すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【欧州遠征まとめ】森保ジャパンはチェンジ・オブ・ペースせよ

2020-11-20 07:07:14 | サッカー戦術論
チームの現在位置と修正点

 10月、11月の欧州遠征では、コロナ禍のなかカメルーン、コートジボワール、パナマ、メキシコという良いチームと得難いテストマッチができた。

 それにより森保ジャパンの現在地と課題が浮かび上がってきた。そこで今回はそれらをまとめてみよう。

 まずビルドアップに関しては、GKに権田を使うのか、シュミット・ダニエルを使うのかでまったく変わってくる。

 これまで森保監督は権田を使うことが多かったが、今後は足元に優れビルドアップの第一歩になれるシュミット・ダニエルを使った場合のビルドアップを確立したい。

 例えばゴールキックのルールが改正され、ペナルティーエリア内で味方がパスを受けてもよくなった。そのためエリア内にCBを2人置き、GKと合計3人でビルドアップの起点を作るチームが多くなった。

 森保ジャパンでこの形をそのまま採用してもいいし、あるいはもっと大胆にエリア内に下がるCBを1人にしてもいい。もし仮に相手チームが同数の2人でプレスをかけてきても、シュミット・ダニエルならこなせるだろう。

最大の課題はプレイに「変化」がないこと

 このほか、まず全体にいえることは「変化」が少ないことだ。例えばプレイによる緩急の変化や、爆発的なスピードアップのほか、パスの出し方にも偏りがある。一本調子で単調なのだ。

 例えば森保ジャパンは(というか日本のサッカーは、と言い換えてもいいが)、パスを出す場合にはロングパスでなくショートパスを、スペースにではなく足元に出す、という大きな偏りがある。

 もちろんこれは選手のタイプや適性によってこうなるケースも多いが、結果的にこの種の偏りがあると相手チームはこっちのプレイを読みやすくなる。「このチームは一気にウラを突いてこないぞ」というふうに。

 ゆえにパスなら、足元、足元、だけでなく裏を狙うパスも織り交ぜる。例えばパスの受け手であるFWがライン裏を狙う動きをし、これにより敵の最終ラインを押し下げて敵の陣形を間延びさせる。

 そうすればライン間が広がってスペースができ、これで今度はその裏をかいてライン間に侵入した選手に基点になるパスを出すことも可能になる。

一気に局面を変えるサイドチェンジを

 同様に「単調」という意味では、サイドチェンジが少ない点もあげられる。

 どうしても日本人は足元にショートパスを出す展開になるため、同サイドでプレイし続けるケースが多い。

 よって遠くが見えている選手が少ない。このため要所で大きなサイドチェンジを入れ、変化をつけるような戦い方に欠けている。

 ショートパスによるポゼッションだけではどうしても単調になるわけだ。

トランジションを重視せよ

 また変化がない、という意味では、トランジション(切り替え)の遅さも気になる点だ。

 例えば急所で敵がボールロストした。このとき敵は攻めにかかっていたため守備体形が崩れている。ならばここで速いカウンターをかければ一気に攻め崩せる。

 そんな局面で、わざわざいったんバックパスして遅攻にしたり、ショートパスを複数つないで手数をかけてしまう。つまり攻めをスローダウンさせてしまうわけだ。

 こんなふうにカウンター一発で決められる場合は、素早いトランジションから急所を突く鋭い縦パスを入れたい。

 日本人はいつもまったく同じリズムでプレイしており、「爆発的に加速する」ような変化に乏しい。「ここ」という局面ではグッとインテンシティを上げてリズムを変えたい。

勝ち切るための試合運び

 試合運びという点でも「単調さ」は目につく。

 例えば前半はハイプレスで、敵のビルドアップに対し前から激しくプレッシャーをかける。また前でボールを失えば激しいカウンタープレスでボールを奪い返して攻める。

 こうして前がかりの攻めで得点を取りリードしたら、今度は陣形を低く構えて4-4-2でブロックを組みゾーンディフェンスで敵を待ち受ける守備をする。これによって時間を使い、試合を終わらせる。

 こういう試合運びの変化で有利を得ることも重要だ。試合運びのうまさはまさに勝敗を分ける。

 まとめると、日本人は和を重んじて組織的かつ献身的なプレイをするが、そこに加味すべき加速度的なアクションや緩急の変化がない。

 この点は個々のプレイから試合運びに至るまで、一貫している。まずリズムを変えることが次なるステップにつながる大きな一手になるだろう。

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