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伊豆で迎えるお正月 2018

2018年01月02日 | +静岡・愛知

あけましておめでとうございます

東京は穏やかな新年の幕開けとなりました。皆さま、いかがおすごしでしょうか。

お正月は大きなバンを借りての恒例の家族旅行で、今年は伊豆・稲取で新年を迎えました。大晦日は雲が空を覆い、途中ではらはらと初雪が舞うほどの寒さでしたが、夜の間に魔法がかけられたのか、元日の朝は日本晴れと呼ぶのにふさわしいすがすがしいお天気となりました。

稲取は伊豆半島の東海岸にあり、海に面した宿のお部屋から、海から上る初日の出を見ることができました。この日の日の出の時刻は6時52分。6時半頃に起きて外を見ると、紺碧の空の下、水平線近くがほんのりと暁色に染まっていました。太陽の気配を濃厚に感じる神秘的な体験でした。

ちょうど太陽が昇るところに雲が鎮座していて、実際に太陽の姿を見るまでに10分ほどのタイムラグがありましたが、その分ようやく見えた時の感動が大きかったです。太陽の光が海に反射してまっすぐ伸びている様子に、モネの「印象・日の出」を思い出しました。新しい年の幕開けにふさわしい心に残る風景でした。

宿から近い”稲取文化公園 雛の館”で、この地に伝わる”雛のつるし飾り”を見ることができるというので、お雑煮とお節料理の朝食をいただいた後に、ぶらぶらと歩いて行ってみました。公園の入口には、たわわに実った夏ミカン?の木。柑橘類が名産の伊豆ならではの風景です。

雛のつるし飾りは、河津町に河津桜を見に行った時に知りましたが、稲取で江戸時代から伝わる風習で、母や祖母が娘の成長を願い、雛人形のかわりに手作りのつるし雛を作ったというのがはじまりです。一時すたれていましたが、平成5年になって婦人会の手で復刻され、今に伝えられているということです。

こちらの雛の館では、さまざまなお雛様とつるし飾りを組合せて飾ってあり、その華やかさ、愛らしさに顔がほころびました。入口にあった13段の段飾りとしめ縄のように太いつるし飾りは圧巻。稲取と同様、つるし雛を飾る風習があるという山形県酒田市の”傘福”、福岡県柳川市の”さげもん”もあわせて飾ってありました。

基本となる桃の飾りのほか、ほおずき、はと、鯛などいろいろな形がありましたが、それぞれの形に意味があり、娘の幸せを願う家族の思いが込められています。和布の柄の愛らしさ、手作りの温かさに、ほっと心が和みました。1月20日~3月31日は稲取で雛のつるし飾りまつりが開催されるそうです。

公園にはもうちらほらと早咲きの桜が咲き始めていました。(河津正月桜?) 寒空の下、懸命に咲く健気な美しさに心が洗われました。

稲取の海岸です。部屋と露店風呂からは下田の爪木崎まで見渡せて、寄せては返す波の音がずっと聞こえていました。規則正しく続く音は、海の鼓動に感じられました。

12時にゆっくりチェックアウトしてから、下田、天城と通って東京までもどりました。東名の混雑を避けるために、伊豆スカイラインを通り、途中で滝知山園地に立ち寄ると、ちょうど日没直後のマジックアワーでした。駿河湾の向う、西の空がほんのりと茜色に染まり、幻想的な風景でした。

ふと右の方を見ると、ほのかに赤く染まった空を背景に、富士山の薄墨色のシルエットが静かな存在感を見せていました。途中に光が数珠つなぎになっているのは、五合目のあたりでしょうか。眺めている間に、三島の街の明かりが灯りはじめ、ちょうど夕景から夜景へと移り変わるところでした。

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