日韓問題は難しい。日本政府は先ごろ韓国に対して、半導体材料の輸出規制に踏み切った。これに激しく反発し、世界貿易機関(WTO)に問題を持ち込む韓国政府。韓国政府は日本の輸出規制措置を不当としてこれを批判し、日韓の応酬はエンドレスの様相を呈している。
さてこの問題に対して、新聞各紙はどのような見解を示しているだろうか。
朝日新聞は7月26日付の社説《日韓の対立 舌戦より理性の外交を》の中で、次のように主張している。
「韓国だけでなく日本経済の足も引っ張りかねないうえ、日韓関係を正す確たる展望もない。日本政府は貿易をめぐる一連の措置を取り下げるべきだ。」
たしかに、韓国に対する輸出規制措置は韓国経済にダメージを与えるが、このダメージはブーメランとなって日本経済に返ってくる。安価な韓国製半導体が手に入らなくなれば、これを部品として使用する日本企業も、また、この企業の商品を購入する消費者も、それなりに割を食うことになる。
それによって日韓関係が正常化すれば話は別だが、その展望も見えない。だから「日本政府は貿易をめぐる一連の措置を取り下げるべきだ」と朝日は主張するのだが、では、仮に日本政府が朝日のこの提言に従い、一連の輸出規制措置を取り下げたと仮定しよう。そのとき、事態は一体どうなるのだろうか。それに応じて韓国政府は、元徴用工をめぐる一連の判決と、それにともなう諸問題をチャラにするだろうか。韓国政府のこれまでの頑なな姿勢を顧みれば、それはまったく期待できない。期待できないことが明らかだから、日本政府は、一連の輸出規制措置を取り下げようとはしないだろう。
つまり、朝日新聞の提言によって事態が改善することは望めず、これが問題解決のとば口にすらならないことは明らかである。
では毎日新聞はどうか。7月26日付の社説《日韓がWTOで応酬 この延長上に出口はない》は次のように述べている。
「報復の連鎖に突入すると問題はさらにこじれる。いくら対立しても、どこかで出口を探すように努めなければ外交とは言えまい。日韓は対話を通じて歩み寄りを図るべきだ。」
けれども、日韓両政府の間には、理性的な「対話」が成り立たない現状がある。この現状の存在を、毎日新聞はどう考えているのだろうか。毎日の社説は、次のように具体的な提言を行っている。
「韓国も対応を再考してほしい。
元徴用工の問題を巡っては、日韓請求権協定に基づき日本が要請した仲裁委員会の設置に応じていない。WTO協定という国際法の順守を訴えるのなら、元徴用工の問題でも国際法を踏まえて対応すべきだ。」
韓国政府がこの提言に従い、「日本が要請した仲裁委員会の設置に応じ」ることは、だが、200パーセントないだろう。頑なに自己の主張を固持する相手とは、どんな「対話」も成り立たない。
対話が成り立たず、歩み寄りがまったく期待できない現状、ーーどうしようもなく救いがたい、出口なしの現状を前にすれば、産経新聞のように、こう言いたくもなる。
「韓国がなすべきは、自らの輸出管理体制の不備を改めると同時に、日本の対韓不信を拭う行動を示すことだ。その意思も見せないのが残念である。」(7月26日《WTOで日韓応酬 情報戦への備えを万全に》)
「残念だ」と言ったところでどうにもならないのが「残念」である。やれやれ。
さてこの問題に対して、新聞各紙はどのような見解を示しているだろうか。
朝日新聞は7月26日付の社説《日韓の対立 舌戦より理性の外交を》の中で、次のように主張している。
「韓国だけでなく日本経済の足も引っ張りかねないうえ、日韓関係を正す確たる展望もない。日本政府は貿易をめぐる一連の措置を取り下げるべきだ。」
たしかに、韓国に対する輸出規制措置は韓国経済にダメージを与えるが、このダメージはブーメランとなって日本経済に返ってくる。安価な韓国製半導体が手に入らなくなれば、これを部品として使用する日本企業も、また、この企業の商品を購入する消費者も、それなりに割を食うことになる。
それによって日韓関係が正常化すれば話は別だが、その展望も見えない。だから「日本政府は貿易をめぐる一連の措置を取り下げるべきだ」と朝日は主張するのだが、では、仮に日本政府が朝日のこの提言に従い、一連の輸出規制措置を取り下げたと仮定しよう。そのとき、事態は一体どうなるのだろうか。それに応じて韓国政府は、元徴用工をめぐる一連の判決と、それにともなう諸問題をチャラにするだろうか。韓国政府のこれまでの頑なな姿勢を顧みれば、それはまったく期待できない。期待できないことが明らかだから、日本政府は、一連の輸出規制措置を取り下げようとはしないだろう。
つまり、朝日新聞の提言によって事態が改善することは望めず、これが問題解決のとば口にすらならないことは明らかである。
では毎日新聞はどうか。7月26日付の社説《日韓がWTOで応酬 この延長上に出口はない》は次のように述べている。
「報復の連鎖に突入すると問題はさらにこじれる。いくら対立しても、どこかで出口を探すように努めなければ外交とは言えまい。日韓は対話を通じて歩み寄りを図るべきだ。」
けれども、日韓両政府の間には、理性的な「対話」が成り立たない現状がある。この現状の存在を、毎日新聞はどう考えているのだろうか。毎日の社説は、次のように具体的な提言を行っている。
「韓国も対応を再考してほしい。
元徴用工の問題を巡っては、日韓請求権協定に基づき日本が要請した仲裁委員会の設置に応じていない。WTO協定という国際法の順守を訴えるのなら、元徴用工の問題でも国際法を踏まえて対応すべきだ。」
韓国政府がこの提言に従い、「日本が要請した仲裁委員会の設置に応じ」ることは、だが、200パーセントないだろう。頑なに自己の主張を固持する相手とは、どんな「対話」も成り立たない。
対話が成り立たず、歩み寄りがまったく期待できない現状、ーーどうしようもなく救いがたい、出口なしの現状を前にすれば、産経新聞のように、こう言いたくもなる。
「韓国がなすべきは、自らの輸出管理体制の不備を改めると同時に、日本の対韓不信を拭う行動を示すことだ。その意思も見せないのが残念である。」(7月26日《WTOで日韓応酬 情報戦への備えを万全に》)
「残念だ」と言ったところでどうにもならないのが「残念」である。やれやれ。