橋下徹氏が、安倍談話に関して「歴史について日本は謝罪し続けるべき。政府と国民は違う」と言っている。だが、これは危うい罠でもある。ドイツの戦後処理は「ヒトラーとナチスが悪い」として一般のドイツ人は戦争責任からはずした。だが、独裁者がいなかった日本ではそうなならない。
日本については、GHQは「軍部と政治指導者が悪い、日本国民は悪くない」とした。結果的に、中国はこれを引き継いで「日本国民全般を非難してるわけではない」というタテマエで、永続的に日本政府批判を続ける構図を作った。だが、これは現代の日本政府と日本国民の分断工作でもある。
繰り返すが、GHQは「当時の軍部と当時の政治指導者が悪い」としただけなのに、現在の中国共産党政府は「戦前から連綿と続く日本政府が悪い」と現日本政府批判にすり替えている。中国の常套手段はだいたい敵勢力の分断と各個撃破だ。日本政府と日本国民を分断することで防衛力弱体化を狙っている。
そもそも、日中事変とは清王朝の崩壊時期に群雄割拠となった中国大陸という土地で、主導権争いをした軍閥のひとつに日本もいた、くらいの話だ。毛沢東ですら、中国共産党が政権を取れたのは国民党と日本軍が戦って国民党が疲弊したからだ、と述べているほど。中国共産党に謝罪要求の権利はない。
にもかかわらず、中国共産党は「戦前から連綿と続く日本政府が悪い」という論理で、日本政府と日本国民の分断工作を図っている。言い換えれば、日本の反政府運動を煽ってるとも言える。橋下徹氏はこの構図に乗った。そこが大問題。彼の思想的正体がなんなのかが気になる。