すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【ハリル記者会見・分析】外国人監督路線は変えるべきじゃない

2018-04-28 06:27:55 | サッカー日本代表
コミュニケーションを取るのは大変だが

 日本代表監督を電撃解任されたハリルホジッチ氏が昨日(4月27日)、記者会見を開いた。会見を通して聞き、あえて中立の立場からなるべく客観的な感想を以下に抜粋してみる。

(1) ハリルの話はあちこちに飛び、しかも長くて遠大。端的に要点を説明できない。この人物をうまくハンドリングして仕事のベルトコンベアに乗せ、スムーズにことを運ぶのはものすごく大変だろう。

(2) この人物とのコミュニケーションは相当難航が予想される。個人的にはあの変わった人間性に非常に興味があり大好きなのだが、「仕事を共にする相手」としては私なら初めから契約してないかもしれない(堅守速攻で行くなら相応の実績を持つ監督はほかにもいる)

 もし私が雇用主なら、まだハリルが若い選手を頑なに使おうとせず世代交代の意思を見せず、かつ彼の特異なメンタリティが判明したこの時点で解任していたかもしれない。

(3) 練習のたび、長大な「訓示」を聞かされる選手はたまったもんじゃないだろう(長谷部が交渉し、あるときから話を短くしてもらった)

(4) この頑固な人物に、フットボールというビッグビジネスをかき回される立場の人間はたまらないだろう。

(5) この人物と組む全てのスタッフは膨大な精神的エネルギーを要求される。

(6) 国民性やメンタリティがぴったり合う人間でなければ、共に仕事をするのは(選手も含め)なかなか難しそうだ。逆にウマさえ合えば掛け替えのないパートナーになれそうである。

(7) この人物には雇用主との間に入り、上手くハンドリングする立場の人間が絶対に必要だ。その意味ではハリル招聘に関わり、彼の後ろ盾になった霜田正浩技術委員長(当時)が降格人事を受け、最後は退職した時点でハリルの命運は尽きていたのかもしれない。

(8) ただしこの人物は、W杯アジア最終予選・対オーストラリア/アウェイ戦&ホーム戦という究極の「芸術作品」を創ったアーチストだ。事前に練った緻密な分析と戦術ですべてがオーガナイズされたあのレベルの試合を行える監督がどれだけいるか? W杯本大会でもぜひ見てみたかった。

【何が悪かったのか?】

 結局、相手を過剰に忖度して本音でぶつからない、極めて日本人的でコミュニケーション不全な日本サッカー協会の体質と、頑固一徹で別な意味でコミュニケーション不全なハリルがうまく噛み合わなかったのでは? またハリルと一部主力選手には戦術に関する路線対立があり、そこに選手選考をめぐる感情的なもつれやビジネスの問題も絡んで収拾がつかなくなったのではないか?

 加えてE-1の日韓戦や最後のベルギー遠征では、テストマッチを文字通り新しいことを試す単なる「テスト」と位置付けるハリルと、目先の勝敗にこだわる協会側との意識のすれ違いが深刻化し最後にカタストロフを迎えた。

【総括】

 だれが悪いかはひとまず置くとして、今後このトラブルでサッカー協会がすっかり内向きになり、「もう外国人監督はゴメンだ。これからは日本人で行く」とならないか非常に心配だ。日本人はまだまだ海外から学ぶべきことがたくさんある。前を向いて進まなければならない。

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