チェギョンが初めてマカオで過ごすクリスマスは、家族と一緒に過ごせない初めてのクリスマスでもあった。
ソウルほどは寒くないものの、やはり冬は寒い。
それなのに、薄着のままチェギョンは、バルコニーから空を睨み付けていた。
ソウルには雪の予報が出ている。
例え一緒にいられなくても、今年最初の雪を同じ日に感じられたら。
それを願って見上げた空は、綺麗な月を浮かべていた。
(月は天の邪鬼だったっけ?)
完璧な満月に、完璧と自負する夫が見えた気がした。
時差1時間は、近くて遠いと、改めて感じていた。
その時、ふいに冷たい風がチェギョンを撫でさすらった。
「妃宮様、風邪を召されます」
夕食の準備をするチェ尚宮のもとまで風が届いたらしかった。
「えぇ…ねぇ、チェ尚宮お姉さん?」
「はい、妃宮様」
いつもと変わらぬチェ尚宮の態度に、チェギョンは、自分だけに聞こえたのだと確信した。
「…きっとソウルは、雪が降っているわね」
風が運んだ愛しい人の呟きを、自分だけのものにするために、チェギョンは今、閉じたばかりの窓越しに空を見上げて呟いた。
「シン君、メリークリスマス♪」
それは、チェギョンにだけ聞こえたクリスマスを祝うシンからのメッセージへの答えだった。
「チェギョン、メリークリスマス」
風が運んだのは、そんな短い言葉だった。
来年こそは、シン君と一緒にいられますように。
チェギョンは胸のなかで呟いた。
ソウルほどは寒くないものの、やはり冬は寒い。
それなのに、薄着のままチェギョンは、バルコニーから空を睨み付けていた。
ソウルには雪の予報が出ている。
例え一緒にいられなくても、今年最初の雪を同じ日に感じられたら。
それを願って見上げた空は、綺麗な月を浮かべていた。
(月は天の邪鬼だったっけ?)
完璧な満月に、完璧と自負する夫が見えた気がした。
時差1時間は、近くて遠いと、改めて感じていた。
その時、ふいに冷たい風がチェギョンを撫でさすらった。
「妃宮様、風邪を召されます」
夕食の準備をするチェ尚宮のもとまで風が届いたらしかった。
「えぇ…ねぇ、チェ尚宮お姉さん?」
「はい、妃宮様」
いつもと変わらぬチェ尚宮の態度に、チェギョンは、自分だけに聞こえたのだと確信した。
「…きっとソウルは、雪が降っているわね」
風が運んだ愛しい人の呟きを、自分だけのものにするために、チェギョンは今、閉じたばかりの窓越しに空を見上げて呟いた。
「シン君、メリークリスマス♪」
それは、チェギョンにだけ聞こえたクリスマスを祝うシンからのメッセージへの答えだった。
「チェギョン、メリークリスマス」
風が運んだのは、そんな短い言葉だった。
来年こそは、シン君と一緒にいられますように。
チェギョンは胸のなかで呟いた。