写真はフィラリア予防薬についている能書きです。
どの予防薬でも同じことが書かれています。
制限事項の(1)と(2)でフィラリア予防薬の投与の前には、
診察と検査(ミクロフィラリア検査や成虫抗原検査)が必要であると明記されています。
また、副作用の項目にはフィラリアに感染した犬に予防薬を投与した場合、
大静脈症候群や元気消失、食欲不振が現れることがあると書かれています。
大静脈症候群とはフィラリア症でおこる病態のひとつで、
肺動脈内にいたフィラリアが心臓内に移動し、
右心房や右心室、その間の弁で重篤な血流障害をおこし、
動物は急激に全身状態が悪化し、生命の危険な状態に陥ります。
症状の程度は血流障害をおこしているフィラリアの数や、
肺の血管の状態、心臓の弁の状態などにより様々ですが、
突然の元気食欲の消失、息が荒くなり、赤色や黒い尿が出ることがほとんどです。
治療法は第1に手術により血流障害をおこしているフィラリアを摘出すること、
第2に症状にあわせて障害を受けた臓器のケアをすることで、特効薬はありません。
状態が悪いなかでの麻酔、手術となりますので当然かなりの命の危険を伴います。
また、取り扱い上の注意にあるようにフィラリアの予防薬は分割投与はできません。
時々、今までフィラリア予防薬を2つや4つに割って何頭かの同居犬に飲ませている
という話を聞きますが、これもやってはいけません。
ちゃんと予防できない場合があります。
不適切な予防薬の投与で大切な家族を危険にさらすことがないように、
当院ではフィラリア予防の際に診察とフィラリアの検査
(ミクロフィラリア検査と成虫抗原検査の両方をしています)
をおすすめしています。