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エゴン・シーレ 死と乙女/ロスト・バケーション 他

2018年01月25日 | 映画

DVDで見た旧作、3作品の感想です。

エゴン・シーレ 死と乙女 (Egon Schiele: Tod und Madchen / Egon Schiele: Death and the Maiden) 2016

20世紀初頭のオーストリアで活躍した早逝の天才画家エゴン・シーレの半生を描いた伝記ドラマです。師であるクリムトとともに語られることの多いエゴン・シーレ。シーレの作品は、以前ノイエ・ギャラリーで見たことが思い出されますが、ふだんは展覧会でもなかなか作品にお目にかかれないアーティストです。

本作ではシーレの奔放な人生をたどるとともに、スケッチなどもたくさん登場するので、アート好きとしてはわくわくと楽しめました。先日「北斎とジャポニズム」展で、クリムトが春画の影響を受けていることを知りましたが、本作でもシーレが何枚かの春画を見ているシーンがあり、クリムトからもらったのかも?と思わずにやりとしました。

クリムト以上に、背徳的で禁断の香りがするシーレの作品。それはクリムトが大人の女性を描いているのに対し、シーレがあどけなさの残る少女ばかりをモデルにし、しどけないポーズをとらせて描いているからでしょうか。自分の妹をモデルにしたり、クリムトのモデルを自分の恋人にしたり、幼女をモデルにして逮捕されたり、結婚相手の姉ともつきあったり...

シーレの私生活は彼の作品と同じく、背徳と自由に満ちていました。シーレにとって、魅力的な女性は創造力を支える女神のような存在だったのかもしれません。そして女性たちは彼を愛し、彼の才能を愛したから、見返りを求めることなく献身的に支え続けたのでしょう。主演の新人ノア・サーベトラがばっちりのキャスティングで、魔性の美しさが心に残りました。

ロスト・バケーション (The Shallows) 2016

ブレイク・ライブリー主演のサバイバル映画。てっきり美女がサメと格闘するB級映画?と思って楽しみにしていましたが^^ サメと直接対決するのは最後のクライマックスのみで、ほとんどが陸からわずかに離れた岩礁の上でひたすら救助を待ち続けるというサバイバル映画でした。私が本作を見て思い出したのは、ダニー・ボイル監督の「127時間」。

誰もいない浅瀬の岩礁の上で、ケガと飢えと寒さとサメから自分を守らなければならないのです。ライブリー演じるナンシーが医学生という設定が本作では功を奏していて、彼女はウェアの袖を破って止血し、アクセサリーを使って縫合します。>< サメの旋回サイクルと自分が泳ぐスピードから移動に必要な時間を割り出すところは理系心をくすぐりました。

孤独の中でずっといっしょにいてくれた、ケガしたカモメがかわいかった♪ 危険をおかしてビデオカメラを拾う必要があるのか?と最初は思いましたが、結果的にはそれが彼女を救うことになるのでした。サメとのバトルは少々劇画チックでしたが、全編ほとんどがライブリーの一人芝居。体当たりの演技に拍手しました。

ザ・シューター 極大射程 (Shooter) 2007

マーク・ウォールバーグ主演のサスペンスアクション。元海兵隊の凄腕スナイパー スワガー(ウォルバーグ)は、大統領暗殺を阻止して欲しいとジョンソン大佐に依頼されて現地入りしますが、実際に狙撃されたのはエチオピア司教で、スワガー自身も銃撃され、容疑者として追われることに...。

前知識なく見始めたので、まさかのスワガーが銃撃されたのにびっくり。ジョンソン大佐の策に落ちたことを瞬時に悟ったスワガーは、銃弾を受けながら車を奪って逃走します。それからは大迫力のカーアクションに銃撃戦、爆発...と怒涛の展開が繰り広げられ、はらはらしながら引き込まれました。

序盤に出てきたいかにも冴えないFBIの新人くんが実はなかなかの切れ者で、上層部に疑問をもち独自に調べ始めます。やがてスワガーの無実を確信した彼はスワガーに助けられ、互いに協力して戦います。どことなくデジャヴ感があると思ったら「イコライザー」の監督さんだったのですね。正統派の勧善懲悪もので、後味すっきりと楽しめました。

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