その日、シンは地方公務で、離宮に泊まることになっていた。
ヘミョンが女帝として采配を振るうようになって数ヵ月。
シンは、彼女の力になれるよう、再びチェギョンと暮らせるよう頑張っていた。
6月の最高気温を更新したその日、シンは夜風に当たりながら本を読んでいた。
田舎の夜は思うより早い。
21時を回ったばかりにも関わらず、辺りは静まり返り、己の耳に届くのはページを繰るときの紙音のみだ。
その時、不意に窓の向こうを光が走った気がした。
「?」
シンはいぶかしがりながら、外へ繋がる大窓を押し開けた。
用意された履き物に足を下すと、光の向かったであろう方へ歩を進めた。
『シン君、なんだろうね?』
聞こえるはずの無い声に、苦笑を浮かべた。
以前のシンならば追いかけることはおろか、興味も持たなかったであろう。
シンは鬱蒼とした緑の中に足を踏み入れた。
枝をかき分け、濃い緑の匂いがシンの鼻をくすぐる。
思わず眉根を寄せた時、目の前の風景が一気に開けた。
「わぁ」
シンが思わず子どものような声を漏らした。
その瞳に映ったのは、吸い込まれそうなほど近くに見える満天の星空だった。
「チェギョンに見せたいなぁ」
何気無く発した自分の一言に、どれぼど己が彼女を欲しているか分かる。
吸い込まれそうな満天の星空も、一人では味気無い。
「隣にいればこそ、か」
ふと浮かんだ彼女の笑い顔に、シンもつられるように笑っていた。
ヘミョンが女帝として采配を振るうようになって数ヵ月。
シンは、彼女の力になれるよう、再びチェギョンと暮らせるよう頑張っていた。
6月の最高気温を更新したその日、シンは夜風に当たりながら本を読んでいた。
田舎の夜は思うより早い。
21時を回ったばかりにも関わらず、辺りは静まり返り、己の耳に届くのはページを繰るときの紙音のみだ。
その時、不意に窓の向こうを光が走った気がした。
「?」
シンはいぶかしがりながら、外へ繋がる大窓を押し開けた。
用意された履き物に足を下すと、光の向かったであろう方へ歩を進めた。
『シン君、なんだろうね?』
聞こえるはずの無い声に、苦笑を浮かべた。
以前のシンならば追いかけることはおろか、興味も持たなかったであろう。
シンは鬱蒼とした緑の中に足を踏み入れた。
枝をかき分け、濃い緑の匂いがシンの鼻をくすぐる。
思わず眉根を寄せた時、目の前の風景が一気に開けた。
「わぁ」
シンが思わず子どものような声を漏らした。
その瞳に映ったのは、吸い込まれそうなほど近くに見える満天の星空だった。
「チェギョンに見せたいなぁ」
何気無く発した自分の一言に、どれぼど己が彼女を欲しているか分かる。
吸い込まれそうな満天の星空も、一人では味気無い。
「隣にいればこそ、か」
ふと浮かんだ彼女の笑い顔に、シンもつられるように笑っていた。