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私だけの仕事の流儀 (ケント)

2016-02-28 | 仕事

「私だけの仕事の流儀」4人目は、なんと25歳。期待の若者の登場です。

 

ニックネームは「ケント」さんです。

福岡市在住 25歳。

現在は、ドラッグストアでアルバイトをしながら就職活動中とのことです。

 

彼との出会いは、私が仲間たちと企画したイベントに参加してくれたことがきっかけでした。

第一印象は、勢いのある“あんちゃん”という感じで、物怖じしない独自の世界観を持っている若者だなぁ~と思いましたが、それから時間が経つに連れ、徐々に彼の個性に触れて行くうちに、なにやら懐かしい気分にさせてくれることに気付きました。

ケントの中に、若い頃の私とリンクする部分があり、「あの頃の自分」に戻してくれる彼は、私にとって期待せざるを得ない存在です。

まだまだ発展途上のケントが、若いなりに何を感じて来たのかという観点で、これまでの仕事を振り返って頂きました。

私が彼に期待せざるをえないという理由も含めて、その一部を紹介します。

 

 

● これまで経験したお仕事・またはその一部

福岡大学卒業後、広島県の半導体工場に就職(約1年)・その後は福岡に帰省し、短期のアルバイトや広告代理店の研修生、深夜のゴミの収集作業とドラックストアの掛け持ちも経験。

 

● もっとも印象深い仕事と、その内容

大学生の時、短期アルバイトでイベント会場の設営と案内役をした時のことです。

福岡サンパレスのコンサートだけあって、設営も大掛かりで早朝から大勢でほとんど休憩も取らずに作業した後に、今度は案内役として会場内に配置され、お客様の誘導をしました。

大物演歌歌手だけあって、お客様のほとんどが中高年の方だったので、大きな声で席の案内をしたり、時には座席まで誘導したりと、案内役もかなり体力を消耗する仕事でした。

しかし、その中で「ありがとうね」と声をかけて下さるお客様に何人も遭遇するうちに、淡々としていた設営作業とは違い、自分が役に立っているという実感が湧き出るのを感じました。

見知らぬ中高年のお客様から褒めてもらったことが、素直にうれしいと感じたのはこの時が初めてかもしれません。

その後も後片付けの作業があり深夜にまで及んだ仕事は、頂いたお金だけで考えると、はっきりって割に合わないと思いますが、その時はやりがいや達成感を実感できたので、いい仕事だったと思いました。

 

● その仕事を振り返って、今思うこと

設営のバイトは重労働でありながら割安だと思いました。

しかし、自分はこの経験をしたことで、これが仕事の現実だと思い知ったと同時に、自分の可能性のようなものを感じました。それは自分の体力も意外に持続するものだと思ったし、何より人に感謝されるという喜びを実感できたことは大きいと思います。

この時の経験が、その後の人付き合いや今のドラックストアでの仕事にも繋がっていると思います。

(仕事観を形成する基になっていると思います)

 

● 忘れられない仕事での失敗談

半導体工場での事です。入社して4か月が経過したころ、半導体製品を製造する機械に操作プログラムを選択してスイッチを入れるという役割を担当していた私は、次の製品製造に移る工程で簡単な操作手順を間違えてしまい、確認動作も疎かにしてしまうというミスをしてしまいました。

仕事にも慣れてきた頃で気が緩んでいたのだと、今となっては言えるのですが、当時は全く気が付かず、無意識の行動でした。

運良く先輩が気付き誤作動寸前で停止してくれたので、過剰製造という大問題には至らず、時間ロスもわずかで済んだので、周囲に謝罪することでその場は収まりましたが、それを機に自分の中では「信頼を失った」という思いが強くなり早く信頼を取り戻さねばという焦りが心を占め、その後の私は完全に委縮してしまい、二度と失敗をすまいと慎重になり過ぎてしまいました。

当時としては、給料も良かったし奨学金の返済もあったので、どうしても辞められないという思いで一杯でしたが、結果的にはその思いが自分を追い詰めてしまうことになり、退職へと繋がりました。

 

● 仕事で影響を受けた人

私生活では沢山いますが、仕事上で浮かぶのは半導体工場で自分が所属するチームの教育係を担当されていた先輩のことです。

自分のことをよく理解してくれて、いつも味方になってくれる、当時の私にとって大切な相談相手でもあるその先輩は、今でも私の理想の上司像です。

 

● 仕事で楽しいと思う瞬間

相手に褒められた時。

自分の力で一つの結果を出した時。特に難易度の高い仕事や、要求度の高いお客様に接した時に「ありがとう」という言葉をもらった瞬間は、心の中でガッツポーズしています。

そういう楽しい瞬間の積み重ねが、自分の可能性を無限に広げてくれると思います。

 

● 今になって思う、仕事のために、やっておけば良かったこと

大学時代に、もっと就活をしておけば良かったと思います。

特に企業研究は、しっかりと幅広くしておけば良かったと、今就活していて改めて思います。

当時は公務員を目指していたので、試験勉強はそれなりに努力したと言えますが、民間の企業には左程興味を持っていなかったので、就活らしい活動はほとんどしておらず、秋も終わる頃に最後の公務員試験(面接)に落ちてから、焦って方向転換する羽目になりました。

就職浪人は親も認めず、奨学金の返済もあったので、とりあえず募集している会社の中から、あまり将来のことも考えずに応募し、広島の半導体工場に決まったのですが、今になってみると、やはり就活はしっかりしておけばと痛感します。

 

● ズバリ、仕事とは何か

未だ何かを掴んだ訳ではないので結論ではありませんが、今までの自分は確実に「お金を稼ぐ手段」という感覚が大半を占めていました。

しかし、今はそれに加えて「自分を活かすこと」という感じがしている。

今後は100%自分を活かせる仕事に就きたいし、自分で仕事を創ってゆきたいと考えています。

 

● 自分にとっての仕事の意味価値とは

仕事をする以上、お金を稼ぐという意味価値はあると思います。

でもそれ以上に価値があるのは、仕事を通して立場チェンジができることだと思います。

接客の仕事なら、自分がお客様の立場だったらどうして欲しいか、という考え方がリアルに活かせるし、その行動が良い結果に繋がったらお互いが喜べるし、仕事に限らず人間関係の向上にも役立つと思います。

そしてもう一つが、チームプレーを通して絆をつくることが出来るという価値です。

仕事には共通目標があり、それぞれの能力を発揮してその目標を達成できた時は、やりがいと共に仲間との絆も実感できるし、それがまた次の仕事の活力にもなっていると思います。

 

● 未だ社会に出ていない若者へ、贈る言葉

自分もまだ若いので大それたことは言えませんが、人間として生まれてきた以上、いろいろなことに身体を使って経験して欲しいと思います。

何事もチャレンジあるのみ!! ただし、礼儀や感謝は大切にしましょう。

それから、就活もしっかりしようね。

 

★ 私だけの仕事の流儀とは

常に、相手を優先すること。

どんな仕事にも相手が存在します。だからこそ、そこに自分の役割が生まれ、相手があってこその自分という感謝が生まれる。そのことを忘れてはいけないと思います。

 

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今回、ケントのインタビューを通して、私は改めて若者の大いなる可能性を感じました。

彼はいわゆる早期離職者と呼ばれる若者です。しかも今現在の状態はフリーターです。

しかし彼は、時代や社会制度を憂うことなく、その口からは「相手を優先する」とか「相手に感謝する」という言葉が自然に出てくるのです。

それは、ケント自身の人間性でもあると同時に、彼がプライベートで、PBLSというNPO法人の会員メンバーの中で地区リーダーを務めていることに起因していると私は観ています。

その地区は、彼の親世代よりもさらに上の世代の方も所属されているコミュニティーで、最も若いケントがリーダー兼雑用係として奮闘し、カラオケ紅白歌合戦や、「ほめゲー」というコミュニケーション向上ツールを使ったイベントなど、毎月様々なイベントを仕切ってくれています。

そんな仲間内でも、彼は歴史好きで通っており、歴史とそこに登場する人物には彼独自の解析と熱い思いを抱いています。

そんなケントの思いを皆に発信しようと、私の所属する地区で定期開催しているイベントに彼を講師として招き、関ヶ原の合戦をベースにした人間関係を考えるワークショップを共に企画・開催しました。

準備から開催に至るまでの彼は、まさに水を得た魚の如く生き生きと楽しいそうに取り組み、イベントはアンコール開催をするほどの盛況ぶりでした。

私は、その企画を通してケントと何度も打ち合わせをし、イベントでケントが一生懸命講師役に挑戦している姿を見守る中で、自分の中にまだ燻っていた夢を実現したいという思いを再認識することができました。

私の仕事は、彼のような若者を正規社員として再就職させることを目的としていますが、ケントが私に教えてくれたのは、本当にその人が活かされる仕事を得ることに向けた支援が必要だということです。

ケントはまだまだ未開発の能力に満ちた可能性の塊です。そして、彼の周りには経験豊富な人生の大先輩が大勢います。

社会的地位のある大人が、フリーターの孫のような若者と共に、日本の未来を真剣に考えている光景が、そこには確かに存在しています。

世代を超えた人と人の心の交流の輪が、若者の可能性を自覚させ、開花させてゆく道に繋がることを、私はケントとの出会いで確信しました。

これからの、彼の活躍に期待せざるを得ないのは、そういう理由でした。

 

2016.2 Yout hworker・Support「私だけの仕事の流儀」

 


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