ささやんの天邪鬼 ほぼ隔日刊

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

不要不急の外出は

2020-02-19 12:17:34 | 日記
政府は17日、新型コロナの感染拡大を防ぐため、不要不急の外出を控えるよう呼びかけた。人混みに行くと感染のリスクが大きくなる。だから人混みに行かないに越したことはない、という趣旨である。

お上のお達しというだけで文句を言いたがる人はいるもので、タレントのマツコ・デラックスが「人混みに行かずにどうやって生活するのか」と、さっそく異を唱えた。もっともな話で、人はしょせん群れの中でしか生きられない。早い話が、東京の会社に通勤するサラリーマンである。彼らは満員電車に乗り、人混みの中で揺られ、都心の会社に「痛勤」することでしか食い扶持にありつけない。毎日の「痛勤」を「不要不急の外出だ」と言えるのは、リタイアした年金暮らしの老人ぐらいのものだろう。

だれもが人混みの中でしか生きられない、こういう時代だからこそ、どうしたら群れずに、人混みの外で生きていけるかを考えてみた。私自身を例にとると、週に2回のデイサ通いをやめれば、私はほぼ単身の独居生活をすることになる。要介護度が1の身障者であるため、妻の介護は欠かせないものの、酒や食料などの生活必需品は、ネットでポチればアマゾンが届けてくれる。最近では「置き配」という仕組みができたから、ドライバーと顔を合わせずに品物を受けとることができるようになった。

現役の会社員や学生の場合も、大いにネットを活用すればよい。オンラインの会議や授業で代替すれば、満員電車での「痛勤」や「痛学」を避けることができる。いわゆる「テレワーク(テレラーニング)」である。

こうしたライフスタイルが社会に定着すれば、人々は孤立した単独者として生きながら、今までになかった新しい形の社会を形成しはじめるに違いない。人々が「絆」の意識や共同体意識を持たず、アトム(原子)のようにばらばらに生きる、そういう社会の到来を19世紀の哲学者ヘーゲルは危惧したが、そういう原子論的社会もあながち捨てたものではないのではないか、--引きこもりの天邪鬼爺は、最近、そんなふうに思っている。
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安倍謝罪の独創的

2020-02-18 14:18:54 | 日記
謝罪の新しいスタイルを、安倍首相は創りだすつもりなのだろうか。謝罪といえば、不祥事を起こした企業のトップがよく行うように、報道陣を前にして深々と頭を下げる、あのスタイルが一般的、あるいはフォーマルな謝罪のスタイルだと私は思っていた。だが、きのう安倍首相が国会で行った「謝罪」は、そういう既成概念にとらわれない、とてもユニークなものだった。この斬新・独創的なスタイルについて、ネット記事は次のように伝えている。

「『辻元議員に対し、質疑終了後、不規則な発言をしたことをお詫びします。今後閣僚席からの不規則発言は厳に慎むよう総理大臣として身を処してまいります』
新型コロナウイルスによる肺炎への対応などをテーマにした17日の衆院予算委員会集中審議の冒頭、安倍首相がこう謝罪した。仏頂面で原稿棒読み。いかにも形式だけだった。」
(日刊ゲンダイDIGITAL2月17日配信《安倍首相「意味のない質問」ヤジ謝罪も仏頂面で原稿棒読み》)

いかにも形式だけ。反省の心がこもっていない。ーーそう見えたとすれば、それは、我々があまりにも既成概念にとらわれているからなのだろう。辻元議員の「鯛は頭から腐る」発言を「罵詈雑言」とみなす安倍首相の独創的な見方も、同様、あまりに斬新すぎて、凡俗の我々にはとてもついて行けない。

独創的で浮世離れしているといえば、「不規則」という言葉も同類である。この言葉は安倍首相の独創になるものではないが、国会だけで通用する(一般の用法からかけ離れた)ジャーゴンだという点では「独創的」と言えなくもない。「不規則」とは、通常は「規則正しくない」といった意味で用いられるが、国会では、"irregular"の直訳語として使われているらしい。英語の"irregular"には、「変則的」という意味もあるが、「規則に従わない」という意味もある。ヤジは「規則に従わない発言」という意味で「irregularな発言」と言われるのだろうが、これを「不規則な発言」と訳したのでは、ヤジが「規則違反だ」という否定的なニュアンスが消えてしまう。

安倍首相は、もしかしたらヤジが「規則違反だ」という認識を持っていないのかもしれない。だから謝罪も形だけのものになり、反省の心が伴わなかったのかもしれない。非常識・独創的な翻訳(つまり誤訳)は、非常識・独創的なふるまい(つまり無礼)を生みだすということだろう。
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リハビリ・デイサのコロナ対策

2020-02-17 10:57:42 | 日記
きょうはこれからリハビリ・デイサに出かけるが、ちょっと気になることがある。新型コロナのことだ。「集団の場に行けば、感染する恐れがある」と考えてのことではない。私はよく咳をするので、新型コロナのスプレッダーと間違われ、嫌な顔をされるのではないかと心配するのである。そう思い、ふり返ってみると、ここ2週間、あるいは3週間、姿を見せない利用者が何人かいる。この人たちは私からの「感染」を恐れて、欠席しているのではないのか。そんな雑念が頭をよぎり、気が重くなる。

きょうから私は、マスクを着用してデイサに出勤することにした。これなら私が咳をしても、周りの利用者の受けとり方は多少違ってくるだろう。いわゆるエチケットというやつである。

きのうテレビのニュース番組を見ていたら、新型コロナ問題に関して「病院はともかく、介護施設での対応は甘い」という意見が紹介された。たしかに我がリハビリ・デイサでも、アルコール消毒液を使った手洗いは励行するものの、対策はそれだけである。もし新型コロナがこのデイサに侵入したら、この施設などひとたまりもないだろう。

真面目に新型コロナ対策を考えるなら、デイサの事業を休業にして、集団の場を作らせないことである。だが、それをすればデイサは食い上げになるから、どの事業所もそんなことはしたがらない。

もし政府が「集団の場を作らせない」という方針に本気で取り組むのであれば、デイサを休業にし、その間の補助金は停止しても、それと同額(利用料の9割)の助成金を支払うといった助成策が必要になると思うのだが、いかがだろうか。
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新型コロナの結果オーライ

2020-02-16 12:27:38 | 日記
新型コロナの感染拡大を防ぐには、何をすれば良いのか。ーーこの手の問題を検討する議論世界は、結果が伴ってナンボの世界、結果オーライの世界である。きのう本ブログで見たように、サイト「リテラ」は政府の対処法ーー「ダイヤモンド・プリンセス」乗客の船内留め置きや入国拒否といった、水際作戦ーーを「意味がない」と批判するが、これも(感染拡大に歯止めがかからないという)結果を踏まえた、結果主義的観点からの批判である。

アメリカ政府も、結果を出せないこうした日本政府の対処法に業を煮やし、ダイヤモンド・プリンセスに留め置かれているアメリカ人乗客380人を救出するため、チャーター機を準備していると表明した。

アメリカ政府に限らず、アメリカのメディアが日本の対処法にむける目はきびしい。HUFFPOSTの記事(2月15日配信《「第2の震源地を作った」新型コロナ、日本政府の対応に米メディアから批判相次ぐ》)によれば、アメリカのTIMEは「乗員乗客の約6%が感染しているこのクルーズ船は、世界中のどこよりもコロナウイルスの感染率が高い」と指摘し、「現在の検疫手順が船内での感染拡大を防げていないばかりか、感染していない健康な乗客の感染リスクが高まる可能性もある」という感染症の専門家の言葉を紹介している。その上で、新たな感染を防ぐためには、「検査結果が陰性である人を下船させ、潜伏期間中は感染リスクの低い代替措置の下で経過を観察することが理想的」としている。
またABCニュースは、専門家のコメントを引用し、「このように閉鎖された環境で感染拡大を防ぐための対策を続けるには、現在の検疫手順では不十分だ」として、「(感染者の)数が劇的に増加していることは、船内でウイルスが拡散し続けていることを意味している可能性がある。日本の港で感染の第2の震源地が作り出されている懸念がある」と伝えた。
また、ニューヨークタイムズは、危機管理の専門家の言葉を引用し、日本政府の対応を「公衆衛生の危機対応で『こうしてはいけません』という教科書の見本のような対応」と評した。

以上のような米メディアの批判的見解がアメリカの政治家にも共有され、その声が米政府を動かした可能性がある。朝日新聞のネット記事によれば、米議員からも米政府が自国民を救出に動くべきだとの声が上がっており、政治専門サイト「ポリティコ」は、「中国・武漢に次ぐ、世界で2番目に大きいコロナウイルスの集中場所だ」という議員の言葉を紹介したという。


ここで留意しなければならないのは、以上の批判的見解が(新型コロナの感染拡大を阻止できないという)結果を踏まえた上での見解だという点である。結果だけに着目すれば、逆に、米メディアの見解を疑わせる事例もないわけではない。

たとえば、「ホテル三日月勝浦」に収容された中国からの帰国邦人が全員「陰性」とされて帰宅したケースもある。この事例は、政府の水際作戦が功を奏したケースと見ることができるのではないか。

クルーズ船「ウエステルダム」の事例も無視することはできない。このクルーズ船は、なかなか寄港先が見つからず、やっとこさカンボジアのシアヌークビル港への入港が許可されたが、カンボジア政府は感染者がいないことを前提に乗客に下船許可を与えたため、乗客らを自由に下船させ、観光も許可したという。ところが、この「ウエステルダム」を下船し、クアラルンプールに移動したアメリカ人女性1人が、新型コロナウイルスに感染していたことが明らかになったというのである。

このアメリカ人女性がスプレッダーになり、カンボジアでの新コロナ感染の発生源になることもあり得るが、もしそういう「結果」が出たとすれば、「ああ、やっぱり、水際作戦は必要だった」ということになるのではないか。

まあ、すべては結果次第である。考えてみれば、医学も疫学も結果オーライの世界だからね。
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国会審議と新型コロナ問題

2020-02-15 12:14:25 | 日記
国会は相も変わらず「桜を見る会」問題でてんやわんや。こんなちっぽけな問題に拘泥するのは、もう大概にして欲しい。一国の首相を攻めるのなら、それにふさわしい手を使い、くだらないことで時間を浪費するのはやめにして欲しい。ーー本ブログで、私は何度かそう書いてきたが、一昨日の安倍首相の”首相らしからぬ”言動にはさすがにあきれ果てた。「意味のない質問だよ」発言(というより、ヤジ)である。この首相にしてこの野党あり。首相が首相にふさわしくない低レベルの言動をするから、野党もそれ(低レベル)に見合った対応をしたくなるのだろう。まあ、どっちもどっちである。

ともあれ、私が言いたいのは、国会では、もっとマシな議論をして欲しい、国民にとって重大かつ緊急な問題をめぐって与野党間で審議を重ねて欲しいということである。

では、国民にとって重大かつ緊急な問題とは何か。それは言うまでもなく、(「桜」問題なんかではなく)新型コロナウイルスの、その感染拡大にどう対処したら良いかという問題である。

え?新型コロナウイルスの問題だって?これは医学的、疫学的に対処すべき問題であって、専門的な知識が要求されるから、シロートがどうのこうの言ってもはじまらない。シロートの議員同士で審議を重ねても、それは有意義な議論にはならないのではないか。ーーそういう意見もあるに違いない。

実を言うと、私もつい先日までそう思っていた。だが、サイト「リテラ」のきのうの記事《安倍政権の酷すぎる新型コロナ対応!「金がかかる」と民間検査キットを導入せず、国内感染の広がりを隠蔽》を読んで、私は自分の考えを改めた。この記事はこう書いている。

「本サイトは、以前から『中国人、中国渡航者を止める水際作戦は意味がない』『それよりもすでに国内感染が進んでいることを前提に、検査や治療体制を整えるべきだ』と指摘してきたが、まさに危惧してきたことが起きてしまった。
ところが、驚いたことに、加藤勝信厚労相は昨日、『国内で流行しているという疫学的な情報は集まっていない』などと、この期に及んで国内感染の広がりを否定した。さらに今朝も、その姿勢を変えず、『国内で流行、まん延している状態ではないという従来の見解を変更する根拠はない』などと、訳のわからない話法で国内のコロナ流行を否定しつづけている。
すでに多くの専門家が『フェイズが変わった』『国内感染本格化の兆し』と明言しているのに、いったい何を寝ぼけたことを言っているのか。」

以上のような基本的認識に基づいて、「リテラ」の記事は次のように訴えている。安倍政権は(「ダイヤモンド・プリンセス」号乗客の船内留め置きや入国拒否といった)「意味のないパフォーマンス」をせずに、「『検査・治療体制の整備』という感染拡大食い止めにもっとも重要な対応」をすべきだ、と。具体的には、PCR検査を迅速に行える体制の確立が急務だと、この記事は主張している。

この声に対して、政府は「それにはカネがかかる」と渋るが、他方では安倍政権は「桜を見る会」に多額のカネをつぎ込んだり、「トランプ大統領の言いなりになって軍事装備品を“爆買い”し」たりしているのだ。けしからん!

ここでやっとこのサイトならではの安倍政権批判が出てくるのだが、こうした文脈での政権批判なら、私はこれを安んじて受け入れる。野党も国会では、こうした観点から、政府の新型コロナ対策を追及すべきではないか。新型コロナ対策は、充分に有意義な国会審議の対象になるのである。

というわけで、サイト「リテラ」もなかなかやるじゃないか。見直したぜ。
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