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関西テレビ「逆転裁判官の真意」を見る(その1)

2023年12月13日 | 映画

弁護士の山口利昭先生のブログ「ビジネス法務の部屋」を見ていたら、最近関西テレビで放映されていたドキュメンタリー「逆転裁判官の真意」(48分)がYouTubeで公開され、見ることを推奨されていたので、早速見た。そして、ブログを書くにあたり2度見た。YouTubeにはいろんなコメントが載っており参考になる。大変興味深い内容だったのでネタバレも含めて書いてみたい。

山口利昭先生のブログ
http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/2023/12/post-3165d3.html

この番組は、最近裁判官を退任された元大阪高裁裁判長(2015年12月から2017年7月)の福崎伸一郎さんが退官間際に出した逆転無罪判決が非常に多く、それはどうしてか、という問題意識を持って記者が取材をしたものである。福崎さんが大阪高裁裁判長在任中に出した1審破棄判決35件のうち、逆転無罪判決が7件あった。この件数は法曹界の常識では異常な多さである。

この逆転無罪判決の多さは週刊文春でも「大阪高裁で逆転無罪判決を連発する裁判官の真意(殺人も覚醒剤も万引きもみーんな無罪)」という記事でも取り上げられている。私はこの記事を読んでいないが、この題名を見ただけで福崎さんの判決に好意的な記事ではないことが伝わってくる。

取材をした関西テレビの記者(ディレクター)は、30才近くになって司法試験に合格して関テレの社内弁護士となり、その後記者になった上田大輔氏だ。裁判官を取材する側も法律の専門家だから取材もかなり核心に迫るものとなっている。

大きな流れとしては、ネタバレがあるが、

  • 記者は、退官間際の多くの逆転無罪判決は、福崎さんが過去の集大成として行われたのではないか、との仮説を立て、それを確かめるべく質問や逆転無罪判決の読み込みなどをしていく。
  • 当初本人に取材を申し込んでも応じてくれなかった。そこで、逆転無罪判決を勝ち取った被告の弁護士たち、在任中30件以上無罪判決を出し一度も覆されたことがない元裁判官木谷明氏、退官直後の他の元刑事裁判官、映画「それでもボクはやっていない」※を監督した周防正行氏などを取材して福崎さんの実像に迫っていく。
  • しかし、なかなか答えが出ない、そこでもっと過去に福崎さんが出した判決を調べてみると、福崎さんはロス疑惑事件裁判の高裁逆転無罪判決を出した時の裁判官であったことを突き止め、当時裁判長だった秋山規雄氏に対する質問まで試みた。

これらの人たちへの取材の中で、いくつかの大事なコメントが出てくる、それは次回に。

※ この映画は私も一度観たが、結論部分などは詳しく覚えていない。ただ、非常に面白い映画だったことを覚えている。特に印象に残っているのは、若い男性が満員電車で痴漢と騒がれ、駅事務室に連れて行かれる。そこで、女性の体に触ったというなら、私の手を幅広の大きなテープのようなものでペタペタと触って付着物を採取して顕微鏡で見て、被害女性の着ている服と同じ繊維がついてなければ触ってはいない証明になるからそうしてくれ、と言ったところだ。これがどうなったか覚えていないがいいアイディアだと思った。

(続く)