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シリーズ「大学生のための自己分析のススメ」その2

2017-06-26 | 仕事

就活が楽しくなる!そのカギは、私たちが日々”無意識”に行っている自己分析を早期に”意識化”することです。

「大学生のための自己分析のススメ」と題して、簡単にできる自己分析の手法と活用法を、分かりやすく解説してゆきます。
自分を知ることは周囲や世間とつながってゆくことを意味します。あなたにしかできない就活を楽しんでください。

【1-2】就職活動における自己分析の目的

まずは、就職活動における自己分析の目的ですが、私は、大きく3つあると考えています。
1.自分を知り、好きになり、自信を持つこと。
2.過去の変化に気付き、これからの変化を考えること。
3.自分の事を他者に伝え、理解し判断してもらうこと。
自己分析に対する学生の取り組みや反応を見聞きすると、重要な事という認識は一様に持っているようですが、その手法となると、割と簡単に出来るものと捉える人と、必要以上に難しく捉える人に分かれ、以外に中間的な人は少ないと言えます。(そんなもの必要ないと考える人は論外です)
しかし、両者に共通して言える事は「自己分析=自分を知る事」という認識が大半を占め、それ以上進展していないという点です。
この3つの目的は、単に自分を知る事だけでは不十分だとする、私の思いを整理したものです。
常に意識すべきなのは「自分を知って、それからどうするの?」という感性だと思うのです。
では、詳しく解説して行きます。

① 自分を知り、好きになり、自信を持つこととは

自己分析は、自分を知るためだけに行うものではないと述べましたが、その理由は、単に知る事だけを目的とするのは短絡的で、実は危険性もはらんでいるからです。
自分のことが明確になるということは、自分の中の嫌いな一面や、人と比べて劣っていると思う自分、さらに辛い過去の記憶がよみがえるなど、自分に自信を持つどころか、逆に自信喪失になってしまい、自己分析を遠ざけようとする気持になるケースが、非常に多くの人に見受けられるからです。
「自己分析は、ありのままの自分と向き合うこと。」という考え方がありますが、それは謙遜でも自慢でもなく、素直になって自分に問いかけるという意味です。

そこで最も肝心なのは、その目的(方向性)を明確にしておくことです。
「自己分析は、自分に自信を付けるために行うもの。」という強い目的意思を持つことです。
就職活動における自己分析は、自分の荒探しでも、他人との比較でもなく、自分の自信の源や、やがて自信になると思う情報を探す行為です。
そのプロセス(方向)が、自分を知る→好きになる→自信を持つ、ということになります。
しかし、自分の全てが好きで、いかなる場面でも自信に満ちた人は、恐らく一人もいないでしょう。
「自分を好きになる」とは、「自分を容認し受け入れる」または「自分を許す」という意味です。
もしも今、貴方が自分に自信が持てないと悩んでいるなら、せめて自分の半分だけでも好きになれるよう努力してみて下さい。但し、人と比べてはいけません。
自分の中の「自分らしさ」「好きな事」「好きな言葉」「好きな場面」「好きな人」などを思い浮かべて、それをノートに書いて確かめるのです。
そして、貴方の周りには、貴方を必要としている人が必ずいるはずです。
一人でも思い当たれば、その時点で貴方の自信の源が一つ見つかったことになるのです。

「自信」とは、他者に認められ、必要とされることを実感出来た時に、喜びと共に身に付くものです。
勇気を持って、周囲の人に「私の良いところはどこですか?」などと尋ねてみてはどうでしょうか。
一方、ある程度の自信はあると思っている人なら、さらに踏み込んで、その自信の先に何を目指すのかを、真剣に考えて下さい。自信の度合いや、そのありようは千差万別ですが、さらに磨きをかけ輝きを増すよう努力するのです。持て余して原石のままにするのは勿体ないことです。

② 過去の変化に気付き、これからの変化を考えることとは

自己分析で、どうしても欠かせないのが「変化する自分」という視点で考えることです。
言い換えると「今の自分は、過去から変化し続けてきた自分。では、これから自分はどのように変化して行くのか、したいのか。」という考え方になります。
実は、就職活動とは、今後の自分がどこで、どんな変化をするのか考える機会でもあるのです。
自己分析を「経験の棚卸し」または「振り返り」などと捉えている人も多いと思いますが、それこそまさに自分の変化に気付くためプロセスと言えます。
今までの自分が何をして、何を感じ、何に気付き、何を得て、そして何を犠牲にして来たかなどを整理する事で、自分の変ってきた側面や、変ることのなった側面などが把握でき、客観的に自分を捉えることができるという分析法です。
しかし、最も肝心なのはその先の未来の自分を考える(想像する)ことです。
実際に社会に出て行く時の貴方は、今の貴方ではありません。
数ヶ月、または数年後の、今とは違う貴方が社会人となるために、今の貴方自身を認識し、今後どうなりいたいかを真剣に考える事が重要なのです。

ここで分かって欲しいのは、自己分析を単に過去の思い出探しで終わるのではなく、過去から現在に至る過程で自分の変化を把握し、今の自分がこれから未来に向けてどの様に変化して行くのかを、出来るだけ鮮明にイメージできるまで考えて欲しいということです。
例えば、1年後にどんな会社に入ってどんな生活をしているのか、さらに1年後にはどんな仕事を任されているのか、さらに3年先、5年先と、未来の自分がどうなっていたいかを、まずは自由にイメージしてみるのです。出来るか否かは後回しで良いのです。純粋に自分の希望を描くことが肝心です。
何となく求人情報を閲覧しているだけで就職活動をしている気分になっている人ほど、自分の近未来の生活を想像してみることが急務です。

③ 自分の事を他者に伝え、理解し判断してもらうこととは

冒頭でも述べましたが、自己分析の中で最も難易度が高いのが、他者に伝える行為です。
実は、殆どの人が「自己分析=他者に伝える」という認識が低く、自分の中では分かっているはずが、実際に履歴書で、あるいは面接で、自己PRや志望動機を表現する際、どう書くべきか、何から言うべきか、などと悩み立ち止まるのです。
最初に「就職活動における」と前置きしたのは、それが最も難易度の高い、他者への発信を伴うものだからです。いくら時間をかけて一生懸命分析を行い、自分に自信が持てて、将来の目標が見出せても、それが採用担当者に理解されなければ、意味がなくなってしまうところが、その難しさなのです。

言い換えると「他者に伝える事ができる様になるまで行うのが自己分析」ということです。
更に言及すると、採用担当者は貴方のことを単に知るだけではなく、貴方という人間を理解し、採用すべきか否かを判断するという重要な役割を担っている事を、強く意識しなくてはなりません。
従って、就職活動における自己分析は、採用担当者にとっての判断材料にすることが求められ、それを確実に伝えるためには「伝達力」を要します。
しかし、ほぼ全ての学生が伝達力を必要としていることに、最初は気付かないのです。
そして大半の人は、実際に応募書類を書き始める頃や面接を経験する事で、伝達力の大切さに気付き、自分の力不足を痛感します。
「就活の自己分析は、相手に伝えてナンボ」です。

以上の通り、就職活動における自己分析には大切で欠かせない目的があります。
大袈裟かも知れませんが、この目的を外してしまうと「自分とは何者なのか」「自分なんて分からなくていい」「自己分析など必要ない」という方向に陥ってしまい、当然、就職活動は苦痛で嫌なものになってしまうのです。
では、どの様に進めると良いかを、次回から順を追って解説して行きます。


シリーズ「大学生のための自己分析のススメ」その1

2017-06-26 | 仕事

就活が楽しくなる!そのカギは、私たちが日々”無意識”に行っている自己分析を早期に”意識化”することです。

これから数回に渡り「大学生のための自己分析のススメ」と題して、簡単にできる自己分析の手法と活用法を、分かりやすく解説してゆきます。
自分を知ることは周囲や世間とつながってゆくことを意味します。あなたにしかできない就活を楽しんでください。

はじめに

私たちは皆、日頃から自己分析をしながら生活していますが、それを意識している人は少ないでしょう。
しかし、就職活動の時期になると話は変わり、自己分析は大変重要な意味を持つ行為となります。
学生の中には就職活動は辛くて苦しい時間のようなマイナスのイメージや、無事に内定が取れるのか、といった不安感を持っている人は少なくありません。
私は、そんな学生にこそ、早い時期から自己分析を意識的に実践してほしいと願っています。

私は、就職活動ほど、人生において有意義な時間はないと思っています。
なぜなら、就職活動は、ただの1秒も無駄にならない、全ての行為が未来の自分の創造に役立つ時間だからです。
そして、そんな有意義な時間を実感できるか否かは、意識して実践する自己分析の成果と深い関わりを持っているのです。
就活の時期になって、何となくぼんやりと自己分析を行う人と、早くから目的意識を持って行う人とでは、企業の採用担当者に伝えるべき情報量は雲泥の差となり、当然後者の人の方が、より多くの、しかも整理された情報を相手に伝える事ができる分、理解度も増し内定獲得へ近づきます。
また、就職活動においての自己分析は、単に採用選考を通過するためだけに行うのではなく、これから社会人として一人前になり、未来の自分を創造する力を養う為の方法と言っても過言ではありません。

これから、私の考える就職活動における自己分析の考え方や手法について、詳しく解説して行きます。
さらにその内容は、近い将来社会人になった皆さんが、会社(職場)でも応用できるものだと思います。
勿論、「絶対にこうすべきだ。」と言うものではなく、一部でも、皆さんの就職活動や社会人としての活動の一助になれば幸いだと考え、提案させて頂きます。

そしてもう一つお伝えしておきたいのが、就職活動に立ち向かう姿勢です。
それは「やる前から既に自分に向いている仕事などない、ましてや入る前から既に自分に合う会社などない。」という考え方を持つことです。
自分に向いている仕事を探すのではなく、これか向くかもしれないと思える仕事を探し、自分に合う会社を探すのではなく、自分の方から合わせられそうな会社を探す、そのために行うのが自己分析であり、企業研究なのです。
どんな仕事も、実際にやってみなければ、本当に自分に合うのか、楽しいのかなど分かりません。
「自分に合うかどうか」より大切なのは、「それが好きになれるかかどうか」ということです。
自分に合っていることと好きなことは、必ずしも同じではなく、どんな仕事も好きでなければ楽しくならないし、仮に自分に合っている仕事でも、それが好きでなければ長く続けられないかもしれないのです。
自分が素直に好きだと言えることを明確にし、それを採用担当者に的確に伝える術を、これから紹介して行きます。
勿論、好きな仕事を見つけ、それを獲得するのは容易な事ではありませんが、就職活動は、貴方が近い将来、好きな仕事ができる自分に変化する場所(職場)を探すことでもあるのです。
自己分析をしっかり行い、貴方にしか出来ない就職活動を送って下さい。

1:自己分析の基礎

【1-1】自己分析の捉え方

「自己分析」は、「自己理解・自己認識・自己概念・自己受容・自己容認…」など、類似点の多い言葉で説明されることが多いのですが、私は出来るだけ、その様な言葉を省いて説明したいと思っています。

これから解説する自己分析の概要は、以下のようになります。
「自分のことを、見知らぬ誰かに説明し、理解してもらうためには、自分の内外にある膨大な情報を分類して、取り出しやすく整理しておく必要がある。だからこそ人に協力してもらい、自分では気づけない情報を探してもらったり、以前とは変わった情報に置き換えたりしてく行為が必要となる。」
そして、この内容から最も基本的な捉え方として整理したのが、以下の3つになります。
1,自己分析は、決して難しいことではない。
2,自己分析は、一人で行うものではない。
3,自己分析は、絶えず変化すものである。
何事もそうですが、まず自分が物事をどの様に受け止めるのかが非常に重要です。
私は、多くの学生に「自己分析は楽しいもの。」というイメージを持ってもらうために、この様な捉え方が必要ではないかと考えています。
多くの学生が、自己分析を何か特別な行為のように捉え、必要以上に難しく考えているようですが、実は全く逆で、自己分析は私たちが普段何気なく行っている行為の一つに過ぎません。
また、「自己分析は一人でするもの」或いは「一度行えばもう終わり」といったイメージを持っている人も多い様ですが、それも少し違います。
自己分析は、その意味と手法さえしっかり取得すれば、人生を楽しく過ごして行くために欠かせない、ライフワークのようなものになるはずだと、私は確信しています。
では、なぜ多くの学生が自己分析で悩むのでしょうか。
私は、自己分析を難しくしている原因の一つは、その結果を人に話したり、書いたりする「情報を発信する場面」ではないかと考えています。

自分では分かっている事が、人になかなか分かってもらえないという経験を持つ人は多いでしょう。
また、いちいち自分の考えやその理由を他人に説明するのは面倒だ、態度で分かるだろ!といった感情も、誰しも持っていると思います。
しかし、それが就職活動となると(特に面接の場面では)、全く知らない人に、しかも初めて会ったその日に、自分の考えや要望、さらに自己PRなどを言葉で伝えなくてはならないのです。
それこそが、自己分析を「難しいもの」、「面倒くさいもの」と思わせる原因だと、私は考えるのです。
だからこそ、私は上記の様な捉え方が必要だと思うのです。
私が提案する自己分析の手法は、情報収集と情報発信がセットとなっている点が特徴といえます。
むしろ、情報発信を前提とした自己分析と言ってもいいでしょう。
私は、自分自身で「私はこういう人間です。」と分かったところで、それを周囲の人たちに発信しなければ、真の自己分析とは言えないのではないか、自分の考えや感情を周囲に発信し、その反応を確かめ、自己成長や自己実現に繋げて行くことこそが自己分析の目的ではないかと考えています。
では、次回から就職活動に的を絞って、自己分析の手法をもっと具体的に説明して行きます。


シリーズ「魔法の添削」その9~職種に合わせた表現法~

2017-06-08 | 仕事

今回は、職種に合わせた表現法です。
これまでは、質問の意図とその攻略を主軸に進めて来ましたが、ここでは戦略的な側面から進めて行きます。

オールマイティーな書類は存在しない

先に言っておきますが、オールマイティーな応募書類など、書こうとしても書けません。
多くの人が、志望動機以外は同じ内容にしていますが、実はとても効果的な方法とは思えません。
事業内容や職種が違えば求める人材像も違って当然です。しかし、志望動機だけをそれに合わせて書いても、大半の文章はどこにも通用する内容になっているので、的が外れているかも知れないのです。
企業は、「本当にこの会社に入りたい。」「この仕事がしたい。」と思っている人を探しています。
また、採用担当者は、毎年何通もの応募書類を読んでいるので、書いた人の意気込みや志望度などは、大体想像が付くものです。
最も悲しいのは、本当に熱望しているのに、その思いが伝わらない事です。
では、どの様に書けば良いのかを紹介します。

基本手順

応募書類を作成する際には、実際に書く前に幾つかの戦略的な情報収集が必要となります。
企業訪問や説明会などの企業研究の中で、特に注意を払って頂きたいのが職種に関する情報収集です。
職種を意識した文章作りとは、質問毎に回答を考えるのではなく、一枚の応募書類全体で自分のイメージを伝える事を意識した文章作りの事です。
一般事務・経理事務・受付・営業・販売・サービス・介護など、同じ会社でも職種によって求めているスキルや人材像は違います。
この手法は、履歴書でもエントリーシートでも同様ですが、以下の4つの手順が基本となります。
①企業研究や各質問の内容から、企業側の求める人材像探る。(自分なりにイメージする)
②自分のどの部分が、その人材像にマッチしていると思うのかを選択する。(伝えたい情報を絞る)
③適切なエピソードを選択する。(経緯・実例・瞬間描写の選択)
④マッチしていると思う部分を伝えるために、どの質問で何を表現するのかを決める。

POINT

基本手順で肝心なのは、まず自分自身がどう考えているのかに忠実になる事です。
勿論、正解などありませんが、自分が納得できる内容かどうかが大切です。
また、はじめから魅力のある文章を書こうと意気込むと、相手に気に入られるための文章作りになってしまい、自分の言葉にならないので、はじめは自分の思う通りに書いてみる事です。
応募書類は貴方の分身です。従って自分の思う事を素直に書くのが大前提となります。

アレンジと再構成

基本手順の次は、他者の評価を参考にアレンジしたり、回答の再構成を行う事です。
その際重要なのが、基本手順の②がちゃんと相手に伝わるかどうかという点を確かめる事です。
例えば、自分では「機敏な行動力」を伝えたいと考えていても、読んだ相手が「行動力は伝わると思うが機敏さはよく分からない。」という評価なら、もっと違う表現で”機敏さ”をアピールできるよう、アレンジするか、別のエピソードで再構成するかを考える必要があるという事です。
アレンジと再構成を考える上で有効なのが、大学の就職課や専門家に添削を受ける事です。
友人や知人に読んでもらう事も重要ですが、書き始めの時期(書き慣れる)までは、専門家の添削を受ける事をお勧めします。
添削とは、単に漢字の間違いや文法のチェックをするだけでなく「書き手の気持ちが文章に出ているか」という視点で行うのが普通です。
従って添削をする方は、単なる良し悪しではなく、なぜこのような文章にしたのかを、会話を通して確かめながら進めるので、書いた方も、そこで自分の書いた文章を再確認しながら見直すことができ、新たな発見やアイデアが生まれやすくなります。

POINT

添削を受ける時の心得として、まず大前提となるのが「謙虚さ」です。
謙虚さとは、単に控えめな態度を取る事ではなく、相手の下に入り教えを乞う姿勢の事です。
どのような評価や指摘を受けようが、自分自身の向上のためのヒントを得る事ができると信じて添削を受ける事です。
大袈裟かも知れませんが、この姿勢はそのまま仕事に必要なスキルでもあります。
但し、添削者との相性というものもあります。
自分がどうしても納得がいかない時や、添削者が文章を作るような場合は、他の人に相談した方が良いと思います。

自己イメージの確立(その気になる)

以上の手順を踏まえ、職種に合わせた書類作成の最終仕上げは、一言で表現すると「その気になる」という事です。「書いた本人なので当たり前」と言う声が聞こえて来そうですが、実際に会ってみると、
書類を読んで感じたイメージよりも評価が低くなる人は以外に多いのです。
自分に自信があるかのように書いている人が、面接では小さな声で顔も俯き加減、というケースは多くの採用担当者が経験しています。
本当の自分を表現しているのであれば、自信を持ってなり切る事です。

履歴書の具体例

ここでは、履歴書の例文を2つ紹介しますので参考にしてみて下さい。
志望する企業や職種によって伝えたいイメージを微妙に変える事で、それぞれの志望度の高さをさらに強くアピールしている点や、同じエピソードでも、角度と的を変えて表現する事で、相手に与える印象も変わるという点を分かってもらえると思います。
しかし、ここに紹介する例文は、表現の違いを分かりやすく説明するために多少の演出を加えているで、「現実感」や「身近な例」という点では少し疑問がある人もいるかも知れません。
あくまでも、職種に応じた書き方の、一つの例として紹介します。
また、同じ人間が書くので、人柄が全く変化する訳ではありませんが、自分の全てを一枚の応募書類だけで伝え切る事など出来ないので、最も効果的に印象付ける方法として、自分の中の最も伝えたい一面に的を絞って書く手法を紹介します。何度も言うように、応募書類は1社1枚が基本です。
貴方にしか書けない、魅力のある書類を作成して下さい。

例文1【事務職編】応募先:地元中小企業/食品卸売業

研究課題または興味ある科目
私は、6名の仲間と「裁判員制度の課題と対策」という研究課題に取り組んでいます。その中で私はアンケート作りを担当し、現状の問題点を明確に把握でき、なお且つ対策のヒントとなるような質問作りに悪戦苦闘しました。今後社会人の方500名に回答を得て、この制度に皆がもっと積極的に関れる社会にするための、私なりの対策案を考える予定です。

課外活動又は学外活動
私は「食育の会」というボランティアに参加しています。小学生に、食品の製造過程を紹介する活動をしており、今春から紹介パネル制作のチーフを務めています。18名で模造紙20枚を約2カ月かけて制作するのですが、皆のモチベーションを維持するのが最大の課題です。そのためには、まず自分自身が本当に楽しんで活動している姿を示す事が大切だと考えています。

趣味・特技
気の合う友人と「節約旅行」を楽しんでいます。私は限られた資金と時間で最大限の喜びを味わうのが大好きなので、旅行プラン作りに励んでいます。
資格・免許など
・パソコン検定1級: エクセルでは、データの整理やグラフ作成が得意です。
ワードでは、旅行の日程表などを作るのが好きです。
現在はパワーポイントを勉強しています。
・普通自動車1種免許(AT車限定)
・TOEIC 610点:現在800点以上を目標に猛勉強中です。

自己の特徴
忙しさは私にとって『栄養』です!! 私は、周囲の人から「常に忙しい人」と言われており、いつも時間に追われています。ボランティア活動やゼミでの研究の他に、週4日のアルバイトと多忙な毎日ですが、役割を担える事が自分の成長に繋がると信じて、スケジュール帳に予定を書き込む毎日を楽しんでいます。また、忙しい分だけ人の役に立てているとも考えています。
私は常に誰かの役に立ちたいと願っているので、どんなに忙しくても「忙しいのではない、必要とされているのだ。」と言い聞かせています。

志望動機
『スタッフのお母さん的存在になる事』が私の目標です。
私は、事務員に一番大切な事は「たのもしさ」だと感じています。正確さと俊敏性、さらに周囲への気配りも兼ね揃えている人こそ、たのもしい事務員だと思います。貴社の目指しておられる「顧客に頼りにされる存在」にも、この考えは当てはまると考えます。そのために私は、何事にも積極的に、且つ謙虚に取り組み、あらゆる経験を積む事で、お客様やスタッフの方々に信頼を得て、将来は頼もしいお母さんのような存在になります。

◆求められている人材像の推測 ⇒ テキパキ働く・正確で丁寧・明るい元気・素直・勤勉
◆伝えたい情報 ⇒ 明るい自分・目標を持って頑張る・役割を担っている自分・勉強好きな自分

例文2【営業職編】応募先:食品系の商社、海外拠点もあり貿易も行っている

研究課題または興味ある科目
裁判員制度について研究しています。裁判員への関心度などを調査するため500名分のアンケートを作り、社会人の方に回答を頂く活動を行っています。今のところ「自分は裁判員にはなりたくない。」という意見が7割を占めています。私は、この制度に皆がもっと積極的に関れる社会にするためには、私達の様な若い世代が真剣に社会に向き合う事が重要だと感じています。
課外活動又は学外活動
私が参加している「食育の会」というボランティアでは、年に4回小学校で食品の製造過程を紹介する活動を行っています。私は幼い頃から園芸が好きで、知人の農家を訪ねては野菜の作り方や苦労話を聞くのが楽しみだったので、後輩達にも食物を作っている方々の想いや、有り難さを伝えたいと思っています。準備は大変ですが子供達の笑顔が何よりのご褒美です。

趣味・特技
よく歩きます。通学をはじめ、一寸した移動は全て徒歩で行います。体力作りや気分転換、さらに学習に大変効果があるので、今後も続けたい習慣です。

資格・免許など
『目指せ海外赴任!!』 得意の英語を活かして海外で仕事をするのが私の夢の一つです。そのために現在TOEIC800以上を目指して猛勉強中です。会話の基本は聞く事からと考え、洋画を字幕無しで観る訓練も始めました。あい間の時間は全て英語で埋め尽くす毎日です。また、ビジネスでも通用する英語力を身に付けたいので、世界経済の勉強も並行して行っています。

自己の特徴
私は、やりたい事はやる性格です。周囲の人から「常に忙しい人」と言われており、いつも時間に追われています。興味のあるボランティア活動やゼミでの研究の他に、週4日のアルバイトと多忙な毎日ですが、役割を担える事が自分の成長に繋がると信じて、スケジュール帳に予定を書き込む毎日を楽しんでいます。また、限られた時間を有意義に過ごす為に、常に先を考えて行動する習慣も身に付ける事が出来ました。私にとって忙しさは”栄養”です。社会に出てもこの姿勢を持ち続けたいと思います。


志望動機
『世界と福岡の架け橋になりたい!!』という夢を実現するためです。
私は地元愛が強く、大好きな福岡の食文化を世界に広げ、地球規模で福岡のファンを増やしたいと考えています。貴社海外事業部の主力である九州食文化の世界進出計画は、まさに夢の実現に繋がる魅力的な仕事の一つです。 2年以内に現地調査員になり、5年後には企画開発チームの一員になる事を目標に、勉強と挑戦の日々を過ごしている自分を想像しています。「いつでも・どこでも・何にでも」をモットーに仕事に打ち込みます。

◆求められている人材像の推測 ⇒ 自分を明確に持っている人・実行力・挑戦心・タフな人
◆伝えたい情報 ⇒ 目標を持って行動する自分・時間管理能力・実行力・夢を持っている自分

 


シリーズ「魔法の添削」その8~エピソードの使い方~

2017-06-05 | 仕事

エピソードを単なる状況説明だけで済ませていませんか?

伝えたい情報が先、エピソードは後

物事を分かりやすく伝えるために欠かせないのが、エピソード(具体例)を入れるという手法ですが、実はエピソードを上手に使って表現している人は稀です。

特に、応募書類に書くエピソードは、単に実話を書き連ねるだけでは不十分です。勿論、無いよりはましですが、重要なのは「何を伝えるためのエピソードなのか」という貴方の意図が、読む側にちゃんと届くように書いているのか、という事です。
読む側から言うと「このエピソードで何を知って欲しいと思っているのか」が分かるかどうかが重要なのです。ほとんどの場合、具体例はあるものの「後はお察し下さい・・・」という内容になっています。
何となく想像は付くけど・・・といった具合では、明確に自分を伝える事は出来ません。
従って、エピソードの前に決めるのが「伝えたい情報」です。或いは、書きたいエピソードがあるなら、そこから何を伝えたいかを絞る事です。

例えば「迅速な接客応対力」を”伝えたい情報”とするなら、それが一番分かりやすく説明できるエピソードをあれこれと考えて探し出すという事です。そして、さらにもう一絞りが必要です。

それは、「経緯」と「実例」です。

経緯とは、自分が迅速な応対を身に付けるまでに行った努力(工夫した事など)の事で、実例とは、自分が実際にどの程度の迅速さを発揮し、周囲にどのような評価を得たのかという事という事です。
経緯と実例の両方を表現できれば良いのですが、文字数によってはどちらかに絞るのも良いでしょう。

以下に、例文を上げてみましょう。(自己PRでの活用)

★例文1(よくあるパターン)
私は、何事にも迅速な接客応対を心がけています。大学入学と同時に始めた接客のアルバイトでは、常にお客様の要望を考え、待たせない接客をモットーに、往復両手作業・声掛け・機敏な行動を取る事に注力しました。その甲斐あって、お得意様から「いつも早くしてくれて助かる。」などとお褒めの言葉を頂きました。私はこの経験を貴社でも活かし、迅速で丁寧な接客応対力のある社員になります。
★例文2(経緯に絞った表現)
私は迅速な接客応対力に自信があります。2年間飲食店でホール係を担当し、往復両手作業・声掛け・機敏な行動の3つを、厳しい店長にご指導頂きました。私は「待たせない接客」を自分のモットーとして、店長や先輩の動きを真似たり、5秒に1回はお客様を見るなどの工夫を重ね、2年目からホール長として新人の指導も担当しました。この経験は私の自信の源であり、今後の仕事への原動力となります。
★例文3(実例に絞った表現)
私の強みは迅速な接客応対力です。飲食店のホール係として、1年間店長の厳しいご指導の元、往復両手作業・声掛け・機敏な行動を身に付けました。2年目からはホール長として6名の仲間と共に「待たせない接客」をモットーに打ち込みました。その結果、当初の5テーブルから今では10テーブルまで担当出来るようになりました。この経験は私の自信の源であり、今後の仕事への原動力となります。
★POINT

例文は180文字程度ですが、300文字以上になると「経緯と実例」が両方書けると思います。
エピソードを文章に入れるのは、貴方の働く姿や仕事への姿勢などを、志望する企業にイメージさせるための手法の一つです。従って、単なる説明文章より、実際の行動を表現する方が効果的です。

瞬間描写の効果

エピソードを書く時、もう一つ効果的な手法として「瞬間描写」が上げられます。
「瞬間」と言っても”一瞬”ではなく、物事を伝えやすい、場面や出来事に絞るという方法と、自分がどうしても伝えたい事を、さらに的を絞って表現するという方法の事です。
ほとんどのエピソードは、ある期間を示すものになるため、伝えたい情報を相手に印象付ける場合には的が絞り難いと言えます。例えば「2年間のアルバイト」「部活動の主将」「学園祭役員」などです。どのエピソードも、それぞれの期間の中で様々な人との交流や出来事があり、その積み重ねが”得たもの”に繋がっていると思います。しかし、この表現法は万能ではありません。
面接で話すのとは違い、文章で伝える場合は自分が感じるより長い文字数を要します。
一般的に、1分間で話せる文字数は350から400文字程度と言われている様に、話せば短い時間でも、書けば多くの文字数が必要なので、応募書類のように短い文章で的確に伝えるのは実は相当難しい行為と言えます。ましてや、相手は自分の事を何も知らないので、難易度は更に高いと言えます。
そこで効果的なのが「瞬間描写の表現法」です。

自分がどうしても伝えたいというアピールポイントや、インパクトを与えたい時などには、効果的なので是非試して見て下さい。前述の「迅速な接客応対力」を例に、幾つかの例文を紹介します。

★例文1
私は迅速な接客応対に自信があります。或る日アルバイト先の飲食店に大勢のお客様が次々と来店され約10名の行列となった時に発揮したのが、往復両手作業と先読み行動です。待たれているお客様にも率先して声掛けや誘導を行い、最後のお客様に「待っている時間が気にならなかったよ。」とのお言葉を頂いた時は、大きな達成感を感じました。私は、忙しい時こそ頼りになる社員になります。
★例文2
私は、先読みの動きに自信があります。飲食店のアルバイト先で、お客様を待たせない気持ちの良い接客を、店長から厳しくご指導頂きました。単に素早く行動するだけでなく、常に先の事を考えた行動を取る事で、お客様やスタッフの動きがよく見えるようになり、無駄な動きが減った分気持に余裕が生まれ、忙しくても自然に笑顔が出せるようになりました。私は、忙しい時こそ頼りになる社員になります。
★POINT

例文1は「迅速な接客応対力」を一番発揮した時の状況に絞って印象を付ける方法で、例文2は「迅速」の内容をさらに絞って「先読み行動」と表現して印象を付ける方法です。
言い換えると、例文1は状況描写で、例文2は強みの描写と言えます。
この様に、瞬間描写の表現法は、ある程度の期間の中で「特にこんな場面では・・・」という状況説明をするパターンと、「特にこの能力を強調したい」という的に絞るパターンがあります。

但し、この手法も万能ではありません。どの質問に使うのかは自分で選択しなくてはなりません。

次回は、職種に合わせた表現について解説します。