雲上楼閣 砂造宮殿

気ままに自分勝手なブログ。徒然に書いたり、暇潰してみたり、創作してみたり・・・

生存報告の更新4

2011-08-19 21:52:59 | Weblog
「イルス、歴史の課題は終わった?」
イルスはエナの声に、勢いよく顔を上げた。
「…エナぁ…」
その顔は両眉がハの字に下がったなんとも情けない顔で、エナは思わず吹き出してしまった。
「フフッ、イルス、何ていう顔してるの?」
「だぁってぇ…」
舌足らずな甘え口調にやっぱりと思いながら机を覗き込めば、そこには美術史のノートが開かれていた。
「何が分からないの?」
エナがノートを覗き込みながらそうたずねた。
「ん~と、ね、ここと、ここと、ここ!」
「はぁ?」
エナは思わず首を傾げた。
決して難しいとは言い難い部分であるし、なにより、先日の課題から続く部分だ。
以前できていた物ができなくなっているとは、どのような事だろうか。
「ねぇ、イルスはこの部分をどう解釈してるの?」
エナは母国語でそうたずねた。
「え?」
イルスは指摘された部分を母国語に訳して言葉にした。
「アイデン王はヨエラの死後、新たな妃を迎えた。また、ヨエラはラキと名付けて国を治めた…?」
エナはそれで納得した。
「前回、アイデン王がヨエラ妃を迎えた後、再び妃を迎えたのは覚えてる?」
イルスは頷いた。
「ここは、なぜアイデン王が新たな妃を迎えたかが説明されてる」
エナはテキストを指差しながら説明を始めた。
イルスがそこを覗き込む。
エナも懸命なイルスにつられて、先程より深く身を曲げて説明を始めた。