バイトないってさ。
ということで、今日は第二の地元・蕨を散歩してきました。
2年前まで通いつめた京浜東北線に乗り、大宮から16分。
いいカンジに昼下がりの蕨へ久々の上陸。
電車を降りたとたん馴染みの空気に包まれた。
キオスク。
改札。
コンコース。
階段をおりたら思い出がうわあって押し寄せてきた。
うわあって。
視界がセピア色になった。
待ち合わせしたコインロッカー前。
ニューデイズ。
ダイヤモンドシティ。
有料便所。
交番。
何軒か新しい店ができていた。
こじゃれた喫茶店。
日高屋。
「こういう店だって、昔からあればふんだんに使ったのになあ」
駅前を離れて歩き出す。
通学路。
相変わらず閉まったままのパスタ屋。
あふれだす自転車。
うさんくさいカレー屋。
結局一度も入らなかったレコード店。
「西口は相変わらずなんだなあ」
25円コロッケが営業していた。
いつだか店を閉じたって噂を聞いていたのに。
「コロッケありますか?」
「4時からなのよ」
「じゃあまた来ますね」
部活帰りが食べ盛り。
蕨高生なら30円が25円。
目の前で揚げてくれるコロッケ。
――あっちい!
――げっソース手についた。
――おいしいね。
――あったまるわ。
女子高生の私に会った。
ルーズソックス。
ローファー。
デコった携帯電話。
白リュック。
赤本の入ったかばん。
なんだか懐かしくて。
とっても楽しくて。
走り出したくなって。
「よしっ」
小さくつぶやいて小走りになった。
信号は青。
マツキヨの前のテナントはプリクラ屋があった。
あープリクラも撮ったっけなあ。
一日5枚なんて笑っちゃうね。
そうそう、あのころは美写が最先端だったんだ。
――プリ撮りいかない?
――じゃあ次は変顔。
――おなかすいたあ。
プリクラ屋の前はレンタルビデオ屋だったかな。
夏場なんかはあまりに暑くて涼んでた。
――この映画はマジ面白い。
――これ見てた!
――誰かんちで上映会しようよ。
あのころの私たちを見た。
肉まんを買ってたローソン。
体育館。
陸橋。
店を畳んでたり、取り壊してたり。
新しい店が出来てたり。
駅から歩いて20分。
この遠さはかわっちゃいない。
夏場はばてるほどの暑さで。
冬場は黙りこくるほどの寒さで。
でも春や秋は歩くのが楽しかった。
他愛のない無駄話をしながら。
明日でも明後日でも話せることなのに。
それをどうしても今日話したかった。
今日笑いたかった。
そういう日々だった。
++++++++++++++++++++++++++++++++
何だか学生が多い。
まだ授業中の時間帯なのに。
「うちの学校じゃないな」
靴下が白い、やけに幼い。
「中学生か」
「あー、今日はあれか。確約書の提出日か」
前期入試であのとんでもない倍率を破った中学生たち。
来春からの蕨高生たち。
──がんばってね。駅からホント歩くよ。
──体育祭はイマイチだけど文化祭と球技大会は楽しいよ。
──学食のポテト、オススメだよ。
──高校時代の友達は一生ものだよ。
兄か姉のような変な気分だ。
恐る恐る学校にしのびこむ。
不法侵入になるのかな。
なったらそれまでだな。
「・・・こんちゃーす」
外語棟への階段。
懐かしい階段。
「ここでドッヂの練習したっけな」
ぼんやり歩いてたら人に会った。
ALT。
「?」
ペコリ。
3年のときに使っていた教室を覗き込む。
授業。
この先生は見たことがない。
「もう2年も経つのか」
裏を回りながら、自転車置き場。
ここから2ケツで駅まで送ってもらったっけな。
昼休みはフェンスを乗り越えてローソンまで。
汚れた上履きのまま。
「よしっ」
乗り越えてみる。
高いところからみる景色。
あのころの私。
それから、蕨高通りを歩きながら帰った。
メインの通学ルートから1本奥に入った道。
高校時代に付き合っていた人と歩いた道。
歩くのが遅かった私たち。
後ろから友達カップルや先輩カップルに抜かされたり。
メインルートと合流するところでつないでいた手を離した。
その瞬間が少し寂しかったのをよく憶えている。
「元気してんのかなー」
もう長いこと連絡とってない。
メールしてもつながらないと思う。
でもまあどこかで元気でやってるといいな。
あいつだけじゃない。
あの校舎で過ごした友達のみんなが元気でやってる。
地球のどっかでゲラゲラと笑ってる。
++++++++++++++++++++++++++++++++++
セピア色の世界をながめながら、駅前で一服した。
卒業してからすぐにお酒の味も覚えたし、半年後にはタバコも憶えた。
成人式をむかえて、大学生活も春には折り返し。
「これからの前途多難も、これまでの楽しみや我慢も」
「まだ見たことない未来で勇敢に戦う俺がいる」
これから先どんなノスタルジーが待っているのかな。
ということで、今日は第二の地元・蕨を散歩してきました。
2年前まで通いつめた京浜東北線に乗り、大宮から16分。
いいカンジに昼下がりの蕨へ久々の上陸。
電車を降りたとたん馴染みの空気に包まれた。
キオスク。
改札。
コンコース。
階段をおりたら思い出がうわあって押し寄せてきた。
うわあって。
視界がセピア色になった。
待ち合わせしたコインロッカー前。
ニューデイズ。
ダイヤモンドシティ。
有料便所。
交番。
何軒か新しい店ができていた。
こじゃれた喫茶店。
日高屋。
「こういう店だって、昔からあればふんだんに使ったのになあ」
駅前を離れて歩き出す。
通学路。
相変わらず閉まったままのパスタ屋。
あふれだす自転車。
うさんくさいカレー屋。
結局一度も入らなかったレコード店。
「西口は相変わらずなんだなあ」
25円コロッケが営業していた。
いつだか店を閉じたって噂を聞いていたのに。
「コロッケありますか?」
「4時からなのよ」
「じゃあまた来ますね」
部活帰りが食べ盛り。
蕨高生なら30円が25円。
目の前で揚げてくれるコロッケ。
――あっちい!
――げっソース手についた。
――おいしいね。
――あったまるわ。
女子高生の私に会った。
ルーズソックス。
ローファー。
デコった携帯電話。
白リュック。
赤本の入ったかばん。
なんだか懐かしくて。
とっても楽しくて。
走り出したくなって。
「よしっ」
小さくつぶやいて小走りになった。
信号は青。
マツキヨの前のテナントはプリクラ屋があった。
あープリクラも撮ったっけなあ。
一日5枚なんて笑っちゃうね。
そうそう、あのころは美写が最先端だったんだ。
――プリ撮りいかない?
――じゃあ次は変顔。
――おなかすいたあ。
プリクラ屋の前はレンタルビデオ屋だったかな。
夏場なんかはあまりに暑くて涼んでた。
――この映画はマジ面白い。
――これ見てた!
――誰かんちで上映会しようよ。
あのころの私たちを見た。
肉まんを買ってたローソン。
体育館。
陸橋。
店を畳んでたり、取り壊してたり。
新しい店が出来てたり。
駅から歩いて20分。
この遠さはかわっちゃいない。
夏場はばてるほどの暑さで。
冬場は黙りこくるほどの寒さで。
でも春や秋は歩くのが楽しかった。
他愛のない無駄話をしながら。
明日でも明後日でも話せることなのに。
それをどうしても今日話したかった。
今日笑いたかった。
そういう日々だった。
++++++++++++++++++++++++++++++++
何だか学生が多い。
まだ授業中の時間帯なのに。
「うちの学校じゃないな」
靴下が白い、やけに幼い。
「中学生か」
「あー、今日はあれか。確約書の提出日か」
前期入試であのとんでもない倍率を破った中学生たち。
来春からの蕨高生たち。
──がんばってね。駅からホント歩くよ。
──体育祭はイマイチだけど文化祭と球技大会は楽しいよ。
──学食のポテト、オススメだよ。
──高校時代の友達は一生ものだよ。
兄か姉のような変な気分だ。
恐る恐る学校にしのびこむ。
不法侵入になるのかな。
なったらそれまでだな。
「・・・こんちゃーす」
外語棟への階段。
懐かしい階段。
「ここでドッヂの練習したっけな」
ぼんやり歩いてたら人に会った。
ALT。
「?」
ペコリ。
3年のときに使っていた教室を覗き込む。
授業。
この先生は見たことがない。
「もう2年も経つのか」
裏を回りながら、自転車置き場。
ここから2ケツで駅まで送ってもらったっけな。
昼休みはフェンスを乗り越えてローソンまで。
汚れた上履きのまま。
「よしっ」
乗り越えてみる。
高いところからみる景色。
あのころの私。
それから、蕨高通りを歩きながら帰った。
メインの通学ルートから1本奥に入った道。
高校時代に付き合っていた人と歩いた道。
歩くのが遅かった私たち。
後ろから友達カップルや先輩カップルに抜かされたり。
メインルートと合流するところでつないでいた手を離した。
その瞬間が少し寂しかったのをよく憶えている。
「元気してんのかなー」
もう長いこと連絡とってない。
メールしてもつながらないと思う。
でもまあどこかで元気でやってるといいな。
あいつだけじゃない。
あの校舎で過ごした友達のみんなが元気でやってる。
地球のどっかでゲラゲラと笑ってる。
++++++++++++++++++++++++++++++++++
セピア色の世界をながめながら、駅前で一服した。
卒業してからすぐにお酒の味も覚えたし、半年後にはタバコも憶えた。
成人式をむかえて、大学生活も春には折り返し。
「これからの前途多難も、これまでの楽しみや我慢も」
「まだ見たことない未来で勇敢に戦う俺がいる」
これから先どんなノスタルジーが待っているのかな。
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