妄想ジャンキー。202x

人生はネタだらけ、と書き続けてはや20年以上が経ちました。

女子高生だった私たち

2006-02-13 21:48:00 | 日記
バイトないってさ。

ということで、今日は第二の地元・蕨を散歩してきました。

2年前まで通いつめた京浜東北線に乗り、大宮から16分。
いいカンジに昼下がりの蕨へ久々の上陸。

電車を降りたとたん馴染みの空気に包まれた。
キオスク。
改札。
コンコース。

階段をおりたら思い出がうわあって押し寄せてきた。
うわあって。

視界がセピア色になった。

待ち合わせしたコインロッカー前。
ニューデイズ。
ダイヤモンドシティ。
有料便所。
交番。

何軒か新しい店ができていた。
こじゃれた喫茶店。
日高屋。

「こういう店だって、昔からあればふんだんに使ったのになあ」

駅前を離れて歩き出す。
通学路。
相変わらず閉まったままのパスタ屋。
あふれだす自転車。
うさんくさいカレー屋。
結局一度も入らなかったレコード店。

「西口は相変わらずなんだなあ」

25円コロッケが営業していた。
いつだか店を閉じたって噂を聞いていたのに。

「コロッケありますか?」
「4時からなのよ」
「じゃあまた来ますね」

部活帰りが食べ盛り。
蕨高生なら30円が25円。
目の前で揚げてくれるコロッケ。

――あっちい!
――げっソース手についた。
――おいしいね。
――あったまるわ。

女子高生の私に会った。
ルーズソックス。
ローファー。
デコった携帯電話。
白リュック。
赤本の入ったかばん。

なんだか懐かしくて。
とっても楽しくて。
走り出したくなって。

「よしっ」

小さくつぶやいて小走りになった。

信号は青。

マツキヨの前のテナントはプリクラ屋があった。
あープリクラも撮ったっけなあ。
一日5枚なんて笑っちゃうね。
そうそう、あのころは美写が最先端だったんだ。

――プリ撮りいかない?
――じゃあ次は変顔。
――おなかすいたあ。

プリクラ屋の前はレンタルビデオ屋だったかな。
夏場なんかはあまりに暑くて涼んでた。

――この映画はマジ面白い。
――これ見てた!
――誰かんちで上映会しようよ。

あのころの私たちを見た。

肉まんを買ってたローソン。
体育館。
陸橋。

店を畳んでたり、取り壊してたり。
新しい店が出来てたり。

駅から歩いて20分。
この遠さはかわっちゃいない。
夏場はばてるほどの暑さで。
冬場は黙りこくるほどの寒さで。

でも春や秋は歩くのが楽しかった。
他愛のない無駄話をしながら。

明日でも明後日でも話せることなのに。
それをどうしても今日話したかった。
今日笑いたかった。

そういう日々だった。

++++++++++++++++++++++++++++++++

何だか学生が多い。
まだ授業中の時間帯なのに。

「うちの学校じゃないな」

靴下が白い、やけに幼い。

「中学生か」
「あー、今日はあれか。確約書の提出日か」

前期入試であのとんでもない倍率を破った中学生たち。
来春からの蕨高生たち。

──がんばってね。駅からホント歩くよ。
──体育祭はイマイチだけど文化祭と球技大会は楽しいよ。
──学食のポテト、オススメだよ。
──高校時代の友達は一生ものだよ。


兄か姉のような変な気分だ。

恐る恐る学校にしのびこむ。
不法侵入になるのかな。
なったらそれまでだな。

「・・・こんちゃーす」

外語棟への階段。
懐かしい階段。

「ここでドッヂの練習したっけな」

ぼんやり歩いてたら人に会った。
ALT。

「?」

ペコリ。

3年のときに使っていた教室を覗き込む。
授業。
この先生は見たことがない。

「もう2年も経つのか」

裏を回りながら、自転車置き場。
ここから2ケツで駅まで送ってもらったっけな。

昼休みはフェンスを乗り越えてローソンまで。
汚れた上履きのまま。

「よしっ」

乗り越えてみる。
高いところからみる景色。

あのころの私。


それから、蕨高通りを歩きながら帰った。
メインの通学ルートから1本奥に入った道。
高校時代に付き合っていた人と歩いた道。

歩くのが遅かった私たち。
後ろから友達カップルや先輩カップルに抜かされたり。

メインルートと合流するところでつないでいた手を離した。
その瞬間が少し寂しかったのをよく憶えている。

「元気してんのかなー」

もう長いこと連絡とってない。
メールしてもつながらないと思う。
でもまあどこかで元気でやってるといいな。

あいつだけじゃない。
あの校舎で過ごした友達のみんなが元気でやってる。
地球のどっかでゲラゲラと笑ってる。

++++++++++++++++++++++++++++++++++

セピア色の世界をながめながら、駅前で一服した。

卒業してからすぐにお酒の味も覚えたし、半年後にはタバコも憶えた。
成人式をむかえて、大学生活も春には折り返し。

「これからの前途多難も、これまでの楽しみや我慢も」
「まだ見たことない未来で勇敢に戦う俺がいる」

これから先どんなノスタルジーが待っているのかな。

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