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「エンゲージメント」へのシフトチェンジが加速する。

2019-04-25 | 仕事

生産性の向上に直結するエンゲージメントという考え方

昨今、“エンゲージメント”という言葉をよく見聞きしませんか?

エンゲージメントとは、企業や商品、ブランドなどに対して、ユーザーが「愛着を持っている状態」や「つながりの強さ」を現すマーケティング用語ですが、最近になって、このエンゲージメントを、組織力の強化と生産性向上に用いる考え方が注目されています。
わかりやすく言えば、会社(組織)と社員(労働者)の「つながりを強化する」という意味になります。

少し前まで(現在でも)「社員満足度(ES)を高める」ことに注目が集まっていましたが、どうやら満足度と業績の相関関係は薄いということが解ってきたこともあり、今では「エンゲージメントを高めること」こそ、先進国の潮流になっている様です。

公益財団法人日本生産性本部の「データで見る日本の生産性×働き方改革」では、エンゲージメントの高い組織は、生産性が21%、収益性が22%も高いという米国の調査会社の研究データを掲載し、今後は業績アップに直結しやすいエンゲージメントを高める取組みが先進国で加速度的に進むと紹介しています。

さらに、同調査会社によると、先進国のエンゲージメント指数は、1位は米国で30%、2位は英国で17%、3位はカナダで16%となっており、日本は7位で7%だそうです。

成果主義が残したもの

バブル崩壊後、長引く景気の低迷期にリーマンショックを経験した日本では、多くの企業が生き残りをかけて切磋琢磨し、終身雇用や年功序列といった従来の制度から、成果主義の報酬制度へと移行して来ました。つまり、いかに短期間で業績を上げるかが企業の最優先事項となり、“結果が全て”という考え方が人事制度の根底を支えてきました。

しかし、そういう制度の下では、企業は即戦力となる能力の高い人材ばかりを求めるようになり、その一方では、能力が高く実績のある人材ほどより良い待遇や環境を求め転職する傾向が強くなります。

結果的には、人材を長期に亘って育成するという考えは遠のき、新卒を採用しても短期で仕上げることこそ成果につながるという考えが浸透し、現在でも若者の約3割は離職し、将来を担うべき経営層候補の人材流出にも多くの企業が悩まされているのが現実です。そして、成果を求めるあまり労働時間は長くなり、人間関係も希薄になる中、心の病の悪化や自殺者の増加が深刻化して来たのです。

次世代が担う新たな組織制度が動き始めている。

そして今、新たな動きとして「エンゲージメントを主軸に据えた人事制度」の構築が始まっています。

個人と組織が互いに成長し、貢献し合える関係性を作って行くという動きです。

ひと昔前、昭和の時代には、企業は人を育て、新たな顧客を創造してこそ一流といった精神が色濃くありましたが、時代の流れとともに価値観も大きく変化し、今では先端技術を取り入れた人材育成や、社員の人生を豊かにするための仕事の仕方や、職場環境をデザインするという風潮が広がっています。

巷で噂の「ティール組織」など、これからの労使の関係性は、「雇用する、雇用される」といういわゆる主従関係から、「共に成長し社会に貢献する」という共創関係へと大きく変貌しつつあるのです。

社員のエンゲージメントを「見える化」する手法

社員のエンゲージメントを高めるためには、まず現在の社員の意識を知る必要があります。

そこで、「エンゲージメント」という言葉だけではなかなか理解し難いという人に、組織に対する「つながりと感謝」という観点から可視化できる手法として、「幸福度診断」をご提案します。

幸福度診断は、幸福学の第一人者、慶應義塾大学大学院の前野教授の研究によって開発された、世界でも類を見ない「幸福」という目に見えない感性を可視化する意識調査法で、既に多くの企業で実施されています。

人の幸福は、「やってみよう・ありがとう・なんとかなる・ありのままに」という4つの因子に分けることができると前野教授は説いており、中でも「ありがとう因子」は、その人の置かれている環境に強く影響する“つながりと感謝”を現す因子だと説明しています。

つまり、職場環境に対してどれほどの幸福度を示しているのかを可視化することで、エンゲージメントの度合いを確かめることができるということです。