人が亡くなる瞬間に立ち会った。
血圧計はずっとエラー表示のままで、それでもかろうじて血中酸素と脈拍はとれていた。
でも、ある瞬間を境に脈拍もエラー表示を出した。
微かに上下しているようにも見えた胸の動きがとまった。
触れる胸は暖かくて、でも今になって考えれば熱かったのはあたしの手で、まだ生きてほしいっていう勝手な願いだったのかもしれないって。
もう遅いというのもわかっていた。
けれど声をかけずにはいられなかった。
あの瞬間は生きていたってあたしは信じたい。
到着した担当医と家族に引き継いで、通常業務に戻った。
『こういうときこそ冷静に──』
地平線がゆっくりと赤く染まり、異常過ぎるほど静かな夜明けだった。
やがて起床、更衣、朝食。
いつもの朝がやってきた。
あとになって死亡時刻を知った。
勤務が終わって煙草を吸っていたとき、悲しさと悔しさが頭をよぎった。
ずっとこらえていた涙がとまらなかった。
脈がとれなくなっても胸が暖かったあの瞬間を思い出した。
ついこないだまで生きていた人が、骨になり、煙になる。
入居者の死に即して涙を流すことが、プロとしてよいことなのか悪いことなのかはわからないけれど。
少し泣いた。
血圧計はずっとエラー表示のままで、それでもかろうじて血中酸素と脈拍はとれていた。
でも、ある瞬間を境に脈拍もエラー表示を出した。
微かに上下しているようにも見えた胸の動きがとまった。
触れる胸は暖かくて、でも今になって考えれば熱かったのはあたしの手で、まだ生きてほしいっていう勝手な願いだったのかもしれないって。
もう遅いというのもわかっていた。
けれど声をかけずにはいられなかった。
あの瞬間は生きていたってあたしは信じたい。
到着した担当医と家族に引き継いで、通常業務に戻った。
『こういうときこそ冷静に──』
地平線がゆっくりと赤く染まり、異常過ぎるほど静かな夜明けだった。
やがて起床、更衣、朝食。
いつもの朝がやってきた。
あとになって死亡時刻を知った。
勤務が終わって煙草を吸っていたとき、悲しさと悔しさが頭をよぎった。
ずっとこらえていた涙がとまらなかった。
脈がとれなくなっても胸が暖かったあの瞬間を思い出した。
ついこないだまで生きていた人が、骨になり、煙になる。
入居者の死に即して涙を流すことが、プロとしてよいことなのか悪いことなのかはわからないけれど。
少し泣いた。
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