ゆっくり行きましょう

気ままに生活してるシニアの残日録

映画「007スカイフォール」を観る

2023年12月22日 | 映画

ダニエル・クレイグのボンド3作目、「007スカイフォール」をテレビで録画して観た。2012、米、監督サム・メンデス、原題Skyfall。第1作目「カジノロワイヤル」は非常に面白かったが、第2作「慰めの報酬」はちょっと期待外れだった。その上で今回の第3作目はどうか、一度観たことがあるが、テレビで放映してたのでまた観たくなった。

各国のNATOの工作員を記録したMI6の情報が奪われ、ボンドは犯人パトリスを追いつめるが、新人女性エージェントのイヴ(ナオミ・ハリス)の誤射で橋の上から谷底へと落ち、死亡扱いににされてしまう。その直後、パトリスによりMI6本部が爆破される。

その後ボンドは再びMのもとへ復帰、パトリスを追って上海に行くが、殺してしまい手がかりを失う。パトリスの所持品のカジノのチップをヒントにマカオに向かい、カジノでパトリスの仲間らしい女性・セヴリン(ベレニス・バーロウ)を知り、彼女から黒幕は元MI6エージェントであったラウル・シルヴァ(ハピエル・バルデム)を突き止める。

シルヴァはMに恨みを持っていた。格闘の末、シルヴァを拘束したが、MI6の本部から逃亡される。Mが議会でその責任を追及されている時、シルヴァが急襲したたため、ボンドはMを連れて今は住む者のないスコットランドの彼の生家「スカイフォール」へ逃れ、シルヴァを誘い込み、そこで最後の決戦に臨む。

相変わらず話が複雑で、予習をしていないと映画が理解できない。その上で、この映画の感想を述べてみよう。

  • 今回の第3作目は、第2作目よりもだいぶ面白かった。映画冒頭のイスタンブールのグランバザールでの格闘シーンは迫力あったし、その後のカーチェイス、列車の上での格闘シーンも面白かった。
  • 舞台もイスタンブール、ロンドン、上海、マカオ、スコットランドなど魅力的な場所が選ばれている。マカオは行ったことがないが、それ以外は行ったことがあるところなので、見ていた楽しかった。
  • Mが死亡し、その後任になった情報国防委員会の新委員長であるギャレス・マロリー(レイフ・ファインズ)は当初ボンドから典型的な官僚と非難されていたが、議会襲撃時に自らも銃を取り防戦し、負傷するなど、官僚らしからぬ実践力を見せ、ボンドからも一目おかれるようになるのが面白い。

楽しめました。


「ロイヤルメドウゴルフ倶楽部」でゴルフ

2023年12月21日 | ゴルフ

栃木県芳賀郡の「ロイヤルメドウゴルフ倶楽部」でゴルフをしてきた。今年2回目、費用は2人で15,700円。

このコースは18ホール、ワングリーン、リモコンカート(ナビ付き)。フロントティーで6321ヤード。石川遼が設計変更を監修した。特徴としては、フェアウェイのアンジュレーションが結構ある、グリーンは遅い(8.5Ff)、全般的に広々していて飛ばしや有利だろう。グリーンのアンジュレーションはそれほど極端ではない。池が絡むホールが何ホールがある。ティーショットの落としどころはほとんどのホールで見える。

今日のプレーの進行は全く問題なく、総てのホールで待つことはなかったのはたいしたものだ。ハーフ2時間弱でラウンドできた。特に印象に残るホールとしては、アウトの8番ロングホールだろう。セカンドショットで左斜め方向にクリーク越えのショットが要求されプレッシャーがかかる。

食事もまあまあ美味しかった。

今日は日中の最高気温が7度が8度で厳しい寒さが想定されたが、幸い風が全くなく、寒さを感じることはなかったのはついていた。コースの中からは日光連山なども見えるところがあり、いかにも寒そうだった。

1日、ゆっくり楽しめました。また来ます。

 

 


上野の森美術館で「モネ(連作の情景)」展を観る

2023年12月20日 | 美術

上野の森美術館で開催中の「モネ(連作の情景)」展を観た、2,800円。海外も含めいろんなところから作品を借りたので費用もかかり、高い値段設定になったのだろうが、随分高くなったものだ。

モネ(1840〜1926、86才没)は好きな画家なので観に行かなければなるまい、と思って来てみた。上野の森美術館に来るのは久しぶりである。展示されている作品は総てモネの作品だけという珍しい展覧会だ。作品リストを見ると全部で75点ある。

展示は次のテーマに分類して、それぞれ展示室が別れていた。

  1. 印象派以前のモネ(作品番号1~10)
  2. 印象派の画家、モネ(11~25)
  3. テーマへの集中(26~43)
  4. 連作の画家、モネ(44~59)
  5. 「睡蓮」とジヴェルニーの庭(60~75)

館内は撮影禁止だが、上記の4の途中からと5の展示室のみ撮影可能であった(4は展示室が2つに別れている)。

鑑賞してみて、特にこれは良いなと感じた物を記録しておきたい。写真撮影したものは貼付けた。

  • サン=タドレスの小屋(作品番号5、1867年、ジュネーブ美術歴史博物館)
  • ルーブル河岸(6、1867、デン・ハーグ美術館)
  • ザーン河の岸辺の家々(9、1871、シュテーデル美術館)
  • モネのアトリエ舟(14、1874、クレラー・ミュラー美術館)
  • プールヴィルの断崖(29、1882、トゥヴェンテ国立美術館)
  • ヴァランジュヴィルの教会とレ・ムーティエの渓谷(32、1882、コロンバス美術館)
  • ラ・マンヌポルト(エトルタ)(37、1883、メトロポリタン美術館)
  • エトルタのラ・マンヌポルト(38、1886、同上)
  • ヴェンティミーリアの眺め(41、グラスゴー・ライフ・ミュージアム)
  • 雨のベリール(44、1886年、モルレー美術館)
  • ジヴェルニーの積みわら(47、1884、ポーラ美術館)
  • クルーズ渓谷、日没(52、1889、ウンターリンデン美術館)
  • 国会議事堂、バラ色のシンフォニー(54、1900、ポーラ美術館)
  • チャリング・クロス橋、テムズ川(56、1903、リヨン美術館)
  • ウォータールー橋、曇り(57、1900、ヒュー・レイン・ギャラリー)
  • 芍薬(66、1887、ジュネーブ美術歴史博物館)
  • 睡蓮(67、1897、ロサンゼルス・カウンティ美術館)

鑑賞し終わった感想などを書いてみたい

  • 今回の展覧会はモネの作品だけを展示するという珍しいものだ。普通、同時代の他の画家の作品もいくつか展示されるものだが、今回はそのものズバリの作品だけで、これだけの作品を全世界から集めるのはさぞかし主催者は苦労しただろうと思う。その労を多としたい。
  • モネの作品はいずれも素晴らしいものだった。やはりモネは風景画家で、空、木々、水面の描写が素晴らしいと思った。
  • 来館は事前予約制であり、30分毎に時間が設定してある。2時からの予約枠で行ったが、館内は大変混雑しており、特に若い女性客が多かった。美術館は広くないので鑑賞する環境はあまり良くないと感じた。とにかく狭いところに人が多すぎる。このため、今日は1時間もいれなかった。
  • 室内が暗すぎると感じた。作品リストを見ながら鑑賞しているが、部屋が暗くて作品リストが読めない。作品の保有者からいろいろ制約を課されているのだと思うが、海外の美術館ではこんなに暗くしている例は記憶にない。何とかならないものだろうか。
  • 写真撮影できる作品が少なすぎる。これも何とか交渉してなるべく多くの作品を撮影可能としてもらいたい。日本人は交渉がヘタだから難しいかもしれないが。

モネにかかわる事項として、

  • モネは晩年、ジヴェルニーに庭をつくって、睡蓮の絵の連作を何枚も描いた。そのジヴェルニーのモネの庭を日本でそのまま再現したのが高知県北川村にある「モネの庭」である。なかなか高知県に行く機会がなかったが、昨年遂に訪問することができた。天気も良く良い思い出になった。その時の写真を1枚。
  • モネの絵の中で一番有名なのは印象派という呼び名がつく原因となった「日の出」であろう。この作品はパリのマルモッタン美術館にあるが、これはパリ旅行に行ったときに観ることができたのは良い思い出である。が、写真撮影はNGだった。

目の保養になりました。


「人形町 京粕漬魚久」でランチ

2023年12月19日 | グルメ

先日、人形町の魚久でランチをと思って来てみたら休日だったので、今日、もう一度来て見た。12時半過ぎに到着する。京粕漬販売の店舗横の別の入口を入り、階段を上がるとご飯処の入り口になるが、その前に5人くらいの行列が。どうしようか迷ったが、昼のピーク時間は過ぎ、食事を済ませた人が出てくるのを見て、並んでもそんなに待たないのではと思い、珍しくも並んでみた。

すると5分くらいで案内された。店内は広く、テーブル席とカウンター席があり、お一人様はカウンター席に案内されるようだ。カウンターの前は板場になっており、左奥の方で粕漬を焼いているところが少し見える。店員も多く、活気がある。清潔感もある。


(人形町駅の地下鉄構内の宣伝)

食べるのは最初から京粕漬3種類が食べられる「あじみせ定食」と決めていた、1,980円。注文を受けてから粕漬を焼くので少々時間がかかるが焼きたてを食べられるのがうれしい。店内は混んでいたが、うるさくて騒がしいほどではない、来ている客も若者より中高年の人だからか。

出てきた定食にはお新香や付け合わせがいくつかついていて、味噌汁もある。いかにも美味しそうだ。ご飯はおかわりできるのでどうぞ、と言われる。京粕漬は銀ダラ、鮭、本さわらの3種類がそれぞれ単品でたのむときの半分の大きさに切って盛り付けてある。そして京粕漬は炭火で焼いており、ご飯は新潟の魚沼産こしひかり、と書いてある。早速食べてみると、なかなか美味しい。魚の量は結構あり、ご飯が進む。おかわりしたいところだがぐっと我慢。上品な味で大変美味しかった。

初めて来たが、大いに満足した。落ち着いて良い雰囲気だった。店員も皆、丁寧で感じがよかった。

ご馳走様でした。また来ます。

 


映画「枯れ葉」を観る

2023年12月18日 | 映画

池袋のシネ・リーブルで映画「枯れ葉」を観た。2023年、フィンランド・独、監督アキ・カウリスマキ、原題Kuolleet lehdet(枯れ葉)。シニア1,300円、今日は座席は満席であった。こんなことはシネ・リーブルで初めてだが、何かあったのだろうか。若者が圧倒的に多かったのにも驚いた。

この映画は、私の好きなアキ・カウリスマキ監督(66才)が5年ぶりか6年ぶりにメガホンをとって監督した新作で、孤独を抱えながら社会の底辺で生きる男女が、かけがえのないパートナーを見つけようとする姿を描いたラブストーリーと紹介されている。

フィンランドのスーパーで店員をしているアンサ(アルマ・ポウスティ)は、賞味期限切れの商品を持ち帰ろうとして監視していた店員に見つかりクビになる。一方、アル中気味で勤務中もこっそり酒を飲んで工場で仕事をしているホラッパ(ユッシ・ヴァタネン)も、あるとき仕事中に酒を飲んでいることがバレてクビになる。その後また別の仕事に就くが同じように酒が原因で長続きしない。

そんな2人が出会い、何となく惹かれ合うが、最初のうちはお互い名前も知らないまま会っていた。アンサは両親・兄弟を父親のアル中が原因で相次いで失い、一人暮らしで生活が苦しい孤独な女性。ホラッパも職場の同僚と酒を飲みに行ったりカラオケに行ったりするが、心が通う友達も家族もいないようだ。

主人公の一人ホラッパはアル中に近い人物として描かれているが、社会の底辺にいる人が、アル中になるというのはゾラの小説「居酒屋」でもいやというほど描かれている。どうしてそうなるのか、その立場になってみないと理解できないが、悲惨なことであろう。日本人は真面目だからこうはならないと思っているが。

やがて2人は名前も明かし、アンサの家で食事をするまでになるが、アンサがホラッパの酒の飲み過ぎを注意すると、ホラッパは他人から指示されるのがいやだ、といって別れてしまう。そしてある日、ホラッパは酒を断つことを決意して再びアンサに会いたいと言い、アンサから直ぐに来て、と返事をもらって急いでアンサの家に行こうとするが・・・・

劇中、アンサの家でラジオをつけるとロシアによるウクライナ侵略で今日も犠牲者が何名でたというニュースが繰り返し聞えてくる。フィンランドはロシアと長い距離にわたり国境を接しており、ウクライナ戦争でロシアの脅威が改めて認識され、つい最近NATOに加盟した。軍事的脅威が相当深刻になっているのが映画でも出ていると言うことか。一方、映画に出てくるヘルシンキの街の方は何十年も前の雰囲気で、アパートや工場やカラオケバーなど場末感が漂っているのがカウリスマキらしい。ただ、相変わらず室内などは貧しくてもカラフルな壁紙やタイルになっているのが面白い。

今回、主演のアルマ・ポウスティ(42)とユッシ・ヴァタネン(45)はカウリスマキ映画初出演ではないか。特にアルマ・ポウスティは美人で、カウリスマキ映画にはちょっと雰囲気が合わないように思うがどうであろうか。こんな美人は男がほおっておかないのではないか。いつものカティ・オウティネン(62)が出てないのが残念だ。そして、久しぶりの新作だが今回はワンパターンのストーリーに飽きてきたな、という感想を持った。何かストーリーにひとひねりほしいと感じた。

アキ・カウリスマキ監督の映画は社会の底辺で経済的に恵まれず、孤独に暮らしている労働者の苦悩を描くものが多い。その労働者が暮らしているヘルシンキの街も何となく殺風景で、経済的にあまり豊かな国ではないのではないかと思えるが、調べてみるとフィンランドは人口550万人、一人あたりGDPは5万ドルで日本より高く、欧州の中では経済の優等生らしい。国全体はそうだが格差が結構あると言うことか。

さて、シネ・リーブルの1階下のフロアーには東武の本屋がある。映画が始まる前に陳列されてる本を見ていたら、若手ピアニストの藤田真央の本が出ているのを見つけた。高そうな紙に写真もたくさん含まれているので購入した。そういえば新聞の書評に出ていたのを思い出した。ヨーロッパの劇場でラフマニノフか何か難しい曲を弾けるかと聞かれたとき、弾けないのに「弾けます」とハッタリで回答してテストの時か公演までに猛練習したようなことが書いてあり、なかなかただの優等生ではないなと感じていたところだ。


人形町「三好」で鰻重を食べ、壽堂の黄金芋を買う

2023年12月17日 | グルメ

都心に用事があり、昼食を人形町でとることにした。予定では魚久併設のレストランで京粕漬の定食を食べたいと思っていたが行ってみるとレストランは休日であった。がっかり。仕方ないので、他にどこかにと思って、付近をブラブラ歩いていると、近くのビルの壁に「谷崎純一郎生誕の地」という銘板が埋め込まれているところを見つけた。

私は谷崎の小説は好きで、何冊か読んでいる。「刺青・秘密」、「陰影礼賛」、「知人の愛」、「鍵・瘋癲老人日記」などの文庫本は折に触れて読み直している。昨年はKindleで「細雪」を読んで大変面白かったこともあり、てっきり関西人だとばっかり思っていたがここで生まれたとは知らなかった。

さて、ランチであったが、以前行ったことがあった近くの「うなぎ三好」に行ってみた。13時頃だったが、空いていた。ここは西伊豆松崎というところに本店があり、ここは人形町店となっている。階段をちょっと上がったところにある店に入るとカウンター席が空いており、そこに勧められる。入口近くには一升瓶の焼酎や日本酒が置いてあり、私の好きな「焼酎佐藤の黒」が何本もあったところを見ると、夜はうなぎ料理をつまみに一杯やって鰻重でしめる、という人が多いのでしょう。店内を見ると奥にいくつかのテーブル席と左奥に10人くらい入れる座敷もあり、収容能力は高いようだ。

メニューを見ると鰻重が4種類あり、下から2番目の「花」3,750円くらいが良いだろうと思い、これをたのむ、お新香と肝吸い付き。生のうなぎから焼いて、蒸しているのかどうかはわからないが、出てくるまでに少し時間がかかる。カウンター席の向こう側が厨房になっており、男性の調理人2人で作っているようだ。あと女性の店員が料理を運んだり会計をしたりしていて、忙しそうだ。

やっと出てきた鰻重は、フタが最初からとって出てきた。うなぎの量は十分で、むしろこれ以上量が多いのは食後にずっと胸焼けがするようで好きではないので、「花」でちょうどよかった。お新香の量も十分あり有難い。

食べてみると大変美味しい、関東風のやり方で焼きと蒸しと両方でうなぎを料理しているので柔らかい。タレも上品で美味しい。肝吸いも美味しかった。あっという間にかき込み、完食した。最近の鰻重は値上げしている例が多いが、ここの3,750円の鰻重は十分に満足のいくものであった。

ご馳走様でした。

さて、食事のあとで、せっかく人形町に来たので、いつもの壽堂で黄金芋を買って帰った。6個、1,370円。これが美味しくて好きだ。


映画「マエストロ その音楽と愛と」を観る

2023年12月16日 | 映画

映画館で「マエストロその音楽と愛と」を観た。2023年、米、監督ブラッドリー・クーパー、原題Maestro。クラシック音楽に関係した映画だから興味を持った。30人くらいの客がはいっていたが、女性客が多かった。

制作者(プロデューサー)の名前にはスコセッシやスピルバーグなどそうそうたる名前が並んでいる。制作者というのはどういう位置づけか、監督や脚本家とどういう関係にあるのか知らないが、かなり力の入った映画であることは確かだろう。この映画はNetflixで12月20日に公開されるのに先立って一部の劇場で上演されたようだ。

この映画は、「アリー スター誕生」で監督としても高く評価された俳優ブラッドリー・クーパーの長編監督第2作で、世界的指揮者・作曲家レナード・バーンスタイン(ブラッドリー・クーパー)と彼の妻で、女優・ピアニストのフェリシア・モンテアレグレ・コーン・バーンスタイン(キャリー・マリガン)がともに歩んだ人生と情熱的な愛の物語を、バーンスタインの雄大で美しい音楽とともに描いた伝記ドラマ、という説明だ。

バースタインといえばアメリカの有名な指揮者でミュージカル音楽の作曲も手がけるなど多才な人物としてその名前は知ってはいたし、彼の指揮するCDもいくつか持っている。しかし、詳しいことは知らなかったので、あまり予習をせずに観に行った。

映画は前半は若いときの2人のよき時代をモノクロで描き、後半は夫婦の関係がバーンスタインの男色趣味や薬物摂取などで危機を迎え、フェリシアが癌になったりする激動の時代をカラーで描いている。そして、最後には夫婦の愛を確かめるというような結末になっている。

私は前半はあまり面白くなく、半分寝てしまった。これでは時間の無駄になると思い、後半はしっかりと観た。見終わった感想としては、クラシック音楽ファンとしては有名指揮者の夫婦愛というテーマが映画の中心となっていたため、あまり興味を持てななったというのが正直なところだ。人間だから有名指揮者でも夫婦や親子の間はいろいろあるよね、それよりももっと仕事や彼の主義主張に関係するようなテーマの方に惹かれる。例えば今年観た「TAR」などはクラシック音楽ファンとして大変興味深く観れた。

バーンスタインについては中川右介氏の「冷戦とクラシック」(NHK出版新書)で多く取り上げられているが、そちらで得られる知見の方が自分にとっては彼を理解する上で参考になる。いくつか例を挙げれば、

  • 売れない音楽家でナイトクラブでピアノを弾いていたバースタインは、1943年からNYフィルの副指揮者になった、その直後にワルターが急病になったためぶっつけ本番で代役となり大成功した(これはこの映画でもとり上てていた)
  • バーンスタインはリベラルであるが共産主義ではなかった。しかし、そのリベラルな言動から左派に担ぎ上げられ、戦後の赤狩りの対象となり、一時はパスポートも取り上げられた
  • バースタインは誰とでも直ぐに親しくなる才能があった、若くてハンサムで陽気なバースタインは世界中どこに行っても直ぐに人気者になる。カラヤンとは1954年に知り合うと直ぐに意気投合したが、1958年にカラヤン指揮のNYフィル公演でカラヤンの許可無しでリハーサルにテレビを入れたため関係悪化し、以後2人は気まずくなっていった
  • バースタインはケネディ大統領とも親しくなったが、米国の核実験再開により核兵器廃絶を主張していたバースタインとの関係が悪化した
  • 1961年、バースタインのNYフィル初来日公演があったが反米の左翼系音楽家からボイコットされ、日本の半分からしか歓迎されなかった。左翼系文化人は東ドイツのゲバントハウス管弦楽団の来日の方を歓迎し、左右陣営の文化代理戦争の様相を呈していた。左派新聞の公演評論でNYフィルの評価は低かったため、次回の来日は約10年後となった

バーンスタインを演じたブラッドリー・クーパーは知らない俳優だったが、指揮するときのオーバーアクションや頻繁にタバコを吸うところなど、うまく演じていると思ったし、そっくりだと思ったが、そういったバースタインの姿はあまり好きにはなれない。

バーンスタイン夫妻、家族のことを知りたい人には良い映画でしょう。


宇都宮カンツリークラブでゴルフ

2023年12月15日 | ゴルフ

栃木県宇都宮市の宇都宮カンツリークラブでゴルフをした。費用は2人で17,000円。何度も来たことがあるコースだ。かつては名門コースだったが、今はメンバーの紹介がなくてもプレーできるようになったのは有難い。自宅からは時間がかかるけど年に1回は来てみたいコースだ。

コースは27ホール、ナビ付きリモコンカート、アップダウンがあるホールが多いが、そこが結構面白い。池も少しあるが、ホールのアップダウンとグリーンが小さいけど結構早い(9.5f)ことで難しくしている。アップダウンとドッグレッグでティーショットの落としどころが見えないホールが若干ある。元々2グリーンだけど一つ潰してベントの1グリーンで運用している。結構混んでいて、ラウンドはハーフで2時間20分くらいかかった。コースから日光連山などが見えてとても景色が良いのがうれしかった。

気温はこの時期にしては暖かく、歩いてラウンドするにはちょうど良い気候だったので、なるべくカートに乗らずに歩いてまわった。若い人も来ていたが、地元の年配の方が多いように思えた。女性だけの組もあったが地元のおばさま方という感じだった。

若干の問題点としては南コースがあげられる。以前は、南1番はロングホールであったが今はミドルホールとしている。これは職員の人に確認したら、1番のティーショットでコース外に曲げて打ってしまう人がでて苦情が来て、仕方なくティーグラウンドを前に出してミドルホールにしたとのこと。このような場合、ティーグラウンドの向きをちょっと変えるとか、木を一部移し替えるなどして対応している場合もあるので、何とか以前のようにロングホールで運用できないか検討してもらいたい。

さて、今日は帰りに以前から工事をしてつい最近開通した芳賀・宇都宮地区のLRTの電車に出くわしたので記念に写真を撮った。LRT(次世代型路面電車システム)とは、「Light Rail Transit」の略称で、各種交通との連携や低床式車両の活用、軌道・停留場の改良による乗降の容易性などの面で優れた特徴がある次世代の交通システムのこと。

晴天で暖かく、楽しく遊べました。


関西テレビ「逆転裁判官の真意」を見る(その2)

2023年12月14日 | 映画

(承前)

これらの人たちへの取材の中で、いくつかの大事なコメントが出てくる

  • 裁判官は被告人を裁くとき、自分も裁いている、過去の自分を裁きながら判決を書いている
  • 逆転無罪の判決内容は真っ当だが、日本の裁判は真っ当な判断に行き着くとは限らない
  • 逆転無罪判決の内容が真っ当だと言うことになると、他の裁判官の有罪判決には実は無罪が同じくらいの件数あったはずではないかと思える
  • 裁判官は有罪を出す方向で被告人質問をしている、被告弁護側の資料や主張にはあまり関心を示さない
  • 裁判官は有罪慣れしているのではないか、刑事裁判の有罪率99%が裁判官に大きな影響を与えているのではないか
  • 裁判官は99%を有罪にする検察が公益のため働いているのだから、十分調べているはずで間違いないはずだ、という前提になっているのではないか
  • 福崎さんは新聞・テレビなどに忖度しない人だ、証拠に基づいて判断している人だ
  • 福崎さんの逆転無罪判決文を読むと、実に細かい所まで読み込んでいる、すごい労力であろう、普通の裁判官はそこまでやっていない、情熱がないとできないことだ、普通の高裁裁判官は1審の判決を読んで、特におかしくないからこれでいいか、になっている
  • ロス疑惑控訴審裁判では、裁判長だった秋山氏は、刑事裁判では第六感でこの人はおかしいと思っても、それだけで有罪にはできないとしている

以上のような経過をたどり、記者は退官後の福崎さんにインタビューを申込むと今度はOKが出た。そこで記者の仮説(逆転無罪判決は裁判官人生の集大成で出したのではないか)をぶつけてみると、絶対にそれはないと回答された。

そこで最後は、福崎さんが関与した裁判で福崎さんが逆転判決を出された裁判例に辿りつく、2009年最高裁の痴漢事件の判決だ。1審東京地裁の裁判官だった福崎さんの実刑判決が最高裁で逆転無罪になったのだ。この判決が福崎さんの裁判官人生に与えた影響が大きかった。インタビューで福崎さんはこの逆転判決を自分に対する「戒め」にしていると述べている。

以上を踏まえて、記者は、一番最後の方で、福崎氏のような裁判官がいたことに希望を見いだすのか、福崎氏が目立ってしまう現実に絶望するのかと自問する。そして、最後に記者の「逆転無罪を連発された真意は何でしょうか」という究極の質問に対する福崎氏の答えは・・・・

福崎さんの退官間際の逆転無罪判決の理由は、以上の通り、最後まで見れば、だいたい「そうか」と言うことがわかるようになっている。

なかなかよく取材して、有意義な番組であったと思う。そして、法律の専門家でもなく、刑事裁判をよく理解していない自分がコメントをするのも難しいと思った。が、あえて素人コメントを許してもらえるなら、

  • 元々刑事裁判というのは必ずしも真実が明らかになる制度ではなく、裁判官が出された証拠や証言の範囲で有罪か無罪かの判断を下す制度だと思っている。従って、判決は絶対的真実ではなく、証拠不十分で推定無罪もあり、冤罪もありうるものだが、その証拠や証言は十分に審理してくれていると思っていた。が、その裁判官の判断過程にいろいろ問題があるとは・・・。番組で問題提起されている諸点があまりも深刻すぎるので暗い気持になった。
  • 関係者へのインタビューの中で、福崎さんは新聞・テレビの論調に忖度しない人だと言われている、ロス疑惑裁判では世論とは真逆の判決を書いた当時の秋山規雄裁判長や福崎さんを含む裁判官はすごいと思う。立派なものだ。新聞世論などは間違えている場合があるからだ。
  • 有罪率99%の中には無罪も含まれている可能性があることがこの番組の一つの視点だが、逆に、本来有罪になるのに無罪になっている例も多いだろう。検察が事実上裁判所の役割をしていることになるのではないか、と常々疑問に思っている。そういった視点でも今後取り上げて深掘りしてもらいたいと思う。

国民は誰を頼ったよいのか。裁判にならないように気を付けるしかない。仮に最後に無罪になったとしても裁判の負担は大変だ。

(完)


関西テレビ「逆転裁判官の真意」を見る(その1)

2023年12月13日 | 映画

弁護士の山口利昭先生のブログ「ビジネス法務の部屋」を見ていたら、最近関西テレビで放映されていたドキュメンタリー「逆転裁判官の真意」(48分)がYouTubeで公開され、見ることを推奨されていたので、早速見た。そして、ブログを書くにあたり2度見た。YouTubeにはいろんなコメントが載っており参考になる。大変興味深い内容だったのでネタバレも含めて書いてみたい。

山口利昭先生のブログ
http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/2023/12/post-3165d3.html

この番組は、最近裁判官を退任された元大阪高裁裁判長(2015年12月から2017年7月)の福崎伸一郎さんが退官間際に出した逆転無罪判決が非常に多く、それはどうしてか、という問題意識を持って記者が取材をしたものである。福崎さんが大阪高裁裁判長在任中に出した1審破棄判決35件のうち、逆転無罪判決が7件あった。この件数は法曹界の常識では異常な多さである。

この逆転無罪判決の多さは週刊文春でも「大阪高裁で逆転無罪判決を連発する裁判官の真意(殺人も覚醒剤も万引きもみーんな無罪)」という記事でも取り上げられている。私はこの記事を読んでいないが、この題名を見ただけで福崎さんの判決に好意的な記事ではないことが伝わってくる。

取材をした関西テレビの記者(ディレクター)は、30才近くになって司法試験に合格して関テレの社内弁護士となり、その後記者になった上田大輔氏だ。裁判官を取材する側も法律の専門家だから取材もかなり核心に迫るものとなっている。

大きな流れとしては、ネタバレがあるが、

  • 記者は、退官間際の多くの逆転無罪判決は、福崎さんが過去の集大成として行われたのではないか、との仮説を立て、それを確かめるべく質問や逆転無罪判決の読み込みなどをしていく。
  • 当初本人に取材を申し込んでも応じてくれなかった。そこで、逆転無罪判決を勝ち取った被告の弁護士たち、在任中30件以上無罪判決を出し一度も覆されたことがない元裁判官木谷明氏、退官直後の他の元刑事裁判官、映画「それでもボクはやっていない」※を監督した周防正行氏などを取材して福崎さんの実像に迫っていく。
  • しかし、なかなか答えが出ない、そこでもっと過去に福崎さんが出した判決を調べてみると、福崎さんはロス疑惑事件裁判の高裁逆転無罪判決を出した時の裁判官であったことを突き止め、当時裁判長だった秋山規雄氏に対する質問まで試みた。

これらの人たちへの取材の中で、いくつかの大事なコメントが出てくる、それは次回に。

※ この映画は私も一度観たが、結論部分などは詳しく覚えていない。ただ、非常に面白い映画だったことを覚えている。特に印象に残っているのは、若い男性が満員電車で痴漢と騒がれ、駅事務室に連れて行かれる。そこで、女性の体に触ったというなら、私の手を幅広の大きなテープのようなものでペタペタと触って付着物を採取して顕微鏡で見て、被害女性の着ている服と同じ繊維がついてなければ触ってはいない証明になるからそうしてくれ、と言ったところだ。これがどうなったか覚えていないがいいアイディアだと思った。

(続く)