Youth worker Support【未来を創る若者たちへ】

「はたらいて幸せになろう!」仕事は自分を成長させ、人を幸せにします。そんな仕事を楽しむための情報をお届けします。

仕事の魅力は職場環境によって左右されます。

2016-12-30 | 仕事

今回は、新人社員を指導する立場にある方に向けて書きます。

いきなりですが、今自分がしている仕事の魅力を10以上、新入社員に言えますか?

今現在、自分に課されている仕事のやりがいや醍醐味、ワクワクする瞬間などを、どの程度認識して働いていますか?

私はよく、求人票提出で訪れる企業の人事担当者や社長さんに「御社の、この仕事の良さはどんなところですか?」と質問しますが、すぐに返事が返って来るのはだいたい20%程度で、その中で多い返答が「人間関係が良いところ」次いで「成長出来るところ」といった感じです。

出来るだけ時間を取り、求人の仕事内容についていろいろと質問をするのですが、事細かに説明できる人ばかりではありません。

中にはその仕事のことはほとんど知らないで、上司に指示されて提出に来たという会社も割と多くあります。

私は、特に新卒求人の場合は、その仕事のイメージができ、入りたいと思わせる情報が多ければ多い方が良いと考えているので、できるだけ会社のアピールを求人票に記載したいと思っています。

しかし、多くの企業は、アピールと言うといわゆる福利厚生の話をします。例えば海外旅行に行くとか、ホークス戦の観戦チケットがもらえるとか、温泉などの保養施設があるとかです。

確かに大切な情報なので当然記載しますが、私が割とひつこく聞くのは、日々の仕事の中で感じる”やった”と思う瞬間とか、感動する場面です。

面倒くさいという感じになる担当者もいますが、中にはご自分の通ってきた道を振り返り、熱心に語っていただけた時は、この仕事は面白いなあ~と思う瞬間です。

そんな方は一様に、ご自分のダメダメだった若い頃を思い出し、失敗したことや𠮟られた時のお話をして下さいます。

そして必ず、周囲の人への感謝の気持ちを話されます。

中には時代背景とその時々の若者の傾向とも比較しながら、今の若者に対する思いを熱く語るベテランの人事担当者の方もおられました。

そういった人たちと良く盛り上がるのが、先輩が楽しそうに仕事をしていなければ、新人はやる気にはならない、という話です。

学生にもそうですが、こと新入社員に対して、周囲の大人たちは「そんなに甘くないぞ」とか「学生じゃないんだから自分から動け」とか「この程度でキツイと言うな」など、とかく厳しい言葉を投げかけるものです。

私にも経験がありますが、新人社員が本当にやりがいを感じるのは入社後だいたい1年くらいは掛かります。

その間に厳しい言葉ばかり浴びていると、前回書いた”仕事の軸”が不安定のままとなり、なかなか仕事の神髄にまで達しないものです。

厳しいことを言うなら、せめてそれと同じくらい”魅力的なこと”も言って欲しいと思うのです。

例えば、期待の新人に対して「そんな程度じゃ使えない、もっと勉強しろ!」とだけ言って終わるのではなく、「それがクリアできたら、今度はお前のアイデアを採用するから頑張れ、うちの会社はその過程も評価してくれるし、俺もちゃんと伝えるから…」などと、見通しのある言葉を付け加えて欲しいのです。

特に新人には、言葉にして伝えることを意識して欲しいと、私は切に願っています。

人事担当者や職長クラス方は、そんなの当り前で実際にそうしていると言いますが、実際に現場で新人を預かる入社3年以内の先輩は実はそうでないケースが多いことに気付いていません。

実は入社3年以内の若手の方が「こんなこと言わなくても分かるだろう」とか「いちいち言葉にしなくても、もう大人なんだから」などと思う人が多いのです。(自分はもう社会人になったんだからという気概からだと思います)

新人教育に年齢の近い先輩と組ませるケースも多い様ですが、この点だけは要注意です。その先輩の”仕事の軸”が不安定なままなら、仕事も魅力など伝えられないし、それどころか新人を不満のはけ口のように扱い兼ねないからです。

さらに、上司となる人は教育係の先輩社員も一緒に観るので大変です。

言葉にして伝えることを怠る上司は、必ずと言って良いほど新人社員と信頼関係が築けないと断言します。

 

もう既に、定着率を上げるのは会社の必須課題です。それは会社の規模に関係なく、一つのブランドとして位置付けられる時代に入っていると言えます。

その一方では、起業、副業、ダブルワークなど、一つの組織に属さない働き方を選ぶ若者が急増する時代になっています。

おそらく、5年以先の労働市場は大きく変わり、働き方の選択肢はもっともともっと広がることでしょう。

多くの企業は、今いる人材の能力を再確認して、一人ひとりの才能を生かした雇用体系に変えることが求められると思っています。

今、新人教育を担当している方たちは、今後激変する労働市場の渦中でその職責を担う事になります。

だからこそ、自分の仕事の魅力を再確認する必要があるし、今がその時だと思います。

新入社員の仕事に対する魅力は、既にそこに居る社員が作る職場環境によって大きく左右されます。

仕事の魅力ややりがいは、自分自身で見つけるものではなく、その職場環境によって身に付く価値観です。

子どもがその家庭環境に強く影響を受けるのと同じです。

なので、新人教育を担当される方は、どうかご自分の感じるやりがいや楽しさを大いに言葉にして、大袈裟なくらいの言葉で伝えて欲しいと切にお願いいたします。

 

 


仕事の軸、安定していますか?

2016-12-25 | 仕事

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年末は、何かと自分を振り返ったり、今後の方向性について考える時期ですよね。

なので、今仕事に悩んでいる若者には是非読んで欲しいと思います。

就活生の方は、もう既に内定を得て年を越す人が多いと思いますが、おそらく1年後か、少なくとも3年以内にはこのテーマに悩むことになると思います。

今回のテーマは、私自身働く上で最も大切だと考える「軸」について書きます。

「軸」とは「動機付けの根源」「あるいは働く意味価値」「やる気の基」とも言っていい程大切です。

意識の有無に関わらず、誰でも”軸”を持っていますが、実は軸そのものよりも”軸の安定性”に問題を抱えている人が多いと私は考えています。

安定した軸というと、太くて強い一本の軸というイメージがあるかもしれませんが、私の考える軸とはそうではなく、4つの支柱(要素)から成る形で、ピラミッドのような四角錐のイメージです。

その4つの要素とは以下の通りです。

①何をするのか(仕事そのもの)

②どうやってするのか(仕事の進め方)

③誰と関わるのか(社外も含めた人間関係)

④何を得るのか(給与や出会い、チャンスなど)

この4つの要素のバランス次第で、軸が安定したり不安定になったりすると私は考えています。

言い換えると、4つの要素をすべて満たす仕事に出会えたなら、こんなに楽しい仕事はないという事です。

仕事に悩んでいる人の多くは、最初はだいたいこの4つのうちの1つに問題意識を持つことから始まります。

「仕事は楽しいと感じる。でも新しい出会いが無い」とか、「会社の人は皆いい人ばかり、でもこのお給料じゃ将来が不安」あるいは「給料はいい。でもやり方が合わない」といった感じがこれに当たります。

そのうち、2つ3つと増えてゆくと離職が頭をよぎるようになります。

「仕事はきついし、給料も低い、おまけに上司とはソリが合わない」などはこの典型です。

そして、4つすべてに問題を感じると職場鬱の恐れさえあります。

しかも、若いうちは自分で仕事をコントロール出来ないので、このバランスは常に動き不安定の状態が続いたりします。

職場で生じる問題のほとんどは、病気と同じで早期発見が大切です。放っておくと大きな手術をしなくてはいけません。

なので、今現在仕事に悩んでいる人は、4つの要素のどの部分で問題を感じているのかを分析してみて下さい。

既に2つ以上に問題を感じている人は、早急に相談者を見つけることをお勧めします。出口のない悩み事は身体まで悪影響を及ぼします。そうなる前にプロの相談者を見つけましょう。

また、自分ではよく分からないという人は、簡単なテストをすることで判断できます。

相談者を見つけられない、またはテストに興味のある方は、下記のアドレスかFacebookにて是非ご連絡下さい。

yws_k@yahoo.co.jp

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労使協定 その3 「変形労働時間制って何?」

2016-12-07 | 仕事

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何度かに分けて「労使協定」について書いています。

今回は「変形労働時間制」です。

まずは、説明を先にしておきます。

『変形労働時間制とは、一定の要件の下、一定の期間を平均して1週間の労働時間が40時間を超えない範囲で、1日当たりの労働時間が8時間を超えたり、1週間当たりの 労働時間が40時間を超えたりしても労働させることができる制度です。繁閑の差が激し い業種において、繁忙期と閑散期に合わせて、会社と労働者が労働時間を工夫することで①全体の労働時間の短縮を図るためなどに利用されています

変形労働時間制には、1か月単位、1年単位の変形労働時間制、1週間以内の非定型的変形労働時間制、労働者が自分で始業時刻、終業時刻を決定できるフレックスタイム制があります。

変形労働時間制は、労働時間を弾力化することで業務の効率をよくする反面、労働者 にとっては、生活が不規則となったり、通常の労働時間制ならもらえるはずの②時間外手当がもらえなくなったりすることにつながるなどの問題点もあります。 そこで、変形労働時間制の導入には、就業規則や労使協定で定めておく必要があるなどの要件を満たす必要があります。また、妊産婦や育児・介護を行う人たちには適用制限がありまし、変形制といっても③全く自由に長時間連続で働かせることができるわけではなく、法令上、上限や時間外労働、休みに関する規定が定められており、それに反することはできません。』(厚生労働省:知って役立つ労働法より抜粋)

さて、どうでしょうか?

普段あまり気にかけていない人にとっては大変分かり辛いと思いますが、実は働く上ではとっても重要なことなので、今自分の会社はどんな制度を採用しているのか?くらいは気にかけて欲しいと思います。

そして、もう既に分かっているという人は、上記4か所の朱書き部分の理解を深めてもらいたいと思います。

なぜなら、経営者の多くは①については労働時間の短縮などという意識が薄いこと、②は変形を採用すれば残業代を払う必要がないと勘違いしていること、③については会社都合で自由に決めることができると思い込んでいること、そして最後の④に至っては「違反」という感覚すらないという状況だからです。

そして、労働者の多くは「変形労働時間制」と聞いてもよく分からない人が多く、「まぁ~分からないけど会社に従うしかないなぁ~」など、さほど疑問にすら上げない状況だからです。

そもそも「変形」というくらいですから、「原型」があります。

それは、毎日定時に始まって定時に終わり、土日は休みなどという規則正しいリズムのようなものだと思えばいいでしょう。

しかし、世の中はそういう訳には行きません。

自分が消費者の立場なら、帰宅途中に買い物がしたいと思うし、休日前には飲み会に行ったりカラオケを楽しんだりしたいものです。

つまり、自分が働いていない時間に誰かが働いてくれているから生活が出来ているのです。

そう思えば、皆が同じような時間帯で働くよりも、いろんなバリエーションの時間帯があった方が良いし、それぞれの生活スタイル、リズムに合わせて仕事が選べるような仕組みにする必要性も高くなります。

なので、変形労働時間制は、労働者であり消費者でもある私たちにとって、とても大切な制度には間違いないと私は思っています。

しかしながら、それを自分の都合のいいように解釈し、届け出もせずに悪用する経営者が以外に多いことと、そもそも制度自体を知らない経営者もこれまた多いことが嘆かわしいと思います。

前回も書きましたが、労働法は労働者のための法律です。

なので、労働者こそ少しづつでも知識を深めて快適で納得の行く働き方を手に入れる事は、労働者の立派な権利であり、経営者は労働者の権利を妨げてはいけないのです。

今一度、自分の会社の就業規則を確認することをお勧めします。

ちなみに、10人未満の会社には就業規則を作る義務は課せられていませんが、努力義務にはなっているので、「今はない」と仰る小規模事業主の皆様は、どうか前向きに就業規則の作成に取り組んで頂きたいと切に願います。

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労使協定 その2 「労使協定って何?」

2016-12-04 | 仕事

前回は36協定でした。そして今回は「変形労働時間制」について書く予定でしたが、どうも解説に主軸が傾き過ぎていているという気がしたので、反省も込めて今回は視点を変えます。

私は、労使協定の解説をしたい訳ではなく、そういう法令に対して皆さん自身がどう理解し対応(対処)すべきかを考えて欲しいと思っています。なので、今回は「労使協定って何?」という観点で、できるだけ分かりやすい言葉を使って説明し、問題提起もしたいと思います。

まず最初に知っておいて欲しいのは、労使協定という言葉の意味をあまり理解していない(知らない)経営者は予想以上に多いという事実です。

実際に、私自身「36協定って何?」とか「変形労働時間?交代制じゃなくて?」などと尋ねる経営者や人事担当者を何人も見て来ました。

でもそれは、ある意味仕方がないとも思っています。

なぜなら、労使協定という言葉を知らなくても会社は設立できるし、最初は経営にも直接影響はしません。そもそも社長をはじめ役員になる人は労使協定の「使」の方、つまり「使用者」側に立つので、いわゆる労働法で守られる対象である「労働者」ではないからです。

労働法では、いわゆる会社側の立場の人たちのことを「使用者」と呼ぶことが多いので、使用者=経営者と理解すればよいでしょう。ちなみに「法人」という表現も登場しますが、これは法律上、会社も一個の人格とみなし「法の下の人」という意味の表現です。

話を戻します。

つまり、労働法のすべてを知らなくても使用者(経営者)になれるのです。それは、法律のことを何も知らなくても労働者になれるのと同じです。

何が言いたいかというと、労働法とはたとえ違反していても、知られない限り放置されるということです。(犯罪も同様です)

労働法制に関する取り締まり機関は、労働基準監督署というところですが、実は使用者が法律違反をしていないか、いろいろ調査しています。

しかし、会社の数があまりにも多く、いつも一つの会社に監視の目を光らせるわけには行かないので、法令違反があったとしてもその多くは放置されているのも現状です。(通報があれば別ですが)

しかも、前述のように労働法制をよく知らない経営者が多いので、そもそも違反かどうかなんて考えてもいないでしょう。(お金の工面の方が重要なので)

だからこそ、労働者が然るべき知識を持って対処すべきだと私は思うのです。そもそも労働法は労働者のための法律だからです。

多くの人が勘違いしがちなのは、「使用者>労働者」という力関係ですが、本当は違います。

実は、使用者と労働者は対等の立場です。

だから、労使”協定”と言います。共に争いやもめ事を避けるため、あらかじめ話し合い約束事を決めておくという意味です。

使用者が指示や命令を出せる範囲や、仕事の割り当てなどを明確に示したり、働く時間や場所に関する約束事を明確にしておくなど、互いの認識をすり合わせて双方が納得のいく環境で気持ちよく仕事をするために結ぶのが労使協定なのです。(労使協定の種類や内容については説明が膨大になるので割愛します)

ちなみに「労働契約」は、個人が使用者と交わし、その会社の労働者になることを意味しますが、その場合もやはり対等の立場で交わすものです。労働者は使用者に対して労働力(技術・知識・経験・時間など)を提供する代わりに、使用者は賃金を支払うという関係を結ぶという意味です。

さらには、法律も労使関係は対等という考えを前提にしています。しかしながら一般的には使用者=雇う側、労働者=雇われる側という関係上、どうしても使用者側の権限が増す構図になりやすいので、労働法では労働者側の保護という観点が強く反映され、「使用者は労働者に対し・・・してはならない」という趣旨の法令が多いのです。

私は、労働者こそ労働法についてもっと知るべきだと思っています。(特に若手の)

当然、使用者側もですが、会社を経営していると何かと考えなければいけないことは山ほどあるので、いっそ労働法のコンプライアンスは若い社員に任せたらどうかと思います。(中間管理職も忙しいので)

例えば、入社2・3年目くらいの将来を担うであろう若手社員を、経営者直属の「労働法コンプライアンス担当」というスタッフ機能を設けて、法律順守の職場創りに取り組むといったやり方があるのではないかと考えています。

労使協定の他にも、就業規則、給与規定、労働契約など、使用者と労働者の間には実に多くの約束事が必要です。

しかし、そういう事を知らずに何年も不当な扱いを受け続けて来た事にさえ気付かない、仮に気付いても「雇われいる身だから…」と戦おうとしない労働者が実に大勢いるのも事実です。

また一方では、経営は上手くても社員を不当に扱っている事にいつまでも気が付かず、さらには定着率が悪いにも関わらず「募集しても人が来ない」などとぼやく経営者もたくさん存在しています。

労使協定は、使用者と労働者が対等の立場で結ぶもの。だからこそ、労働法も労使が共に協力して知識を深め、遵守して行けるようになれば、もっと働きやすい環境になる会社は多いのではないかと、私は考えています。

皆さんはどうですか? 

 


労使協定 その1 「36協定って知ってますか?」

2016-12-03 | 仕事

かなり久しぶりの更新です。

これから数回に分けて労使協定について書きます。

しかし、一言で労使協定といっても色々あって難しいので、身近なものから選んで書こうと思います。

その1回目は、時間外労働(残業)に関する協定で、いわゆる「36協定(さぶろくきょうてい)」を選びました。

昨今ニュースになることが多い電通問題も、”異常に長い残業”や”厳しすぎる社風”などが問題視されていますが、似たようなことをしている企業もちらほら明るみに出てきています。

そこで、自分の身を守るという観点でも、この”36協定”の存在そのものに気付いて欲しいのと、この協定(書)が持つ意味を再認識して欲しいと思い選びました。

まず皆さんに知って欲しいことがあります。

実は日本という国は、以下の3つの場合に限り、時間外労働(以下、残業とします)ができるという法律になっているということです。

(1)地震や火事などの災害その他避けることができない事由によって、臨時の必要がある場合において、使用者(会社)が所轄の労働基準監督署長の許可を受けて、その必要の限度において労働させる場合。(事態急迫の場合は、事後に届け出る)

(2)官公署の事業に従事する公務員が、公務のために臨時の必要がある場合。

(3)第36条に基づき、労使協定を書面で締結し、これを所轄労働基準監督署長に”届け出た場合”。(36協定のこと)

一般的には(3)が当てはまりますが、残業は法的な手続きが無ければ、させてはいけないということです。

では、手続きをすれば無限に出来るのか?というとそうでもなくて、月45時間・年間360時間以内(一部除く)にしなくてはなりません。

例えば、1か月20日勤務の場合は、1日3時間を超える残業を毎日すれば60時間以上となるので、アウト!となります。(ただし変形労働制の場合は少し計算が違うので、次回書きます)

「アウト!」とは、労働法に抵触(違反)しているとして、労働基準監督署に訴えることが出来るという意味ですが、実際には少々時間が超えたからと言っていちいち通報などしたくないという人が圧倒的に多いので、ほとんど問題になることはありません。(ただし無理強いは通報すべきです)

確かに、逐一問題を明るみにして会社ともめ事を作りたくないという気持ちは分かります。なので、直ちに訴えろ!と言っている訳ではありませんが、私は月に60時間を超える残業が3か月以上続くような職場なら、同僚や先輩などと話して上司や社長に訴えることくらいはして欲しいと思います。(ただし、サービス残業は1時間でも訴えるべきだと思います)

私が危惧するのは、そういう法的な知識をほとんどの若者は知らずに就職しているという現状が、後に悲劇を生む一つの要因になっているのではないか、ということです。(私も知りませんでしたが…)

 

ではもう一つ、今度は残業に対する考え方です。

それは、労働者がすき好んで自発的に残業した場合、または自分の責任において仕事の切りが良いところまで残業した場合などです。

この場合は、「時間外労働は、使用者の指示・命令によってなされたものとはいえないので、労働基準法上の時間外労働とは認められない(東京地判昭和58年8月5日)。ただし、使用者の指示した仕事が客観的にみて正規の時間内ではなされえないと認められる場合のように、超過勤務の黙示の指示によって法定労働時間を超えた場合には時間外労働となる(昭和25年9月14日基収2983号)。」(※wikipediaより抜粋)となります。

つまり、指示・命令があったか否かが一つの判断基準となります。

例えば「時間内に仕事を終えて、定時には帰りなさい。」という指示が出ていれば、勝手に残って仕事をしても残業にはなりません。

ところが、”仕事を終えて”の指示が出来ていなかった場合、つまりその日にするはずの仕事が未だ残っていた場合はどうでしょうか?そこが一つのポイントとなります。

多くの人は、指示通りにするため、残って仕事を終えようと残業をします。

しかし、それは本当は間違いです。(マネジメントの間違いでもあります)

本来は、定時で帰ることも指示されているので、この場合は上司(社長)に状況を伝える必要があります。

例えば「あと1時間くらいで仕事が片付くので残業します。」などと言って、「はい、そうして下さい。」と言われたら、その時点で残業と認識され、残業手当が支給されます。

しかし「いや、明日でいいから今日は帰りなさい。」と言われたら、いくら残って残業しても手当は出ません。

しかし実際には、社員一人ひとりの状況を細かく把握して、その都度指示が出せないので、36協定を交わして必要な時には残業を認めているというのが実態です。

時間の使い方は、以前書いたように「自分時間」と「他人時間」がありますが、それには範囲があり、36協定に記してあります。

仕事には、してよい時間と休むべき時間が定められている事がほとんどなので、その範囲内で自分で工夫することが長く働くコツにもなる訳です。

今働いている人は、一度は「36協定書」を見ておくことを強くお勧めします。「就業規則」に添付されているケースが多いようです。

ほとんどの会社は届け出をしているはずですから…

ちなみに、労働基準局は、今は残業がなくても、あった時のために協定を結んでおいた方が、企業のためにもなるという見解です。

また、今現在不当な残業を強いられている人は、一刻も早く打開策を打つ必要があります。

最寄りのハローワークや労働局に連絡してみて下さい。

いきなり言い辛いと思うなら、私に相談して下さい。

次回は「変形労働時間制」について書きます。