未来の物語を描く上で、どうしても「惨禍」を避けて通るコトはできません。
近い未来に頻発する「惨禍」は洪水で、これは高潮と河川の氾濫の両方です。
高潮については、すでにジャカルタ、ダッカ、カラチなどの一千万都市で被害が拡大しており、膨大な数の「気候難民」が発生しております。
中でもカラチは世界最悪とされ、ここはインダス川の氾濫もダブルパンチで受け、「世界最大の難民都市」となっております。
2022年の大洪水ではパキスタン国土の1/3が水没し、それは主に穀倉地帯だったため国家経済が破綻してしまいました。
この「惨禍」の原因は地球温暖化とされていますが、実はもう一つ人為的な原因があります。
それは皮肉にも、インダス川を制御して利用しようと造られた灌漑施設の老朽化による破綻で、これは大英帝国の遺産です。
この歴史については「水の未来」という本が詳しく、出来た当初は大きな経済発展をもたらしたので、イギリス人の善意は疑えません。
しかし、乾燥地帯を灌漑するとまず確実に「塩害」が生じ、特に経済性を第一とした綿プランテーションや、水を大量に必要とする「緑の革命」(化学肥料に適応した品種改良)の小麦栽培では避けられません。
結果的に「インダス文明の地」はイギリスによって搾取され崩壊し、今では下のコラムの様な状態になっております。
今現在、人類最古の文明の1つ「インダス」は「惨禍」の中心となっており、この「渦」はインドから世界全体までを巻き込んで行きそうな勢いです。