(宗教的)なモノで、きっと宇宙の創造主は文明間でのコミュニケーションを望んでいるとする信仰から来ています。
学聖アゼルにもこの「真空の川」を泳いで貰いますが、彼には他の「銀河鉄道」の乗客とは一味違った役割を与えようと思います。
それは、われわれよりも進んだ宇宙文明から学問を吸収する役割で、彼は常に謙虚に学ぶ姿勢を保ちます。
これこそが彼をして「学聖」と呼ばれた要因であり、アゼルは地球の知性を代表する存在として、多くの進んだ文明の人達から学んで、宇宙の真理を解き明かそうとします。