9月8日
朝から会社は忙しい雰囲気に包まれていた。
社員も早朝から出社し、この日の段取りをしていた。
いつも7時過ぎに会社に来る、父の姿はなかった。
8時前…
父が現れた。
通常であれば…社員を労う父であるが
この日は…様子が違った。
倉庫にあるソファに腰を落とすと
うつむき加減に言った。
「頭に腫瘍が2つ見つかった…つまらんよの~」
このときは…正直…私は深刻に受け止めなかった。
「な~に…心配しんさんな…
腫瘍と言っても全部が悪性じゃないんじゃから・・・
良性かもしれんし、取り敢えず…検査じゃ…
世の中には自然治癒力いうものもあるんじゃから
ここは、まず…病気を受け止めようや…」
と、無責任かもしれないが父に語った。
その日は仕事に精を出し…フッとした瞬間に
父を思いやった。
いつもは…口うるさい父が邪魔で仕方がなかったが
こうなれば、話は別である。
何とか父に元気を出させる方法ばかり考えていた。
つづく