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やる気の方向性「前向き」の正体

2017-11-26 | 仕事

前向きとポジティブを混同してはいけない

どの職場にも「前向きな人」と称される社員はいると思います。
一般的には、ミスをしても「良い教訓になった」とか、上司から叱られても「自分に期待してくれている」と思えるような人のことを指します。
つまり、マイナスな状況になっても、考え方をプラスの方向にしてその状況を乗越えて行けるような人のことを現していると言えます。

他方、いつまでもミスのことを悔やんだり、叱られたことに傷ついて悲しんだりしている人のことを「後ろ向きな人」と表現します。
つまり、マイナスな状況になったら、そこからさらにマイナスの方向に深入りしてしまうような人のことを表現していると言えます。

実は、これって本当はポジティブかネガティブかという考え方や捉え方の違いのことで、「前向きや後ろ向き」とは少し違います。
そもそも、「前向き」の反意語は「後ろ向き」に違いありませんが、前向き=ポジティブ、後ろ向き=ネガティブという結び付けは、職場において社員の評価を間違える危険性があります。

なぜなら、人は前向きでもネガティブになれるし、ポジティブな後ろ向きにもなれるからです。

整理をするとこうなります。
「4つの方向性」
①前向きでポジティブ
それはやるべきだ、そのためにはこうしよう!
②後ろ向きでポジティブ
それより他のことをしよう、こんないいことがあるぞ!
③前向きでネガティブ
それはやるべきだ、でもリスクがあるのでは?
④後ろ向きでネガティブ
それはすべきでない、リスクがありすぎる!

これは、「前向き・後ろ向き」を意欲の方向性とし、「ポジティブ・ネガティブ」は思考の方向性として捉え、それらを組み合わせて4つに分類したものです。

人はこの4つの方向性を内包しており、時と場合で使い分けていると考えられます。
つまり、あるプロジェクトに対しては前向きでポジティブに取り組む人でも、違う案件では後ろ向きでネガティブなこともあるし、また別の仕事では前向きでネガティブの側面も見せる。といった感じです。
立場や役職でも、その方向性の出方は変わりますが、中には何をやっても前向きでポジティブな人もいるように、その人の本来持っている興味や信条によって、4つの方向性の出方には特性があるようです。

評価を間違える危険性とは、この4つの分類の中で、①前向きでポジティブな側面だけが評価されやすいという点です。
そしてもう一つ、決定的に見落としやすいのが、誰から見た方向性かという点です。

前向きの前ってどっちから見た前?

人は、立場や役割でものの見方も変わることは誰でも知っていますが、会社(組織)が進むべき方向というものは、頻繁に確認しなければ、すぐにバラついてしまうことは、あまり知られていなようです。
優れたリーダーは、理念や目標を何度も何度も口にすると、あのドラッカーも言っているように、職場においては進むべき方向をいつも明確にして確認しておかなければ、「自分は会社のためを思って…」と言いながら、上司の意に反する行動をとる社員が出てきたりするなど、各々が勝手に認識する方向になりやすいのです。
多くの会社で、社訓や理念、さらに目標数値などが事務所の壁に陣取っているのは、皆が向かうべき方向を認識するためです。しかし、壁に貼っているだけではその効果も薄れて行きます。

では、先ほどの4つの分類に戻ります。
さて、この4つの分類の中で「意欲の方向」は、誰から見た方向に基づいているかと言うと、もちろん会社側であり、経営者です。
つまり、組織における「前向き」とは経営者が望む意欲の方向のことで、経営判断で決めた方針に従うことを意味します。(よし、そうしよう!という意欲を持つこと)
したがって「後ろ向き」とは、そうでないという意味になります。
ただし、ここで注意が必要です。「後ろ向き」は、本人のやる気や姿勢の問題ではなく、そもそも意欲の方向性、つまり理念や方針といった進むべき方向を、経営者が確り認識させていないケースも多々あります。

経営者から見れば、方針に従わない行為に見えても、当事者から見るといたって前向きかもしれません。
ただ、向かうべき意欲の方向を勘違いしているかもしれないし、しっかり理解していないかもしれないのです。先述の「会社のためを思って…」がこのパターンです。
上記の4つの分類では、②の後ろ向きでポジティブな側面がそれに当たります。
これも、やはり職場環境の問題という訳です。

実は、本当に後ろ向きの社員はいない。

実はどの会社の社員も、基本的には皆前向きになります。
前回、前々回にも触れましたが、人は環境に支配されます。
したがって、会社の理念や方針が明確に示されており、皆が共通認識さえしていれば、自ずとその環境に適応しようとするのが人の行動原理です。

危ういのは、皆分かっているはず。もう言わなくても分かっているよね。といった雰囲気になることです。
今ではその様子も変わったようですが、ひと昔前なら朝礼で大きな声で社訓を叫んだり、社歌を合唱したりしたのは、実は社員の意欲の方向を統合する行為の一つだったのです。
時代が変わり、個別性を問われ始めた昨今では、専ら個別面談という形式で、経営者や上長が部下一人ひとりの話を聴くという活動を通して、意欲の方向を会社に合わせているのです。

離職者の多い会社は、この点で環境整備が不足していると、私は推測しています。

ネガティブがなければ、暴走する。

次に、ポジティブとネガティブですが、この2局的な方向にも、間違えやすい落とし穴があります。
一般論として、ネガティブな志向はあまり歓迎されませんが、職場においては、物事を悪い方向で考えることはとても大事なことです。
よく、リスク管理という言葉で表現されていますが、経営は常に最悪の状況も想定して対応できるようにしておく必要があります。
何でもかんでも良い方向になるなんて甘い世界ではないことは皆知っているはずです。

つまり、ネガティブだからこそリスクヘッジのアイデアが出て来ることもあるし、ネガティブだからこそ根本的な問題が可視化されたりするのです。
上記の4つの分類では、③の前向きでネガティブな側面がそれに当たります。

離職意識の芽生え

では、④の後ろ向きでネガティブな側面は、どんな時に出やすいのでしょうか。
それには大きく二つあります。
まずは、会社や組織にブレーキをかける必要が生じた時です。
どの会社の社長も上長も、全知全能の神ではありません。したがって方向性を見誤ることもあるでしょう。
そんな時こそ、後ろ向きでネガティブな側面が功を奏したという例はいくらでもあります。
組織においては、時として毅然と「NO」と言える存在も必要不可欠です。

そしてもう一つが問題です。④の側面が、内省的に出始める時があります。
それは、失敗が続いたり、なかなか成果が出せずにいる時や、社内で孤立感をお覚えたり、ハラスメントに遭った時です。
多くの場合は、ほんの些細な事から始まりますが、恐いのは、この側面が頻繁に顔を出し始めると、「どうせ出来やしない」「やっても意味がない」「自分など必要ない」といった、負の連鎖に一気に陥ってしまうことです。

それが、離職意識の芽生えです。
このような状態に陥る前に必要な対処法こそ、個別面談であり、適切なカウンセリングです。

今、多くの中小企業に圧倒的に不足しているのが、ストレスを上手く発散できる環境作りです。
その改善策についてはまた詳しく紹介します。


やる気には質がある⁈

2017-11-21 | 仕事

やる気の質を決める職場環境

一口に「やる気」と言っても、それには”質がある”ことをご存知でしょうか。

前回は、やる気は環境に支配されると書きましたが、やる気の質も、やはり環境に影響します。
つまり職場環境によって、そこで働く人たちのやる気の質が決まるという訳です。

当然ながら、良質なやる気を促進する職場環境にすることが望ましいということで、今回は職場環境を、①物理的環境、②衛生的環境、③人間環境に分けて考えることにします。

①物理的環境とやる気の質

突然ですが、はさみが欲しい時に、すぐに見つからなくてイライラした。なんてこと、ありませんか?
爪切りや耳かきなどもそうですよね。
人は、何かをしようとした時に、必要な道具が無いと、そのやる気は徐々に低下します。

職場においては、必要な時に必要な道具が直ぐに手に出来るというのは、小さなことかもしれませんが、実は大変重要なことなのです。
良い仕事をさせたいなら、十分な道具を与えよと、あのドラッカーも言っています。

例えば、製造業の現場では、道具の配置・数量・性能はもちろん、その手入れや整備は、生産性に直結する重要事項です。さらに、作業服や安全靴、手袋といった衣類も、作業に適したものが充実していなければなりません。
オフィスワークなら、パソコンやプリンターなどのOA機器や文房具などがそれに当たります。(ちなみに、Wi-Fi環境も物理的環境です)
また、物や資材の配置や収納も、効率の良い動きを導く上では大変重要な要素です。

つまり、やる気の出る物理的環境とは、仕事が効率的にしやすいように考えられた動線が確保されていて、必要かつ良質な道具が充実している環境を指します。
もう随分前から多くの企業で取り組まれている5S活動の、整理・整頓、そして躾の一部がそれに当たります。
当然ながら、道具や設備の充実度と、その扱いの丁寧さが、やる気の質に直結するという訳です。

②衛生的環境とやる気の質

近年、香りとメンタルの関係が明らかになるに連れ、いわゆる香りビジネスと称される分野が定着しました。どの家庭でも、香り関連商品が必ず存在しています。
香りだけでなく、照明や日当たり、気温や湿度、さらには色の使い方や清潔感も、人が暮らす環境に欠かせないのが衛生的要素です。いわゆる空間デザインとも言えます。

当然ながら職場でも同じですが、やる気の出る衛生環境となると、少し工夫と配慮が必要です。
それは、共有スペースの環境作りには、女性脳を優先した方が良いということです。
女性でなければならないという訳ではありませんが、特に衛生環境の改善は、いわゆる男性脳では難しいと云われています。
何故かというと、男性は臭いや肌感覚が女性に比べて鈍感だからです。しかも環境に慣れやすいのも男性脳の特徴と云われ、劣悪な環境下でも無意識に慣れてゆくため、環境改善の必要性すら感じないのです。(その昔、男は狩りに出ていたからだという説もあります)

職場の衛生的環境をより快適にするには、女性脳ならではの季節感を取り入れた美的センスも必要です。
可能であれば、音楽を活用するという手もあります。
つまり、快適な職場環境にするには、まず女性がイキイキと働けるような空間を作ることが大切です。
女性がやる気をだせる環境にすれば、自ずと男性も活気づくという訳です。
男性しかいない職場なら、社員の奥様に協力してもらったり、社員の中でも女性的な感性を持った方に任せるという手もあります。

他にも、衛生的環境が重要なのが、社員の健康問題です。
当然ながら、人の健康こそ環境が支配しています。
インフルエンザなどの予防措置だけでなく、職場の衛生管理はメンタル面にも大きく影響しやすいということを理解しておく必要があります。

ちなみに、衛生的環境は5S活動のすべての要素が含まれ、さらに共有スペースは皆が使うので、ルールを明確化、見える化する必要もあります。

③人間環境とやる気の質

ここでは結論から言います。
それは、「人は、自分で選んだことには、やる気を出す」ということです。

どんな職場(会社)にも、扱うものやこと、または顧客をはじめとするステークホルダーに応じた行動パターン(作法)や、業界用語に代表される共通言語や話し方、呼び方があります。
したがって、皆と同じようする事が要求されます。

しかし、「やらされている感」が丸出しでは、やる気どころではありません。
人は、「やらされている」と感じている間は、いくらおだてても、叱っても、やる気は出ません。
それなりにこなすだけです。単なる動作をしているに過ぎないので、周囲はイライラします。
つまり、仕事が他人事になっているからです。

では、どうすれば、仕事が自分事になるのでしょうか?

その一つが、自分で選ばせるという方法です。
選ばせると言っても、全ての仕事を無制限にとう意味ではありません。
当然ながら、工夫と配慮が必要です。

それは、可能な限り現場に選択権を与えるというやり方です。(決定権や決裁権ではありません)
何かを進めようとする場合には、リーダーやその側近だけですべてを決めてしまうというケースがよくありますが、大抵は途中で破綻します。
それは、ついて行く社員との意識の格差が生じるからです。
しかし、選択する機会を社員に提供できたら、「指示された事」から「皆で決めた事」となり、意識の格差は飛躍的に縮まります。
この、「皆で決めた事」が実は自分事の原点になります。

つまり、人は環境に適用しようとするので、皆で決めた事なら守ろうという思いを抱きやすくなるのです。
結果的に皆と同じようにする事が、自主性を持った行動に変わり、自分事になるという訳です。

組織の力は、トップの引く力と、ボトムの押す力の両方が親和した時に最大化します。
当然ながら、ボトムの押す力は、やる気の質に比例します。
仕事を自分事にすることが、良質なやる気につながります。

 

次回は、やる気の方向性「前向き」の正体について考えます。


やる気は環境に支配される

2017-11-19 | 仕事

やる気は出すもの?出るもの?

仕事に意欲と目的意識をもって、成果を出すために重要なことは何ですか?
という質問をすると、「やる気」というキーワードを入れた回答が多いと思います。

では、「やる気」はどうすれば湧いてくるのでしょうか?

私が就職した30年前なら、根性や気合いなど、いわゆる精神論的な説明で片付けていたように記憶しています。
「もっとやる気をだせ!」と活を入れられたり、「心がたるんでいるからやる気がでないんだ!」などと怒鳴られたりした経験は誰にもあるのではないでしょうか?

私自身、やる気は自分から生み出すエネルギーのようなものと捉えていました。

しかし近年、心理学や脳科学などの研究が進むにつれ、「やる気」というものの正体が、どうやら精神論では片付かないことが解明されています。

結論から言うと、「やる気は環境に支配される」ということです。
しかも、決意や意気込みなども必要ないと云われています。
つまり、「やる気を出せ!」という言葉ほど、的外れなことはないのです。

行動生態学者であり自然人類学者の長谷川眞理子教授は、「人間を変えるのは環境である」と言い切っています。
つまり、やる気の出ない社員を、やる気が出るように変えるのは、やる気が出るような職場環境にすることなのです。
当事者に「よし!やる気をだすぞ!!」という決意を迫るのではなく、やる気が出る環境に適用しようとする思いが持てるような仕組みを作ることで、自然にやる気を引き出すという訳です。

どうやら、やる気は”出すもの”ではなかったようです。

やる気が出る職場環境とは

近年、”嫌われる勇気”で人気のアドラー心理学によると、やる気が出ない状況は以下の3つだそうです。
それぞれを、会社組織に置き換えてみると、以下の様になります。

1. 目標が見えていない
会社がどこに向かうのか、どの様な姿になろうとしているのかが共有できていない。
2. 目標が高すぎる
目標はあるが、個々の実力をあまりにも超えるような設定なら、単なる標語になってしまう。
3. 自己イメージが極端に低い
そもそも社員間の信頼関係が希薄で、どうせ自分たちには出来ないと思っている。

つまり、やる気が出る職場環境にするには、上記3つを改善した環境にすると良いのです。

1. 向かうべき方向を明確にする
会社の理念や社会的目的を、全社的に共有する。
2. 出来そうな事を目標にする
個々の能力を発揮して達成できる数値や期日を具体的に示す。
3. 自己イメージを高める
適切な評価基準を設けて、互いに認め合う関係性を形成する。

既にほとんどの企業では、明確な目標を定め、様々な行動規範や評価基準を定めて、売上なり品質の向上に邁進していますが、実は、社員のやる気を維持するという点では、まだまだ苦労している企業は多いようです。

上記の環境は、各社員が、皆が目標に向かって頑張っているという環境に適用しようとする思いを助長し合い、出来そうな目標をクリアーし適切な評価を受けていく過程で、自然に自己イメージが高まるという仕組み作りです。
しかし、完璧ではありません。
ある期間はとても有効ですが、やる気の持続にはもう一つ工夫が必要だと私は考えています。

実は、自己イメージこそ、やる気の持続には欠かせない要素であり、職場環境と最も密接な関係性を持っているのです。
次回は、やる気の質について書きます。