ささやんの天邪鬼 ほぼ隔日刊

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

有志連合 参加の理由が納得できない理由

2019-07-15 11:16:02 | 日記
サイト「現代ビジネス」に掲載された7月12日付の論考《アメリカ有志連合「日本不参加」の選択肢がありえない、真の理由》を読んだ。きょうは(長谷川幸洋氏の筆による)この論考を考察の俎上にのせることにしよう。

この論考は、大きく次のような論理から成り立っている。
(1)ホルムズ海峡の安全確保は、日本にとって重要な課題である。
(2)ホルムズ海峡が封鎖される危機は、中国や北朝鮮の脅威にも比肩する重大な脅威である。
(3)この脅威に対処するには、「米国と強固な同盟関係を維持して、協力して脅威に立ち向かう」以外、他に道がない。

これら3つの論点のそれぞれに対応する見解を、長谷川氏の原文に則して示しておこう。
(1)「日本が輸入している原油の8割がホルムズ海峡を経由して入ってくる。原油が止まったら、どうなるか。かつての石油ショックの比ではない。」
(2)「日本はといえば、中国、北朝鮮の脅威もさることながら、ホルムズ海峡の安全確保が本来、はるかに重要である。」
(3)「日本は米国と強固な同盟関係を維持して、協力して脅威に立ち向かう。それ以外に選択肢はない。」

この論考を読んで、私の頭に浮かんだのは、次の疑問である。
ホルムズ海峡が封鎖される脅威というが、この脅威は一体何によるものなのか?その脅威は、日本がアメリカと結託して対処しなければ、のり越えられないほどの脅威なのか?

この私の疑問に対して、長谷川氏は次のように答えるだろう。ホルムズ海峡を支配し、封鎖しようと目論んでいるのは、イランにほかならない、と。
その証拠として、長谷川氏は、日本のタンカーが攻撃された事件、イギリスのタンカーがイランの「革命防衛隊」によって拿捕されそうになった事件をあげるだろう。

だが、日本のタンカーが攻撃された事件について言えば、この攻撃がイランによるものだとする見方には根拠がない。アメリカは「この攻撃はイランの仕業だ」と主張しているが、この主張が真である確証はない。

また、イギリスのタンカーの件について言えば、これは、それ以前にイギリスがイランのタンカーを拿捕した経緯があり、それに対する報復措置とみられる。イランの「革命防衛隊」は、理由もなくイギリスのタンカーを拿捕しようとしたわけではないのである。

とすれば、ーー以前本ブログで書いたことだがーー日本がイランに敵対的な行為を仕掛けない限り、(日本が有志連合に加わらなくても)日本のタンカーが航行の安全を脅かされることもないのではないか。少なくとも現時点でみる限り、「日本が有志連合に加わらなければ、日本のタンカーの航行の安全が損なわれる」と断言できる確証はない、と言わなければならない。

ガセネタに近い臆測にもとづいて、遠路はるばる中東まで自衛隊を繰り出すというのは、どうなのだろう。これは、ただでさえ不安定なこの地域に、混乱の種を撒きに行くようなものではないのか。それに、自衛隊を繰り出すために掛かる経費の出所は、ぜんぶ日本国民の税金なんだぜ。日本の赤字体質を改善するために、極力ムダを減らす。ーーこれは、我が日本政府の基本方針ではなかっただろうか。
コメント
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