雲上楼閣 砂造宮殿

気ままに自分勝手なブログ。徒然に書いたり、暇潰してみたり、創作してみたり・・・

生存報告の更新3

2011-07-02 19:28:39 | Weblog
「1週間ですか?」
アゼルは秘書に休暇を申し入れた。
「あぁ。イルスとエナの様子を見に行こうと思います」
すでにベテランの域にある女性秘書は表情を変えずに答えた。
「難しいですね」
途端、アゼルは深い溜め息を吐いた。
「そうでしょうね。でも、不可能では無い?」
秘書は手帳に一通り目を通してアゼルを見た。
「可能ですが、社内会議を2件ほど、動かす必要がございます」
さすがのアゼルも眉根を寄せた。
「担当者には申し訳ないが、会議をどちらか前後に移動を。可能ならばネット会議でも構いません」
秘書はアゼルの言葉に頷くと、執務室から辞したのだった。
アゼルは溜め息と共に椅子の背凭れに身を沈めた。
20台にも関わらず、創業者一族であるがゆえに支社長に着く彼にとって、長期の休みを取ることは難しかった。
アゼルは天井を見上げるようにどこか遠くを見ると、未決済箱から書類を取り出したのだった。