甘粛から新疆へ入ったシルクロード特急は朝のウルムチを目指す。
さすが天山北路、マイナス10度との噂が飛び交う中恐る恐るホームへ降りた。
ウルムチの市街地は発展していて、ある意味の懐かしささえ感じる。
なんだよ東京じゃん。東京ってこんななの。
まさに新宿そのものだよ。
へえそうなんだ、俺長野から東にはいったことないよ。
私も名古屋から西にはいったことないな。
街の節々にはノスタルジー、西安で感じたそれを想う。
視点を下げれば、スカーフを巻いた女性が多いことに気がついた。
ウイグル人の大半はイスラム教徒。
中華とは異なる世界。
早朝の大都会で奇妙な違和感を覚えていた。
天山山脈がグンと近づく。
山頂は万年雪に覆われていて、白さが青天に映える。
高山独特の冷気が肌に突き刺さる。
寒いというより痛い。
小一時間も馬の背に揺られていると、雪ばんだ草原が広がってきた。
馬は恐る恐る氷の上を踏んでいく。
乗馬というより馬に乗せられている私も、たづなを握る手が強くなる。
ようやく乗馬らしいものになってきたころ、昼過ぎに出発したポプラ並木は地平線に消えかけていた。
初めてのイスラム街を1人で歩いてみた。
関西弁よりも中国語よりもずっと聞き慣れないウイグル語が飛び交う。
街の看板には模様のような絵のようなアラビア文字。
シシカバブ、ナツメ、ナン・・・日が暮れるにつれて屋台が増えてきた。
匂いに誘われてシシカバブを1本。
白地に赤と青、鮮やかなシルクロード特急に乗っていざカシュガルへ。
軟臥車並に寝心地の良いコンパートメントは敷居でさえぎられてしまい、西安敦煌間のような雑談は出来ない。
だが個室の中はいつもと一緒。
他愛もないネタトーク、将来、家族のこと。
喋りつかれて日本茶を飲もうと通路へ出たら、隣もその隣も盛り上がっているらしい。
何だか嬉しくなってきた。
ふと窓の外を見たら、満天の星空が広がっている。
あ、流れ星!誰かが言った。
カシュガル、中国最西端の街。
駅名標の先はなく、つくづく先端まで来たのだなと感じる。
市街地はいつしかNHKで見たものよりずっと栄えていた。
25年という歳月をこの街は待ってくれなかったらしい。
確かに漢字はあるし中国語も通じる。
通貨だって元だが、明らかに漢民族のほうが少数派である。
ここは中国であって中国でない。
乾いた街に中華は似つかわしくない。
青い空にイスラム独特の緑の屋根が映え渡る。
職人街を抜けてエイティガール寺院へ。
はじめてみるタマネギ屋根の建物。
彫りの深いウイグル人。
値切れ、さあ値切れと言わんばかりの群集。
美味しそうな木の実を眺めていると、店主のおばさんが「つまんでもいいよ」と言ってくれた。
それでは一つ。
ごつい見た目とは裏腹の甘みが口に広がる。
列車の中からつくづく思っていたが、新疆に入った途端に果物の甘みが一段と増した。
梨や葡萄の名産地だからだろうか。
砂漠では水の代わりにこうした果物で水分を確保していたのかもしれない。
玄奘やマルコポーロ、隊商たちも同じものを食べたのかもしれないと思うと、目の前にある木の実をテイクアウトして砂漠で食べたくなってきた。
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→〈05冬、シルクロード・タクラマカン周遊〉イエンギサル~ヤルカンド
さすが天山北路、マイナス10度との噂が飛び交う中恐る恐るホームへ降りた。
ウルムチの市街地は発展していて、ある意味の懐かしささえ感じる。
なんだよ東京じゃん。東京ってこんななの。
まさに新宿そのものだよ。
へえそうなんだ、俺長野から東にはいったことないよ。
私も名古屋から西にはいったことないな。
街の節々にはノスタルジー、西安で感じたそれを想う。
視点を下げれば、スカーフを巻いた女性が多いことに気がついた。
ウイグル人の大半はイスラム教徒。
中華とは異なる世界。
早朝の大都会で奇妙な違和感を覚えていた。
天山山脈がグンと近づく。
山頂は万年雪に覆われていて、白さが青天に映える。
高山独特の冷気が肌に突き刺さる。
寒いというより痛い。
小一時間も馬の背に揺られていると、雪ばんだ草原が広がってきた。
馬は恐る恐る氷の上を踏んでいく。
乗馬というより馬に乗せられている私も、たづなを握る手が強くなる。
ようやく乗馬らしいものになってきたころ、昼過ぎに出発したポプラ並木は地平線に消えかけていた。
初めてのイスラム街を1人で歩いてみた。
関西弁よりも中国語よりもずっと聞き慣れないウイグル語が飛び交う。
街の看板には模様のような絵のようなアラビア文字。
シシカバブ、ナツメ、ナン・・・日が暮れるにつれて屋台が増えてきた。
匂いに誘われてシシカバブを1本。
白地に赤と青、鮮やかなシルクロード特急に乗っていざカシュガルへ。
軟臥車並に寝心地の良いコンパートメントは敷居でさえぎられてしまい、西安敦煌間のような雑談は出来ない。
だが個室の中はいつもと一緒。
他愛もないネタトーク、将来、家族のこと。
喋りつかれて日本茶を飲もうと通路へ出たら、隣もその隣も盛り上がっているらしい。
何だか嬉しくなってきた。
ふと窓の外を見たら、満天の星空が広がっている。
あ、流れ星!誰かが言った。
カシュガル、中国最西端の街。
駅名標の先はなく、つくづく先端まで来たのだなと感じる。
市街地はいつしかNHKで見たものよりずっと栄えていた。
25年という歳月をこの街は待ってくれなかったらしい。
確かに漢字はあるし中国語も通じる。
通貨だって元だが、明らかに漢民族のほうが少数派である。
ここは中国であって中国でない。
乾いた街に中華は似つかわしくない。
青い空にイスラム独特の緑の屋根が映え渡る。
職人街を抜けてエイティガール寺院へ。
はじめてみるタマネギ屋根の建物。
彫りの深いウイグル人。
値切れ、さあ値切れと言わんばかりの群集。
美味しそうな木の実を眺めていると、店主のおばさんが「つまんでもいいよ」と言ってくれた。
それでは一つ。
ごつい見た目とは裏腹の甘みが口に広がる。
列車の中からつくづく思っていたが、新疆に入った途端に果物の甘みが一段と増した。
梨や葡萄の名産地だからだろうか。
砂漠では水の代わりにこうした果物で水分を確保していたのかもしれない。
玄奘やマルコポーロ、隊商たちも同じものを食べたのかもしれないと思うと、目の前にある木の実をテイクアウトして砂漠で食べたくなってきた。
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