父が突然異変を訴えたのは
10月4日であった。
9月20日過ぎから始まった
放射線療法で、体力が明らかに弱ってしまった。
放射線の経験がある人に
お分かりであろうが…放射線には副作用に関する
注意事項が最初に伝えられる。
私は放射線に反対であったが、医師から
「意識障害がおこる可能性…」を強調された妹に
反対意見を言えなかった。
ナゼなら…両親の介護の大半以上を
妹に依存しているため、反論の余地はなかった。
放射線を始めて受ける時…
父を連れていった。
車中で父は…「健太はいつ帰ってくるんか?」
と、10月に武者修行から帰ってくる孫のことを
気にしていた。
「健太と一緒に仕事ができるのが、楽しみじゃ…」
私には…その言葉がつらかった…
恐らく…もう…その思いは無理じゃ…
この放射線のカードは…
最悪のカードの可能性が高い・・・
実際放射線を経験した人間が…
「やめんさい…お父さん殺す気なん…」
この言葉が脳裏を離れなかった・・・
あの放射線一日目の車中…
「わしは本当にええんかの…」と思いながら
総合病院の放射線科に行った。
放射線は10回続く予定であったが
8回目に…医師から中止を宣告された。
「これ以上続けても良くならない…」
私は…後悔した。
心の中で…父に謝った。
入院する日…父の一言は忘れられない。
「放射線は失敗じゃったの…」
もう…歩く気力も…食事をする気も…
父にはなかった…