今年もお盆休みは母の故郷である四国に向かい、香川県観音寺の田舎で過ごしましたが、その前に生まれて初めて広島に立ち寄りました。
日本を代表する建築家丹下健三さんのモダニズム建築の秀作、広島ピースセンターをこの目で確かめたい、というのが第一の目的でしたが、じっくりとこの眼と足で歩き、深い感銘を受けました。
地面から力強く立ち上がる様を想像させる力強いピロティ、そして原爆資料館から死没者慰霊碑、原爆ドームと続く景観軸は素晴らしく深く心に残るものがありますが、建築の感動より原爆を落とされた側である我が国が非軍事国であることに日本人らしさを感じ誇りに思いました。
やられたらやり返すのは当たり前ですが、人の痛みの分かる国民性だからこそ、非戦を訴えるのではないでしょうか?子孫や国を守らないといけないのはもちろんなのですが、憎しみ、戦いの連鎖はとどまるところを知りません。
人間の歴史は戦い、殺し合いの歴史です。これだけ文明が進歩しても、いまだに世界のあちこちで戦闘が繰り返されています。強国が相手を黙らせるために核武装を強化するのでは、いつ核戦争が勃発しても不思議はありません。
強い者が弱い者をいたわるどころか、より上下関係を強めようとすると、下に敷かれたものの不満は溜まります。私達一人ひとりが社会と関わりあいながらどう生きていけばよいのか?これからも考え続けたいと思います。
広島ではもっと滞在したくなりましたが、それはまた必ず訪れることにして、チビたちの待つ田舎に急ぎました。途中、愛媛県の西条に建つ、安藤忠雄さんの木造建築の寺院には立ち寄りました。去年も訪問しましたが、時間外で内部拝観できなかったからです。
いや、ここは素晴らしい。安藤さん流の木造建築の解釈が見事に決まったという建築です。住職さんによると本堂は以前の方が広かったそうですが、新しい本堂の方が広く明るく感じるそうです。小学生の息子でさえここは気に入っていました。お寺というと子供にはちょっと重い空気があると思いますが、ここはけっして荘厳な雰囲気に欠けることもなく、気持ちのいい「心のよりどころ」の空間が形成されていると思います。